このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

哭声/コクソン (2016・韓国)

監督:ナ・ホンジン

出演:クァク・ドゥオン、ファン・ジョンミン、國村準ほか

<あらすじ>
山に囲まれた田舎の村にえたいの知れないよそ者(國村隼(じゅん))が現れ、廃屋に暮らす。やがて、村人が何かに取りつかれ、自分の家族を惨殺する事件が相次ぐ。村の警察官ジョング(クァク・ドウォン)も捜査に加わるが、殺人犯たちと同じ湿疹が自分の娘に生じパニックに陥る。村人たちはよそ者が異常事態を引き起こしていると疑うのだが……。

(毎日新聞平成29年3月10日付け東京夕刊「シネマ週末・この一本」http://mainichi.jp/articles/20170310/dde/012/070/003000cより)

<感想>
「チェイサー」「哀しき獣」で知られるナ・ホンジン監督最新作。前2作を観て衝撃を受けた私は、今回も期待を高めつつ劇場に行ったのだった。
が、サスペンススリラー的なものを期待して行ったらホラー映画だったのである。。

ホラー映画は普段ほとんど見ないので、個人的には期待外れ…と言えなくもない。

確かに面白いことは面白い。ギャグもはさんであり、エクソシストリスペクトのような画もある。監督お得意の血生臭いバイオレンス描写はそのままに、スプラッタホラー路線としては王道かつ、ゾンビものとしても楽しめる重層構造。
しかし、あのような救いのない終わりかたではエンタメ性に欠けるのではないかと思った。

伏線というか、話は一応つながっているものの、よくよく考えると辻褄が合わないようなシーンもある。
(祈祷師と國村隼がグルだったとして、殺の打を行ったのは矛盾しているのでは?國村隼は殺せないものだとしたら、なぜ5人に襲われたときに戦わず逃げたのか?祈祷師がソウルへ逃げようとした意味が分からない、など)。

主人公を警察官に据えたのは、この世の権力の権化=警察、ですらどうにもならない異形の化け物が襲ってくる、という恐怖を煽るためなのだろうか。
ハリウッドホラーで主人公やそれに近い人間に警察官を据えることはよくあるので、それに倣ったともいえる。

なお國村隼、アウトレイジのイメージが強いので、呪ったりやっぱり止めたりしてクァク・ドウォンに「呪ったり取り消したり、てめえの舌は何枚あるんだよ、この野郎!」ってワンパン食らうところ想像すると面白い。

ちなみに細かいところですが、韓国はいまだに洗濯板を使う地域があるんですかね?妻が洗濯板を使う(そのあとめちゃ(ry)主人公の警察官の家、ちゃんとハイアールっぽい洗濯機あったんですが。(最後の娘がめっちゃ怖いシーンに出てきて「あ、洗濯機!」と思ってしまった。)

ナ・ホンジン監督、絶対細部にこだわるタイプなので、あの洗濯板も意味があるのだととらえてしまう...。

そういえば本作、165分あるので途中トイレ休憩に向かう客が多数いたぞ。。

<以下ナ・ホンジン監督作品で好きな細かいシーン>

「チェイサー」...交番でモブの制服警察官が主人公とシリアルキラーの青年を仲裁するところ。青年が頑なに携帯電話は持ってないと話し、警官はそれを一応は信じたふりをする。そしてその警官が主人公と喧嘩になり話が逸れたところで「電話番号は?」と何の気なしに青年に聞いて携帯番号を述べさせ、「お前携帯持ってないって言ったよなぁ?」と詰めるの、モブらしくなく最高だった…。

「哀しき獣」...主人公がソウルの有力者殺害を依頼され、その男が住むビル内でのターゲットの動きをセンサー付き照明で探り出す部分。現場での創意工夫が泥臭くていい。あとそのための張り込みでファミマに寄ってフランクフルトを食いカップめんすするのもいい。

おわり

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この感想の数千倍作品が理解できる良解説→「 國村隼インタビュー 『哭声/コクソン』の過酷な現場でも意識した「お客さん」の存在

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