それは、ネットオークションで中古の205系埼京線基本6両セットを購入したところから始まります。
かなり安い価格で落札できたので、状態が不安でしたが・・・・
届いた車両は新しいロットで、見た目も充分に綺麗でした。
ところが、いざ試運転してみると、「ジ・・・」と言ったきり、ピタッと止まり、ピクリとも動きません。
・・・まさに「G−PITA」状態だったのです。
そのくせ皮肉なことに、前オーナーによって装着された室内灯は、全車両が綺麗に点灯していました。
すぐに動力車モハ204の車輪を見てみると・・・これがかなり走らせたと見え、
単なる車輪の汚れがあるだけではなく、車輪表面のメッキも傷んでいたのです。
そこで早速、ユニクリーナーを使って車輪の汚れを落とし、ギア部分にユニクリーンオイルを注すと、
かなりのラビットスタートではありますが、エンドレスを走り始めたのです。
そしてしばらく走行させておいたら、次第に走りが滑らかになっていきました。
でも、全車室内灯付きというのは、かなりの電流を消費します。
普通よりも高い電圧をかけないと走らない上、
エンドウの小型パックではすっかり容量不足となり、パックが熱を帯びてきました(^-^;
加えて、走行中の室内灯のチラツキがどうしても好きになれない私、
全ての室内灯を撤去して、より一層滑らかな走りを得たのです。
それから数ヶ月。。。久しぶりに運転しようと取り出した205系は、
手に入れた直後のようなヒドイ状態に逆戻りしていました。
いや、むしろ、今回の方が重症です。
車輪を綺麗にしても、オイルを注しても、多少は改善するものの、
ギクシャクした動きで、小さなエンドレスすらまともに走らなくなってしまったのです。
「こりゃダメだ!」
分解メンテナンスを試みる事にしました。
KATOのこのタイプの動力を分解したことは経験がなく、ちょっと不安を持っての作業となりました。
車端近くに下回りとベージュ色のパーツを留めているツメ部分が見えます。
まずはボディを外しました。
KATOの最近の動力車は、車体をちょっと膨らませることで、簡単に外せます。
これはどの車両も同じでした。
台車周りのメンテナンスだけであるなら、車体まで取り外す必要はありませんが、
今回は不調の原因をつきとめるため、モーター部分までチェックするため、
ボディを外し、さらにモーターに被さっているベージュ色のパーツも外したのです。
このベージュのパーツは4箇所のツメで下回りと固定されているので、そこを外せば簡単です。
結果・・・・中身(モーター周辺)はきれいなもんでしたが・・・
淡緑色の棒状のものが、シャフトです。
台車とシャフトを連結している部分が、ユニバーサルジョイントです。
次に台車を外しますが、これには少々コツが要りました。
台車枠を両側から「ぐっと」握り、台車が床板にはめ込まれている部分を捻ります。
これが結構きつかったのです。
さて、台車を外した私は・・・・すぐに絶句!
台車側のユニバーサルジョイント付近に、大量の糸くずが絡まっているではないですか!
これじゃ、動力が埃の抵抗で動きづらくなるはずです。
これを爪楊枝とピンセットを使って丹念に取り除くと・・・・
あら不思議!
あれほどギクシャクしていた動きが、嘘のように軽快になりました。
しかしそれでも、ラビットスタートは改善しません。
他のKATO製動力車と比較すると、
スケールスピードになるためにはより大きな電圧をかけなくてはならない点も気になります。
そこで、メッキの傷んだ車輪も交換してみることにしました。
車輪は、KATOのホビーセンターへ行き、ASSYパーツを購入しました。
車輪が手に入れば、後は交換するだけです。
台車枠は上下に分かれる構造になっています。
簡単なツメで固定されていたので、引っ張ってみると簡単に外れました。
しかし私はそこで再び絶句することになります。
なんと!台車の中を見ると・・・・全てのギアと車軸に糸くずが絡まっていたのです。
糸くずはウォームギアの溝を完全に埋めてしまうように絡みついていて、
これでギアの役目を果たすのだろうかと、全く信じられない状態でした。。。。
しかも、両方の台車ともです!
なんでここまでひどい状態になったのだろう???
この写真はギア清掃後、車輪交換後です。
前オーナーは、糸くずが多い環境でこの車両を走らせていたのでしょう。
例えば、毛足の長い絨毯の上とか、布団の上げ下げをする部屋とか、
そういう環境に常設されたお座敷運転、あるいは固定式レイアウト上に車両を長時間放置し、
ときどき気が向くと(糸くずの積もった線路上を)長時間走らせていた・・・・
そうとしか思えないのです。
車両をケースにしまっていれば、線路を掃除していれば、ここまでひどい状態になるとは思えないのです。
・・・・車輪交換どころの騒ぎではありません(笑)
再び爪楊枝とピンセットを駆使して、まずは丁寧に糸くずを除去することになりました。
車輪を交換したのは、糸くずが完全に除去されてからのことです。
集電用の燐青銅パーツがあるため、汚れた車輪の取り外しと新しい車輪の取り付けは、
慣れないと多少やっかいでした。。。
ここまでやった段階で、台車とユニバーサルジョイントを一旦元に戻し、試運転です。
すぃぃ・・・・
低電圧から、いい感じで加速をはじめました。
いいじゃないですか!
しかし!もうちょっと速度を上げると、
ひゅるるるるるるぅ・・・・・
今まで聞いたことのない音が響きはじめます!
ダメだ!この音の原因をつきとめ、対策を施さねばなりません。
モーターなら、「ウィーン・・・・」という音だし、ギアが噛みあう音は「ジャー・・・」という感じだし、
車輪と線路との摩擦ならば「カーッ」というような音がするものです。
しかしこの音はあまり記憶のない音でした。
もしかしたら・・・異音の発生部は、「ユニバーサルジョイントの関節部分」かもしれない。
ここはシャフトがカップ状の関節部分と接して回転するため、始終擦れているところだし。。。
ふとそう思った私は、ジョイントにユニクリーンオイルを注してみることにしました。
まずは再度台車を取り外し、まずは台車側のジョイント部分(カップ内)に一滴。
続いて床下機器がモールドされているパーツを取り外し、
その中に隠れていたモーター側のジョイント部分(写真右の赤矢印)にも一滴。
・・・もしこれで改善が見られなかったら、お手上げかもしれません。
どきどきしながら、また組み立てた動力を試運転させます。
ゆっくりとパワーパックのつまみを回すと、その結果は・・・・
すぃぃぃぃぃ・・・・
超低速から滑らかに加速し始め、高速になっても実に静か、かつ滑らかです!
どうやら動力を復活させることができました!!
新品のときは、きっとこうだったんだろうなぁ・・・・
調子が落ちたので、前オーナーは手放したんだろうか・・・
治せばまだこんなに快調になるのに・・・・
私はそんなことを考えながら、何十分も蘇った埼京線を走らせ続けたのでした。
集電用の燐青銅板もついでに磨いておきました