このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

(5)登った山ひとつひとつが名山


先頃のことですが、「百名山を○○日で完登した。」とか「○○日で日本各県の最高峰を制服した。」というような記事が、新聞・雑誌を賑わしていました。

時々、「あんた、よく山に登っているそうだけど、百名山を済ましているかね。」
「えっ、何の百名山ですか。」
「あんた知らんの。深田久弥のだよ。」
「ああ、本で読んだことはありますが、全部は登っていませんね。」
「わしだって、あのうち○○くらいは登っているよ、あんたも大したことないね。」
というような応答をやり、劣等感に襲われることがあります。

本当は、「ああ、あの本が出た時は、二つ三つ残して登っちゃってたんで、後は登らないことにしてるんですよ。」と言ってやりたいんだけど、何か自慢話になりそうで、やめております。(こういう書き方も自慢話かなあ。)

ついでに自慢話をさせてもらいますが、若い頃からレコード(1980年ごろからはCD)や本を集める(聴いたり読んだりと言わないのがミソ)のが趣味で、レコードとCD合わせて2,000余枚のコレクションになると思いますが、中には入手後、暫くしてベスト・セラーになったり、○○賞になったものもありますが、ベスト・セラーや○○賞になってから慌てて購入したものは、一枚も一冊もありません。
これが、深田久弥版「日本百名山」の残り三つを登らない理由です。

広島へ住むようになってから知り合った山友達のお父さんで、若い頃から晴れても、曇っても「白木山」一筋で登っている方がおられますが、この人にとっては、「白木山」こそ、わが「日本一名山」なのでしょうね。

さて、最近になって知ったことですが、深田さんが、あの本を出版する時に、ご本人は「日本の名山・・・」としたかったそうですが、出版社の編集者から「先生、そんな書名は売れませんよ。」と言われて、今のベスト・セラー書名になったようです。
深田氏の本当の心は、「自分の登った山、一つ一つが名山。さあ、あなたの名山はどこですか。」と、読者に問いかけたかったのでしないでしょうか。

このことを知った私は、残った三つの百名山を、私にとって名山になるかどうか、登っておき、もし、先の世で同氏にお目にかかるようなことがあったら、その感想を申し上げたいと思っています。(O)


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