ちょっとややこしい話ですが・・・・実際の工作は簡単です。
工作と言うほどのものでもないかも。
関水金属最初の電機はEF70で、その数年後に発売されたEF65 500は、
EF70の下回りをそっくりそのまま流用して登場しました。
どちらも1960年代の話です。
この動力は、ダイカストが上下分離式、ヘッドライトは非点灯、台車はネジで組み立てる方式でした。
仮にこれを「前期カップギア動力」と呼ぶことにします。
ところで・・・もともとEF70もスケールより長めで登場していますが、
その動力を流用したEF65は、さらに実物より長めになりました。
この「長いEF65」は、その後も延々と続くことになります。
やがて製品化されたPF型も、フライホィール搭載機も、最近発売されたPF初期型も・・・
さらにはEF65の動力と共通のEF60も、このときの「長い寸法」で生産され続けているのです。
それが当たり前のように感じられてしまうほど、このKATO寸法は定着してしまいましたねぇ。。。
・・・・と、話は逸れましたが、EF70の下回りを使っているということは、
台車もスカートも、実物のEF65とは全く違うということです。
中学の頃、最初のEF65を手に入れた私は、少しでもEF65に似せようと、
(OKIと同じように)スカートの端を斜めにカットしてみたりしたものでした・・・
前期カップギア動力の初期EF65は、EF70の下回りを流用しているので、
台車もスカートもEF70用です(1970年頃の製品)
同時期のEF70
そんなEF65も、1980年前後と思いますが、ヘッドライト点灯式の「後期カップギア動力」になった際、
正しい台車、スカートに変更されました。
・・・・これは嬉しかったですね。
ところが!それとは逆に、今まで正しかったEF70が、EF65用スカートを流用してしまったのです!
台車までEF65用にならなかったのは不幸中の幸いではありますが、
以降、EF70用台車とEF65用スカートという組み合わせは、生産終了まで変わることはありませんでした。
後期カップギア動力を装備した後期EF70は、EF65のスカートを流用しています(1980年代の最終ロット品)
話は変わって、最近のことです。
所有しているEF70最終ロット品のスカートを正しいものに交換したいと常々思っていた私は、
ふと・・・初期EF65を入手して、スカートを交換してみたらどうだろうか?
・・・・そう閃いたのです!
そのことを興奮気味にOKIに話したところ、「台車ごと交換すれば?」との返事!
そうでした!カップギア動力の時代は、台車の構造は全て共通でした!
そんな簡単なことに気づかないとは・・・・迂闊でした。
早速、中古模型ショップで初期EF65を見つけ、購入した私は、
EF65の試運転もそこそこに・・・交換作業に着手したのでした。
作業自体は至って簡単です。両車の台車を交換しただけですからね・・・・
でもせっかくなので、台車の外し方を中心に、詳細を書いておきましょう。
KATOの電機は、運転室窓パーツと動力ダイカストとの間(横の窓あたり)に固定用のツメがあります。
ここに爪楊枝を差し込んで浮かせると、下回りを引っ張り出すことができます。
特に古い製品はプラが厚いので、爪楊枝を折らないように注意しましょう。
最新のフライホィール搭載機はプラが薄く、柔らかですが、基本的には同じです。
初期EF65のボディを外すと、このようになります。
これが「前期カップギア動力」。ダイカストは上下に分かれ、下のダイカストは更に左右に分かれています。
ご覧のとおり、ヘッドライトは非点灯式でした。
もちろん、同時期のEF70も、全く同じ構造です。
前期カップギア動力から台車を取り外すには、車端近くに2つ並んだネジの、片方を外します。
反対側エンドも同じようにネジを片方外しますが、外すのは、対角線上の側です。
裏返して、ネジを外した側のダイカストを横にずらせば、台車を外すことができます。
左右のダイカストの間にマイナスドライバーを差し込み、ちょっと捻れば簡単です。
反対側のも同じようにするため、取り外すネジは対角線上の側にしておくのです。
この頃のウォームギアは真鍮製です。走行音の大きさはこのせいだったのでしょうか・・・
後期カップギア動力では、ウォームギアが樹脂製に変更されたためか、音が静かです。
後期EF70も同様に、爪楊枝2本を使ってボディと下回りを分解します。
上の写真では、ダイカストにはめ込まれていたヘッドライト点灯基盤、遮光用の黒い樹脂パーツ、
雑音防止用コンデンサは、既に外しています。
後期カップギア動力から台車をはずす外すには、ダイカスト横にある2本のネジを緩めます。
もう1本は反対エンドにあります。
このネジは完全に取り外さず、緩めるだけにしておきましょう。
余談ですが、前期カップギア動力では4本だったネジが2本となっているのは、
組立工数の削減=コストダウンという目的もあったのでしょうね。
裏返し、左右ダイカストの隙間にマイナスドライバーを入れてちょっと捻ると、台車は外せます。
ネジを完全に取り外さない理由は、左右のダイカストブロックを完全に分離してしまうと、
再組み立てに余分な手間がかかるので、ちょっと拡げるだけにとどめておいた方が無難だからです。
もしも完全に分離してしまった場合は、せっかくなので完全分解し、徹底清掃しておきましょう。
取り外した台車です。
写真では形状の違いがわかりづらいですが・・・左右の写真とも、左が初期EF65、右が後期EF70です。
カプラーポケット周りや台車枠の組み立て構造は違いますが、寸法は同じです。
ネジ式をはめ込み式に変更したのも、コストダウンのためでしょう。
ちなみに・・・同じ前期カップギア動力でも製造ロットによって、ダイカストの色、
分解防止ペイントの有無、ネジの色などに、違いがあります。
今回のEF65の台車は、黒っぽいダイカスト、銀色のネジで、分解防止ペイントはありませんでした。
上が初期EF65に付いていた台車で、台車とスカートはEF70用になっています。
(これは別ロット品なのでダイカストは普通の銀色)
下が後期EF70についていた台車で、台車は同じくEF70用ですが、スカートはEF65用です。
無事に台車を交換したら、分解したのと逆の手順で元に戻します。
前期カップギア動力は、ネジを締めすぎると下部ダイカストが反ってしまうので注意が必要です。
また、後期カップギア動力は、ネジの締め具合が走行性にかなり影響します。
2本のネジの締め具合を変えながら走行を確かめ、最もスムーズとなるよう調整します。
台車交換後の姿・・・・EF70は、台車、スカートともに正しい形になり、とてもいい感じです。
この形状のスカートは、台車マウントタイプしかありませんので、
もし固定化しようとすると、結構大掛かりな改造が必要になります。
この写真では、台車マウントのままです。
EF65は、台車はEF70用のままですが、スカートがEF65の形になりました。
台車交換後の姿を正面から見てみます。
カプラー周りに台車のダイカスト部品が見える前期カップギア動力用台車を付けた後期EF70と、
ダイカストが見えない構造になった、後期カップギア動力用台車を付けた初期EF65。
・・・・読むと複雑ですが、理解できれば簡単なことなのです。