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クールな言葉たち
ここでは管理人が小説(海外小説が多い)を読んでて、「いいな」とか「かっこいいな」とか「やベーな」とか感じた、
感銘を受けたセリフや言い回しを紹介していきます。

(ベテランの警官が新人に向かってパトカーの中で言う台詞)
「十年先のことを教えてやろうか。今より酒の量が増え、しかも大酒を飲むようになっている。
死体やレイプされた子供より、どこで昼飯を食うかが、より重要な問題だ。
撃たれ、襲われ、訴えられ、取り調べられ、さんざコケにされて、おまえがぶちこむ麻薬中毒者みたいに無力な人間になってるさ」


(麻薬売買の元締めが金をくすねた手下の売人を撃ち殺したことについて)
カネがからんだ殺人—こんなのは日常茶飯事だ。例の年配の警官がいっていたように、デトロイトでは「ほんの軽罪」でしかない。

上2文 ポール・リンゼイ「目撃」(講談社文庫P19,68)より


(捜査会議にカジュアルな服装でやってきた捜査官たちに対し支局長が言った台詞)
「だから、きみたちは、山羊ひげを剃り、入れ墨を隠し、耳や乳首や舌のピアスをはずせ。手錠を捜しだしてきて、銃に弾をこめろ。
それから、しまい込んだ背広を引っぱりだしてくるんだ。相手と同じ服装をしたら、ほんとのことを話してくれるはずだなんて夢にも思うな。
与太者みたいなやつと話したかったら、連中は仲間と話をするさ。
大学出の背広を着た人間が力になってくれと頼みに来るから、連中はそれを誇らしく思うんだ」
                                         
ポール・リンゼイ「鉄槌」(講談社文庫P90〜91)より


(車のトランクに入れられ、後頭部に二発銃弾を打ち込まれた男について組織犯罪担当の刑事の台詞)
「シカゴでの洒落たやつが言ったセリフさ。
つまり、連中がどこかの哀れなやつを謀殺すると、こういうわけさ—『ああ、トニーか?トニーのことは心配するな。やつはいまじゃトランク・ミュージックだ。
もう二度と会うことはないさ』とな。」

マイクル・コナリー「トランク・ミュージック(上・下)」(扶桑社ミステリー)より


(メキシコでの麻薬捜査に関してDEA捜査官の台詞)
「『くそいまいましい州司法警察め。まともに協力できるのはメキシコ政府軍の連中だけだ。その連中にしても、別れた女房程度にしか信用できん。』」
                      
マイクル・コナリー「ブラック・アイス」(扶桑社ミステリー)より


(いけ好かないFBI捜査官と元刑事の応酬)
FBI:「『なぜならあんたは危ない立場にいるからだ。あんたは連警(フェデラル)の事件に違法侵入しているんだ。
この場合のフェデラルというのは、大文字のFではじまる組織のことだ。おわかりか?』
元刑事:「『ファックユー。きさまは大文字のFでファックされるがいいさ。おわかりか?』」

マイクル・コナリー「暗く聖なる夜(上・下)」(講談社文庫)より


(あるキューバ市民の言葉)
「“社会主義か死か?”お願いだから、フィデルに、“二者択一”じゃないって教えてやって」


マーティン・クルーズ・スミス「ハバナ・ベイ」(講談社文庫)より


(自分を投獄した元捜査官にシベリアで遭遇して)
「それじゃお前さんのことを言わせてくれ」カルプが言って、アルカージのジャケットから氷を払った。
「お前は家から追い出された犬だ。しばらく残飯をあさったりして森で生活し、狼と一緒に走りまわれると自分じゃ思ってる。
しかし本当は、心の奥底じゃ、狼を一匹やっつけたいと思ってる。そうすりゃまた家に入れてもらえるからだ」

マーティン・クルーズ・スミス「ポーラー・スター」(新潮文庫)より


(老練な殺し屋の戒め)
疲れた体と曇った頭は命取りになる。
鋭く考え、鋭く動かないといけないのだから、次になすべきことは、ベッドに入って眠ること。それは意志の問題だ。
被害妄想を断ち切り、理詰めに考え、ここが安全であることを信じる。アマチュアはひと晩じゅう悶々として、音がするたびに飛び起き、ありもしない気配におびえる。
 数多くの獲物を追い、仕留めてきた経験からいうと、追われる人間にとって最強の敵は自分の脳みそだ。
連中の目にはそこにはないものが見え、さらに致命的なことだが、そこにあるものが見えない。
疑心暗鬼に陥って、絶えず不安にさいなまれ、とうとう追い詰められた時には、ありがたい気持ちにさえなる。
自分の頭の中で、何度も何度も殺されてしまっているので、ほんとうに殺されることが救いに思えるのだ。


ドン・ウィンズロウ「フランキー・マシーンの冬(上・下)」(角川文庫)より


(ティーンエイジャーの娘と父親の会話)
「それ、聞いていないとだめなの?」シェリダンは無線を示した。九〇号線に集まっている法執行機関同士の連絡が飛びかっていた。
「ああ」
「音楽にしたらだめ?」
「だめだ」
「聞きたいことがあるの」
「なんだ」
「新しい音楽を聴くのをやめるのって、自分は年をとったんだって悟った日?
たとえば、新しいことをあきらめて、前に聴いていた音楽しか聴かないって決めるとか?
発見するのはもうおしまいで、古いものをかきまわして探すだけでいいって思うとか?」
 ジョーはハンドルを左に切り、右側にいて動こうとしないウサギをよけた。「どう答えたらいいかわからないな」
「あたしの言っていることは正しいと思う。だから、あたしは古い音楽はぜったいに聴かないつもりなの。ラジオで新しくかかる曲だけを聴く」
「もう少し大人になると考えが変わるかもしれないよ。親しんだ曲がなつかしくなるとは思わないか?」
 シェリダンは肩をすくめた。「さあね。新しいほうがいい曲なんじゃないの」
「そうかもしれない。だが、ある曲を聴くと当時のことが思い出されないか?聴いていたころに戻れるような、とくべつな曲があるだろう?」
「うん、そうね。でも、そういうときは前向きじゃなくて後ろ向きなことを考えているのよ。おっさんへの道まっしぐらだわ」


C・J・ボックス「ゼロ以下の死」(講談社文庫)よりP285〜286


(幼児殺害犯の弁護人に対する刑事の反応)
 ブルース・ハーパーは悪い男ではない。被告人側の弁護士としては。
汚れ役だろうと、誰かが引き受けざるを得ないのだろう。
それでも、私だったら、とてもではないが幼児殺しの弁護をやる気にはなれない。義務としてこなす公選弁護人には頭が下がる。
けれども私選の場合、子供にいたずらする変質者から報酬をもらい、その金でディナーに行って、食べたものを吐かずにいられる神経が、私には理解できない。
 それにしても、ブルース・ハーパーを雇う金をゲインズがどうやってひねり出したのか不思議だ。依頼料は安くない。
 ローラと夫婦で外出すると、ときおり、ブルースのほうも妻のローレンを連れているのに出くわす。レストランで、あるいは、ローラに無理やり引っぱっていかれた慈善パーティーで。私は必ず丁寧な物腰で接する。とはいえ、もしブルースが火だるまになったら、わたしは小便で消火し、水の入ったバケツがそばになくて幸いと思うだろう。


ドン・ウィンズロウ「失踪」(角川文庫)よりP109


(メキシコの検事とDEA捜査官の応酬)
だが、ケラーとアギラルはのっけから衝突した。
「あなたの国の組織図は」
ある日、単純な盗聴の許可を得るために、三十七回の覚書を取り交わしたあと、ケラーは言った。
「一日放置されたスパゲッティみたいですね」
「わたしは新鮮な食べ物しか口にしない主義だが」
とアギラルは答えた。
「おたくのおかげで国境の向こう側について、正確な描写を教えてもらった気がする。
DEA、入国税関取締局、FBI、国土安全保障省、さまざまな州レベルと市町村レベルの法執行機関。正直、その表現は思いつかなかったな」


ドン・ウィンズロウ「ザ・カルテル」(角川文庫)よりP156


(主人公が自分と妻の若いころの関係を評して)
「お互いが折り合ったのは、ごく平均的なふたりの二十代の男女には、差し迫った情欲を発散する必要があったし、ふたりとも現状にさしたる不満がなかったというだけだった。さっきも言ったように、おれたちの間にあったものは愛ではなかった。愛らしきものがあったにせよ、それはロマンチックさとはほど遠かった。だが、それは人間らしい必要性から出たことだった。」


クレイグ・ホールデン「夜が終わる場所」扶桑社ミステリーよりP25


(こちら側に来ないか?という刑事弁護人の誘いに対する地区検事補の答え)
「ぼくがひとつだけわかっているのは、通路を横切ってそっち側に移りたくないということだ。
ぼくはあんたのようにはなりたくない、ハラー。なんの心配もせずに夜にぐっすり眠るのが好きなんだ」


マイクル・コナリー「リンカーン弁護士(下)」よりP353


(高名な弁護士の息子でもある、登録したての弁護士と対峙して)
「どんなロースクールが彼に学位を与えたのか知りたかったのだが、いまここで確かめる価値はないと判断した。
トップクラスのロースクールを出たのに、法廷からの出口も見つけられない弁護士を何人も知っていた。
その一方、もし自分の手首に手錠がかけられるようなことになれば、
わたしがただちに電話を入れるべき夜間ロースクール出の弁護士も知っていた。
重要なのは弁護士本人であり、出身のロースクールではなかった。」


マイクル・コナリー「罪責の神々(上)」よりP335〜336


(ニューヨーク市警警官の購読紙と人種問題)
<ニューヨーク・タイムズ>を読むお巡りなどまずいない。読むのはもっぱら<デイリー・ニューズ>か<ニューヨーク・ポスト>だ。
それもスポーツ欄か六面のお色気記事。中には資産運用のために<ウォールストリート・ジャーナル>を読む者もいるが、少数派だ。
<ニューヨーク・タイムズ>を読むのは市警本部のお高くとまったスーツ組か、市長のオフィスで雑役をこなしているやつぐらいのものだ。
そんな<ニューヨーク・タイムズ>が“ヘロイン蔓延”とわめいている。
それはつまり白人がヘロインで死んでいるということだ。


ドン・ウィンズロウ「ダ・フォース(上)」よりP77


(パラリーガルの苦労)
弁護士の下で働くのは、重度のADHDと低血糖の子供たちを集めたクラスを受け持つようなものだ。
彼らは細かいことが大嫌いで、無意識または意識的に、細かいことを無視する。
たいていハイリスク・ハイリターンの投資家で、金遣いも荒く、破産してモントークの自宅まで失うはめにならないのは、ひとえに事務職員の助けのおかげだ。

シェイン・クーン「インターンズ・ハンドブック」よりP44
(※モントーク…NY州ロングアイランド最東端の港町。このエリアはハンプトンズなど高級住宅地が点在する。)



(大手法律事務所の弁護士の生態)
ライネンは大きな法律事務所でその他大勢のひとりになりたくなかったのだ。
そういう事務所では、若い弁護士は銀行員のように見える。
みんな、司法試験で群を抜いた成績をあげ、身の丈に合わない高級車を購入する。
そして、依頼人に一番高い請求書をだした者が勝者となる世界。
その世界の住人は再婚を経験し、週末にはカシミアのセーターとチェック柄のズボンに身を包む。

数字、監査役のポスト、連邦政府とのコンサルタント契約、果てしない数の会議室、空港のラウンジ、そしてホテルのロビー、それが彼らの世界だ。
そこの住人にとって、裁判で負けることは、天地がひっくりかえるような破局だ。だから、裁判官は危険な存在とみなされている。

フェルディナント・フォン・シーラッハ「コリーニ事件」P23〜24



おまけ: FBI略語集 (笑)

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