このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

ウインド・リバー(2018:アメリカ)
監督:テイラー・シェリダン
出演:ジェレミー・レナー、エリザベス・オルセン

<あらすじ>
なぜ、この土地(ウインド・リバー)では少女ばかりが殺されるのかーー
 アメリカ中西部・ワイオミング州のネイティブアメリカンの保留地ウインド・リバー。その深い雪に閉ざされた山岳地帯で、ネイティブアメリカンの少女の死体が見つかった。第一発見者となった野生生物局の白人ハンター、コリー・ランバート(ジェレミー・レナー)は、血を吐いた状態で凍りついたその少女が、自らの娘エミリーの親友であるナタリー(ケルシー・アスビル)だと知って胸を締めつけられる。

 コリーは、部族警察長ベン(グラハム・グリーン)とともにFBIの到着を待つが、視界不良の猛吹雪に見舞われ、予定より大幅に遅れてやってきたのは新米の女性捜査官ジェーン・バナー(エリザベス・オルセン)ひとりだけだった。
 死体発見現場に案内されたジェーンは、あまりにも不可解な状況に驚く。現場から5キロ圏内には民家がひとつもなく、ナタリーはなぜか薄着で裸足だった。前夜の気温は約マイナス30度。肺が凍って破裂するほどの極限の冷気を吸い込みながら、なぜナタリーは雪原を走って息絶えたのかーー

 監察医の検死結果により、生前のナタリーが何者かから暴行を受けていたことが判明する。彼女が犯人からの逃走中に死亡したことは明白で、殺人事件としての立件は十分可能なケースだ。しかし直接的な死因はあくまで肺出血であり、法医学的には他殺と認定できない。そのためルールの壁にぶち当たり、FBIの専門チームを呼ぶことができなくなったジェーンは、経験の乏しい自分一人で捜査を続行することを余儀なくされ、ウインド・リバー特有の地理や事情に精通したコリーに捜査への協力を求める。
コリーとジェーンはナタリーの父親マーティンのもとを訪ね、事件発生の夜にナタリーが恋人に会いに行っていたことを聞き出す。心を病んだ妻とドラッグ中毒の息子を抱えるマーティンは、かけがえのない存在である愛娘の命を奪われて憔悴しきっていた。
 捜査を進めるコリーとジェーンは、鬱蒼とした森の中で白人男性の遺体を発見。彼の身元はナタリーの恋人のマット・レイバーン(ジョン・バーンサル)だった。

その夜、自宅にジェーンを泊めてやったコリーは、つらい過去を打ち明けた。3年前に娘のエミリーを亡くしたコリーは、それが原因でネイティブアメリカンの妻と離婚し、幼い息子とも離れ離れに暮らしている。コリーの留守中に失踪を遂げたエミリーは、ナタリーと同じように自宅から遠く離れた場所で変わり果てた姿となって発見され、事件の全容は未だ不明のまま。コリーはそれ以来ずっと、娘を守ってやれなかった罪悪感に苛まれ続けていた。コリーの心の傷に触れたジェーンは、部外者の彼が献身的に捜査に協力してくれている理由を察するのだった。
コリーとジェーンはベンが応援に駆り出した若い保安官4人を引き連れ、マットの同僚たちが寝起きする山奥のトレーラーハウスに乗り込んでいく。

やがて不自然な言動を連発する警備員たちとジェーンらとの間に一触即発の緊張が走り、両者が一斉に拳銃を抜いて対峙する非常事態が勃発する。はたして事件当夜、この人里離れたトレーラーハウスで何が起こったのか。ウインド・リバーの静寂を切り裂く凄まじい銃声が鳴り響くなか、ついに明らかになる衝撃の真実とは……。
( 公式サイト より)

<感想>
ノーマークだったが、続編も公開されるボーダーライン(原題:シカリオ)の脚本家が監督した現代アメリカの社会派作品、日経の映画評も上々だったということで鑑賞。

アメリカ合衆国のインディアン居留地で起きた殺人事件を捜査する警察物…と思ったが内容は重く、見た後にずっしりと疲れが残った。

インディアン居留地は管轄が連邦政府、という雑な知識しかなかったが連邦法に定めのある殺人でなければFBIが捜査してくれない、単なる暴行や強姦事件はBIA(内務省インディアン事務局)の管轄で部族警察(作中によればウインドリバー居留地に6人しかいない)が捜査するしかなくなる、などアメリカ法執行機関オタクの私をいたく刺激する設定にシャキッとする。

ワイオミング州が舞台で、「ジャクソンのホテルの面接を受けた」という会話に「お、金持ちが集うジャクソンホールのことだな」などジョー・ピケットシリーズで培った知識が生きた。
ジェレミー・レナー扮するハンターのコリーはなんと連邦政府機関の魚類野生生物局所属だった。単なる地元ハンターと訳した日経記者は分かりやすさを優先したのだろうか。
州政府の猟区管理官ではなかったようである(車に魚類野生生物局のロゴが見て取れる)。

部族警察、郡保安官助手、FBI捜査官ジェーンの面々で軍隊上がりの採掘場警備員達と対峙する場面はこの映画の見どころの一つだが、「エネルギー省からの借用地だからお前らに警察権ないだろ」と平然と武装した保安官助手にショットガンを向ける警備員強すぎでしょ。。

そんな殺気立つ警備員と郡保安官助手の間にバッジと制式のグロックだけで割って入るFBI捜査官のエリザベス・オルセン姉さんかっこよかったっす。

別のシーンでペッパースプレーぶっかけられたところは演技じゃなく本当につらそうだった…周りにあるたくさんの雪で早く冷やして…って見ていて応援していた。直後に犯人の潜む家屋に単身突っ込んで容疑者射殺してるの逞しすぎでしょ…

なお武装した法執行官にも臆することなく刃向かうのはアメリカ西部メンタリティなのかな…と思ったら本当に悪い奴だった展開なので、管轄が無いから一切警官扱いされないということは無いのかもしれない。

アメリカの法執行機関に詳しくない人には面食らう部分も多いかもしれないが、個人的にはディテールへのこだわりが好印象だった。

ところでなんでシャイアンの支局はわざわざフロリダ出身のベガス駐在新人捜査官を送り込んだのだろうか…ベガスはワイオミングから遠いよ…

おわり

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