このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

ビジランテ2017:日本)

脚本・監督:入江悠
出演:大森南朋、鈴木浩介、桐谷健太、篠田麻里子、嶋田久作、間宮夕貴、吉村界人、般若、坂田聡、岡村いずみ、菅田俊

【あらすじ】

「ビジランテ」とは—法や正義が及ばない世界、大切なものは自ら守り抜く集団

幼い頃に失踪した長男・一郎(大森南朋)。市議会議員の次男・二郎(鈴木浩介)。 デリヘル業雇われ店長の三男・三郎(桐谷健太)。別々の道、世界を生きてきた三兄弟が、父親の死をきっかけに、再会し—。深く刻まれた、逃れられない三兄弟の運命は再び交錯し、欲望、野心、プライドがぶつかり合い、事態は凄惨な方向へ向かっていく——。( 公式サイト より)

【感想】

日経の映画評(古賀重樹)で「今年有数の傑作」と評価されていたことから鑑賞。

地方都市の閉塞を描いているという触れ込みから、地方都市のロードサイドのユナイテッドシネマで鑑賞した。

R15指定ということで少し心を強く持って見に行ったのだが、あにはからんや「これR18では?」というシーンがじゃんじゃん出てくる。桐谷健太目当てらしい高校生が1人で観に来てたが、上映後の表情が死んでいたぞ…。

サイタマノラッパーでは、地方で燻ぶる若者の生き様をコミカルに描いていたが、今回は地方で燻ぶる中年(それでも地方では「若手」扱いである)入りたての3兄弟のあがきを救いがないくらい重く描いていた。

市議会議員とやくざが分かりやすく結託し、ショッピングモール建設に邁進する、地上げのために昔から住む住民を手荒く追い出す…少し前なら「リアル」とされたこういう話も、今はもっと手が込んでいて、一見すると行政は手を汚していないように見える(ようにしている)ので、日経が「神話的」と書いたのもなんとなくわかる。

乾いた北関東の光景は良く撮れているが、3兄弟がもがき苦しんだ挙句どうしようもない形で物語が幕を下ろすので、個人的には「今年有数の傑作」にはならなかった。

作中では今流行の「SNSで愛国に感化された若者」が出てきて、モール予定地に住む中国人と対立するのだが、在日3世の中国人、あんなにカタコトで話すかなぁ?クルド人やブラジル系を出すと土地柄、冗談にならなくなる話ではあるのだが。

自警団を作って、入間基地の元自をよんできて彼らを鍛えてたの、地方議会自民系会派がやりそうとは思った。

政治家の妻を演じる篠田麻里子、大変色気があって良かった。二郎が不甲斐ない感じに描かれているので「あんなのがあんな美人の奥さん娶りやがって」という嫉妬を買っていそうだと思い気分が沈んだ。。

しかし公正証書1つで土地丸ごと取られちまうものかね?遺留分減殺請求して泥縄になら出来そうだ。
他にも資産があるような描写だったので、開発予定の土地だけ長男に譲るという内容だったかもしれないが。
このあたりも放り出して終盤を迎えたのだよなぁ。
地回りチンピラヤクザVS横浜都会ヤクザは面白かったが。

同じ地方都市の閉塞を書いた作品なら、「サウダーヂ」の方がリアルだと感じた。なお日経の古賀重樹氏はこの作品も大変気に入っているようで、「空族の地霊的リアリズム」と評する記事を夕刊に書いていたりする。地方都市を描いた作品がお好みなのかもしれない。

おわり

戻る

 

 

このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください