このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください
「セントラルライナー」
の謎
ここでは「セントラルライナー」(以後「CL」と略します)に関連する疑問について考えてみたいと思 います。以下の内容について詳しい方がいましたら是非御教示ください。
1.なぜ「新快速」ではなく、「CL」だったのか。
『中津川方面の東濃地区からは従前より名古屋への速達列車設定を望む声が多く、また、近年では
より質の高い輸送サービスを求められていることから、1999(平成11)年12月改正では、速達性に加
えて居住性を備えた新たな都市圏サービスとして、座席定員制列車「セントラルライナー」を新設した。』
(「鉄道ピクトリアル」2000年8月号、猪俣光博「JR東海名古屋都市圏輸送改善の取り組み」)
上記引用文の著者はJR東海の東海鉄道事業本部運輸営業部輸送課の課長で、「CL」登場の背景を明らかに している。快速列車のグレードアップが求められていたなかで、なぜ「CL」だったのかということが最初 の謎である。しかし、これは「CL」という愛称のついた「新快速」列車とでも考えてみるべきなのだろう か。
2.なぜ「有料化」なのか、また座席定員制列車の必要性があったのか。
これは最大の謎である。「CL」は従前の快速列車を置き換えた列車であったが、名古屋〜多治見間を 利用する場合、乗車券とは別に乗車整理券として310円を必要になったことで、岐阜県東濃地方の利用 者から「実質値上げ」の批判にさらされた。310円には座席確保という意味があるのだろう。JRが在来線 からの増収を狙ったのは評価できるが、朝夕のラッシュ時とは異なり、昼間の列車本数が少ない上に 利用者も少ない。そのなかで定員座席制列車を運行する必要性があったのだろうか。
3.「CL」の目的は何か
特急「しなの」の遠近分離や名古屋駅のJRセントラルタワーズ及びJR名古屋高島屋へのアクセスなど 諸説あるが、JR側のさまざまな思惑があるのだろう。しかし、多治見〜中津川間は各駅停車など、中 途半端な点が多いため、「CL」が目指しているモノが見えてこない。
4.岐阜県東濃地方でなぜ自治体の申し入れや署名運動などが行われなかったのか
「CL」が登場した1999年12月のダイヤ改正で、岐阜県東濃地方と共に不満が上がった岐阜県西濃地方 では、垂井町・関ヶ原町・穂積町の各町議会と大垣市連合自治会と大垣商工会議所が、それぞれダイ ヤの再改定を求める申し入れ書をJRに提出し、大垣市の住民グループが署名集めを実施した。
(中日 新聞2000年2月5日夕刊)
しかし、東濃地方では土岐市議会で質問が出た程度で、岐阜県が「県鉄道 問題研究会で取り上げる」と土岐市に連絡
(中日新聞2000年2月15日朝刊)
後、主だった行動は起 こっていない。地域間でのこの温度差が発生したのはなぜだろうか。西濃地方での新ダイヤも東濃地方 と同様に、データイムの列車本数削減や岐阜〜大垣各駅停車によるスピードダウンなど、問題点は「CL」 登場による東濃地方のそれと類似している。
この温度差を単に「地域性」という理由で解決したくない。名古屋へ乗車券だけで乗れる列車がデータ イムに33〜50%列車本数が削減され、乗車整理券で実質値上げとなった、東濃地方の土岐・瑞浪・恵那・ 中津川の4市の議会・各種団体も、独自に何らかの意思表示をしてみてはどうだろうか。「JRは地元の 要請には応えてくれない」という話を聞いた事があるが、意思表示ぐらいはしておいても、決して無駄 ではないだろう。
最も効果的なのは、利用者の意思表示である。場合によってはそれが「無言の抗議」となることがある。
5.「乗車率は終日平均6割で好評」って本当?
『セントラルライナーは定員に対して
終日平均で約六割の乗客があり、非常に好評だ
』
(中日新聞2000年2月15日朝刊)
上記の佐藤慎一運輸営業部長のコメントは、鉄道掲示板などで話題になった。しかし、この統計はどの 区間で計測したのだろうか。「名古屋〜多治見はガラガラ、多治見〜中津川はそこそこ乗車している」と いうのが、中央線利用者の一般的見識ではないだろうか。全車自由席区間を含めた、名古屋〜中津川間 では統計の焦点がぼやけてしまう。「CL」の実力は全車指定席区間の名古屋〜多治見間であり、そこで 計測するべきではなかろうか。この数字は大いに疑問である。
6.なぜ、「CL」車両に朝夕のアルバイト運用をさせるの?
「乗り得列車」という意見もあるようだが、他の車両と連結して朝夕に普通列車として使用するのは、こ の車両を特別料金を払い「CL」として利用している利用者に失礼ではないだろうか。特急列車車両など特 別料金を必要とする列車を普通列車として利用する例としては、JR北海道の室蘭本線・東室蘭〜室蘭など があるが、これらの場合、列車本数が少ないための便宜処置であるケースが圧倒的である。なぜ、「CL」 車両をアルバイト運用させるのだろうか。もし「混雑緩和」を目的にラッシュ時で使用するなら、「CL」車 両を座席定員制として、通勤利用者の居住性を向上させたほうが増収効果もあり、利用者に歓迎されはし ないだろうか。各停車駅に乗車整理券券売機を設置するのが面倒だったのだろうか。
また、「CL」車両が他の車両と連結している場合、「CL」車両の内容では利用されないとでも思っている のだろうか。「CL」車両には扉が3ヶ所あり、吊り革すらある。これらはこのアルバイト運用以外では使わ れていない。これらが「CL」の中途半端さを助長しているのではないか。
7.「CL」の乗車整理券は増収に貢献しているのだろうか?
仮に「CL」の乗車整理券が完売しても、1列車(3両編成の場合)あたりの増収額は45000円弱である。JR の主張する終日平均6割では25000円ほどである。しかし、車掌を2人乗務させるなどJR側の過剰な面が 見られる。これでは、せっかくの乗車整理券収入も人件費や車両の維持費用で消えてしまうのではない だろうか?
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