このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

地下鉄開業

2015年12月6日に日本最後の地下鉄新線と言われる仙台市営地下鉄東西線が開業する運びとなった。
震災での中断を経て、ようやくの開業に関係者の喜びもひとしおであろう。

新線開業が大好きな私はこの機会を逃してたまるかと、アメリカ旅行で貯めたマイルを使って飛行機を予約し、同時に東北住まいの友人Aに連絡を取って仙台の奥座敷秋保温泉の宿を確保したのだった。

12月6日(日)
この日は朝から快晴だった。伊丹空港を10時5分に出るANAに乗るべく、9時に空港へ着くことを想定して8時30分のリムジンバスに乗る。昼夜逆転気味だった私はこの時睡眠時間3時間であった。バスでも寝られなかったので飛行機で寝るつもりだったが、結局寝ずに仙台入りすることになるのだった。

バスは所要時間30分のところを25分弱で着く。このリムジンバスはいつも巻き気味なのが大阪っぽい。

1時間以上前に着き、手荷物を預けるほど持っていなかったので、時間つぶしのためラウンジへ。

←ラウンジ入り口。中の写真は人が多かったので控えた

朝のアメリカンコーヒーを楽しみつつ、週刊ダイヤモンド、スポーツ雑誌のNumberを読む。wifiも飛んでいるのでいくらでも時間が潰せそうである。が、30分ほどで出る。

手土産を買ってから保安検査場へ。パリのテロ後だから厳しいかと思ったが7月の北海道行きとあまり変わらなかった。

保安検査を終え、搭乗。後輩Tの助言に従い非常口席を抑えたので足元が広々。しかも窓側なので景色が楽しめる。通路側には出張らしい若いサラリーマンがくる。彼は飛行機慣れしているのか、離陸前から着陸までずっと寝ていた。しばらく地上を走った後、定刻に離陸。


↑客室乗務員とは向かい合わせではなかった                    ↑雲海の間から日本アルプスらしい山々が見えた

機内誌「雲の王国」を読んでいると、正味50分で仙台に着く。仙台空港へは海からアプローチするので機体がかなり揺れ、肝を冷やした。こんな揺れるのに寝ていられる隣りの客は凄いと思った。


↑ユナイテッドの機体がいた。こんな小さくてどこへ?と思ったら11時50分にグアム行きがあるようだ。 ↑到着通路にあった。東北の決意。

11時27分に仙台空港線では貴重な名取にしか止まらない快速電車があるので、これに乗りたいと思い少し急いだところ、発車8分前には着いてしまった。仙台空港駅は空港の目の前にあり、伊丹空港のモノレールのような位置関係だった。


↑到着ロビーにある列車の案内。ここから5分はかかると警告が流れる。   ↑駅とは通路で直結。その通路から撮影した。左が駅舎。


↑あおなみ線を感じさせる広々とした改札                      ↑JR車両(E721系)


↑こちらは38分発の各停でSATの車両                        ↑貴重な「快速」の文字

車内は満席だった。2両編成なので、4両でもよいのでは?と感じた。初乗車区間なので先頭に立つ。27分の定刻に発車。
空港を出ると、電車は滑走路の南端をトンネルで潜る。なかなか面白い線路配置である。ちなみに単線である。
空港を出てしばらくすると、住宅街に入る。すべての建物、道路が真新しいのが震災とその後の復興を感じさせる。
快速電車なので、美田園、杜せきのしたを快調に飛ばす。杜せきのしたは交換設備が準備されており、利用人員が増えたらここも交換駅になるのだろう。

あっというまに名取駅に着く。名取駅ではかなりの客が仙台行きを待っており、やはり4両でよかったのではないかとの思いを強くする。車内は立ち客で朝のラッシュのようになった。

本線に入ってからも仙台までは停まらず、南仙台や太子堂、長町を通過する。乗っていて気分がいい。長町から仙台までが長く感じたが、なんと4,4キロもあるそうで、新駅設置が待たれる。

11時44分、仙台駅に到着。向かいには石巻東北ラインの電車が止まっていた。

とりあえず地下の改札を出ると、エスパルの真ん中に出た。そこからしばらく進むと真新しい地下通路が出現する。ここが東西線の乗り場であった。見物客を誘導する係員が立っている。日曜昼らしく、地下鉄に乗ろうとはしゃぐ子供を連れた親が行きかう。仙台駅で合流する予定の友人Aは少し遅れるとのことなので、エスパル奥に昼食を食べに行く。どこも混んでいて、まあまあ空いていた魚料理の店「海の台所 波奈」に入り、日替わり定食(1280円)を頼む。


↑お祝いムードが感じられる。                             ↑お昼ご飯。

昼食は魚づくしで、まずくは無かったのだが、鯛のかぶと煮にあら汁、イワシのフライは小骨がそのままだったのでちょっと食べにくかった。体にはいいのかもしれないが…。

昼食を取っているとAが駅に着いたと連絡をくれたので、いよいよ東西線に向かう。さきほど通り過ぎたエスパルの真ん中で落ちあい、地元民Aの案内ですいている券売機に回ることができ、一日乗車券620円を買う。本当は記念の物が欲しかったのだが、発売は昨日までの上、昨日も五時で販売を打ち切ってしまいAに頼むも入手できなかったのだった。これだからお役所は困る。なお東西線が出来たおかげで、Aの家の近所のバス停から仙台駅に直通するバスが東西線の新駅行きに置き換えられたため、彼はしぶしぶ東西線の新駅を経由して仙台駅に来たのだった。運賃も所要時間も増え、彼に限らず仙台市民の中には東西線に怨嗟を向ける者が少なくないようだ。河北新報の電子版によれば、開業からの5日間で、問い合わせが普段の3倍超の3180件も寄せられ、特に八木山と荒井、薬師堂でのバス接続についての苦情が多かったという。紹介された利用者の声には、以前より2倍の時間がかかったというのもあり、今後の市交通局の対応が待たれるところである。

地下鉄新路線特有の長いエスカレーターで地下深くのホームへ。東西線はリニア仕様の4両編成とあって、全体的にこじんまりとした印象を受ける。さすがにメイン駅仙台は上りと下りが分離されていた。開業初日とあって人が凄い。ひとまず海側の荒井駅を目指す。

←まともな写真が撮れないくらいの混雑。

車内は立つと圧迫感を覚えるくらい狭い。東京の大江戸線や、大阪の長堀鶴見緑地線より狭さを感じる。
新型らしく車内にモニターがあり、各駅のエスカレーター位置などを案内してくれるが、正直4両ではあまり意味が無いように思える。なお将来5両までは伸ばせる設計だそうである。
13分で荒井駅に着く。窮屈だったからか、もう少し長くかかったように思えた。


↑荒井駅、バスターミナル側の出口。

荒井駅はまだ造成中のようで、駅前には大きな空き地があった。大型商業施設が立つらしい。河北新報のweb版によれば地銀支店が大量出店するなど、宅地化需要はかなりあるようだが、開業時にまだ重機の跡が残る空き地を見ると少し不安になる。


↑先ほどと反対の出口。荒井駅自体にコミュニティセンターが併設されているらしく、地下鉄駅なのに地上3階の建物になっている。


↑東西線の車両基地。手前は職員用駐車場。

駅前にコンビニすらなく、すこし不安を覚えながらも今度は八木山へ。繁忙期のUSJなみの行列が券売機に出来ているのに驚きながら、一日乗車券を買っておいたことに感謝しつつ地下ホームへ。真ん中あたりで並び、運よく座ることが出来た。座ると楽である。座席もそれほど固くない。仙台駅で大きく客が入れ替わり、そこから10分くらいで地上へ。広瀬川を鉄橋で渡るのである。ここはフォトジェニック(写真写りが良い)らしく、市の広報から駅の看板、地元紙一面までこの鉄橋を渡る地下鉄の姿を使用していた。
鉄橋を渡ると国際センターという半地下の駅で、その先は東北大のキャンパス地下となる。川内駅と青葉山駅が東北大の最寄りになるそうで、利便性が一気に高まっており羨ましい。。

終点の八木山動物公園駅は日本一高い場所にある地下鉄駅だそうである。駅を出て、道路の方に目をやると確かに建物の切れ目から仙台市街が見下ろせた。


↑駅入り口。かなり登ってきた。                            ↑こちらもバスターミナル併設。上にはパークアンドライド用の大きな駐車場が。

ここからは青葉通一番町へ。藤崎百貨店で開業記念品を売っているのである。仙台駅前を14時50分に出る快速バスに乗るため、少し急ぐ。

青葉通一番町駅は地下から藤崎へ直結しており、心斎橋や矢場町のようであった。

←誇らしげなポスター


↑特製パッケージの萩の月

百貨店前のアーケード下ワゴンで、記念カレンダーとメモパッド、萩の月を買う。クリアファイルが欲しかったのだが売り切れてしまったようである…残念。

百貨店からは一駅なので、仙台駅まで歩く。途中のコンビニで今日の河北新報を買う。案の定特別仕様の一面であった。


↑楽天イーグルス優勝と同じ破格の扱いで表裏1面。前日試乗の時の写真だとしたらこの後システムトラブルで運休という悲劇が待っていたはず…


↑こちらは翌日朝刊

10分前には宮城交通のバスターミナルに着く。ここから秋保温泉までは快速バスで30分、通常だと50分超えの各駅停車デスロードなのでありがたい。


バスで山を越え、秋保の街を歩いた後、無事本日のお宿緑水亭へ。部屋に入ってから日付が変わるまで飲んだくれたのであった。


おわり

おまけ:翌日撮影した東西線

↑全線ホームドア完備                                  ↑ピカピカなトンネル。車両が小さいので架線が低い。


↑見事な十字架状態。全国唯一の1路線状態を脱した喜びは大きそう     ↑乗り場を分離している仙台駅ホームはこの通り「壁」が出現する


↑センスのあるポスター                                 ↑仙台市の企業から協賛ポスターがたくさん出ていた


↑改札口には宮城の著名人から贈られたお祝い色紙が並ぶ           ↑ピカピカの券売機。ICカードの相互利用はしばらく後になる模様。

なおこの東西線、開業初日は10万8千人の利用があったそうだが、その翌日月曜は4万9400人にとどまり、予測の8万人を下回ったそうで、前途多難である。しかし開業翌日の仙台駅定期券販売所には、開業前から定期を売っていたにもかかわらず行列ができていたので、じわじわ増えるのではないだろうか(それでも8万は厳しいかな…。)仙台駅地下は東西線開業で一気に複雑になったようで、仙台中央署の地域課主任と思しき50代の警部補が、蛍光ペン片手に必死に地図で道順をチェックしていたのはほほえましかった。ここ1カ月は地理指導が大変そうだ。ちなみに彼にLOFTへの出口を聞いたところ、人懐っこい東北弁で優しく教えてくれたのでした。

もどる

このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください