このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

埼京線205系、動力車のメンテナンス




改造後のカプラーを組み込んだ台車を装着した阪神電車(製作中の姿)

*最初に
KATOカプラーのBタイプとは・・・台車にカプラーがパチンとはまり込む構造で、
アーノルトカプラーとは互換性のないタイプです。
その構造上、「カプラー長さを変えることは難しい」と思っていました。

しかし・・・GMの阪神電車キットを組み立てている際、
阪神用FS341台車の代替として用いた(形態の似た)TR55を用いたところ・・・
阪神電車の台車位置に装着したら、カプラーが飛び出てしまったんです。
そこで、否応なく、カプラー長さを変える方法を考えなくてはならなくなりました。
しかも、KATOの台車はご存知のとおり、接着剤の効かない軟質樹脂ですから・・・
接着を必要としない方法が必要でした。

以下は・・・その加工方法です。
結果として、慣れればどうということのない、簡単な加工になりました。
他のBタイプ装着台車でも、同様の加工ができるはずです。


KATOカプラーBタイプを装着したTR55台車(初期あさかぜ用)。
GMの阪神電車キットに使用するため、既にブレーキシューをカットしてあります。

*そもそもなぜ、阪神電車では改造が必要なのか?
阪神電車は、台車から車端までのオーバーハングが短いことが、外観上の大きな特徴です。
19m車ながら、台車間の距離(ホィールベース)は20m車に匹敵するほど長いのです。
ところが・・・GMの阪神電車キットは18m車の床板を流用しているため、
この床板をそのまま用いると・・・台車が車端から引っ込みすぎて・・・
横から見たときに「阪神らしさ」を感じさせてくれません。
阪神には詳しくない私が見ても・・・「これは違うだろ」、と思ってしまうのです。

ちなみに、鉄コレの阪神3301は、20m車にホィールベースを合わせてあり、
動力を組み込む際には20m用を使用するよう、指定してあります。
これで見事に、阪神電車らしいプロポーションを再現しているのです。
GMのキットでも、同様に阪神らしく仕上げたいと思うのは・・・当然のことでしょう。

そこで、台車位置を車端に寄せるため、床板を改造したのですが、
その結果、今度はTR55台車のカプラーが車端から思いっきり飛び出してしまいました!
連結車間は1cm以上になってしまったのです!
このままではさすがに使えず・・・カプラー位置を引っ込めなければなりませんが、
都合の悪いことに、この台車に付いていたのはKATOカプラーBタイプ・・・
そこで、これを引っ込める加工を考えなくてはならなくなったというわけです。

「阪神は密連なのに、自連を使うのか?」という突っ込みはあるかと思いますが、
そこはご勘弁を。
改造ネタに使った台車が客車用で・・・自連付きだったもので。
もちろん、密連型のBタイプでも、同じ改造が可能です。

*改造方法は・・・意外と簡単です
①分解
まず、台車とカプラーを分解します。
台車からはカプラー方向に柄が伸びていて、
そこに開いた穴を上下からカプラーのパーツが挟む、という構造になっています。
カプラーのパーツは互いにはめ込みになっているので、
爪を外せば、簡単に取り外すことが可能です。


台車からKATOカプラーBタイプを取り外した状態

②新たな穴あけ
今回のケースでは、実測で約3mm、カプラー位置を縮めることになりました。
両側合計で6mmぶん縮められるので、1cm以上あった車間が5mmほどに短縮できます。
これなら実用上差し支えないし、見た目もよい感じになります。

まず・・・元の穴の位置から台車中心寄りに3mmの位置に、ピンバイスを用いて穴を開けます。
開ける穴の位置で、短縮したい長さが決まります。
このとき開ける穴は小さめでもOK。
穴が貫通した後細密ヤスリで拡げてゆき、オリジナルの穴と同じ大きさに仕上げます。


台車中心寄り3mmの位置に、新たな穴を開ける

③柄の加工
穴が開いたら、カプラーを装着する「柄」の部分を加工します。
新しく開けた穴から車端寄り1mmほどのところで、柄をカットします。
(オリジナルの穴の周辺は廃棄となります)
続いて、①の写真での・・・加工前の柄と同じように、穴の周囲の形状を加工しました。

加工に用いたのは、デザインナイフとヤスリです。
KATOの台車は加工しやすい軟質樹脂でできているので、
ほとんど・・・デザインナイフだけで形を整えることができました。
ヤスリは、面を整えるときにだけ使いました。


新たに開けた穴の周囲を、加工前の穴の周囲と同じ形状に仕上げます

形が整ったら、カプラーをはめ込んでみます。
上下から挟んでみて、ぱちんとはまれば完成です。
柄の形状を加工することさえできれば、他に難しいことはありません。

このときのポイントは、加工した部分が元の柄より小さめならOK、ということです。
小さい分には、カプラーがきちんとはまってくれますから。
もしゆるくなってしまったときには、瞬間接着剤を少量流して固定します。
逆に・・・もし柄が大きいと、カプラーが装着できません。


上が加工後、下が加工前の台車。カプラーの出具合がこれだけ変わります。


*完成!
加工は以上です。

これだけのことで、カプラーを3mm引っ込めることができました。
下の写真を見て明らかなように、阪神電車に装着したときのカプラー位置は、バッチリです。
今回は3mm縮めていますが、開ける穴の位置を変えれば、
カプラー位置は任意にすることができるのです。
しかも、接着を必要とせず、元のパーツをはめ込んで使用できるという・・・
我ながら実にスバラシイアイデアを思いついたものだと自負しています。

もしKATOカプラーBタイプを使用した台車で、カプラー位置を短くする必要に迫られたときは、
この方法をお試しください。


左写真:加工前の台車装着時・・・カプラーが出すぎています。
右写真:加工後の台車装着時・・・カプラーの出具合がちょうどいい感じに。







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