このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

TOMIXロコにKATOカプラーアダプターを装着



味のあるオレンジ色の車体

*見捨てられないジャンク品
中古模型ショップに行くと、ボロボロの状態の旧い製品が格安のジャンク品として売られている、
そんな場面によく遭遇します。
塗装面が痛んでいたり、パーツが折れていたり、大きな傷があったりすると、
修復するのには結構大変な作業を必要としますが、
そうでなければ、ちょっとしたことで復活させられることも多いもの。
特に旧い模型には目のない私は、
そんなジャンク品を見つけると、とにかく直したくてウズウズしていまうのです。

今回ご紹介するTOMIXのEF71初期製品も、そんな1両です。
ボディは奇跡的に無傷ですが、屋根と床下などに見た目の難があり、
また、走行状態もひどく、集電不良でほとんど走らない・・・ということで、
たったの数百円だったのです。

*ジャンク状態を確認する
見た目の不具合は・・・屋根上の高圧配線が碍子もろとも折れていること、
片側のパンタの上半分が紛失していること、
屋根と床下の一部に接着剤(瞬間接着剤?)が付着していることでした。



ジャンク状態・・・左上・上半分のないパンタと折れた碍子、右上・屋根上の一部には接着剤、
下・床下機器にも接着剤が。。。

その他、見えないところの不良も結構ありました。
片側の台車の集電バネが欠損、同じ側のライト基板が欠損、同じ側のライト導光パーツが欠品。。。
おーい!コレじゃ片側台車でしか集電できてないじゃないかい!
おまけに、残っているライト基板も、球切れしているのか、ライトは点灯しませんでした。。。

*動力部を再生する
ということで、早速、動力を再生することにしましょう。
基本的には、欠損しているパーツを補ってあげるだけです。
私の手元には、やはり数百円のジャンクとして入手した、同じTOMIXのEF64があります。
この両車、製品化時期が近いため、かなりの部品が共有されているのです。
EF64はボディがかなり痛んでいるし、ひどい色注しもされているので、
復活させるのを諦め、EF71の再生のために役立ってもらうことにしました。

ばらばらに分解している最中

①.台車
集電用のバネをEF64から拝借し、欠損していたEF71の台車に装着しました。
修理はたったこれだけです。
ただし、全体的に汚れがひどかったので、完全にばらした上で、
車輪、ギア、集電パーツなどをクリーナーで磨いておきました。
また、運転性を考慮して、片側をKATOカプラー化しています。
今回はアーノルトカプラーを取り外した後、高さに気をつけながら、接着してしまいました。


左写真:EF64から拝借した集電用のバネを装着
右写真:片側はKATOカプラーを挿入し、そのまま接着してあります

②.ライト基板
EF64のものをそっくり流用しました。
EF71に残った1枚とEF64のものを比較すると、基板の色は違いますが、同じパーツだと確認できたのです。
このとき、EF71に残った1枚の電球が、焦げているのに気づきました。
過電流で切れたんでしょうか。。。。

ちなみにこの動力は、集電バネがこのライト基板に接するようになっていて、
この基板がモーターへの通電の役目も果たしています。
従って、集電バネだけを補っても、再生させることはできないのです。

ここでいったん動力だけ仮組みして、試走してみました。
って、ありゃ・・・逆走だ!
モーターの向きを逆に組んでしまったようです(笑)
正しい向きに装着しなおすと・・・シャー!というスプリングウォーム独特の軽やかな音とともに、
快調に走り出したのです!!
もちろん、ライトの点灯もOKです。

これはちと予断ですが、この頃のTOMIX動力は、ネジを8本も使って組み上げられています。
なのでいったん間違えると・・・かなりメンドクサイことになります。
モーターを外すときは、向きを間違えないよう、目印をつけておいた方がよいですね。


左写真:左がEF64用の基板、右がEF71用の基板。
右写真:欠損していた集電バネと基板を調達することで、無事復活した動力。

③.導光パーツ
無事走るようになり、電球も点灯するようになったとしても、
ヘッドライトまで導光するパーツがないのでは、仕方ありません。
これもEF64用のものを流用・・・・と思ったら、これは意外と厄介でした。
EF64とEF71では車体長が異なり、そのため動力部ダイカストの形状も違います。
そして、ヘッドライト導光パーツの形状も、まるで異なっていたのです。

試しにEf64のものをEF71のボディに装着してみると・・・
ヘッドライトの位置は、幸いにもピタリと一致してくれましたが、
動力ダイカストと干渉してしまって、ボディと動力が合体できないことがわかりました。

そこで・・・EF64の導光パーツをヤスリがけし、
EF71のダイカストと干渉しないよう、現物合わせで改造してみたのです。
削っては合わせ、また削っては合わせ・・・これを繰り返し、なんとか入るようになりました。


左写真:左がEF71の導光パーツ、右がEF64の導光パーツ
右写真:EF71のダイカストに合わせて削りました。。。

かなりの部分をヤスリがけしたため、透明でなくなってしまった樹脂・・・
こんな状態で光をちゃんと導いてくれるか心配でしたが、動力部にボディを被せ、試走させてみたら・・・・
おお、暗いけど、なんとか点灯状態が確認できます!これで充分でしょう。
EF71オリジナルの導光パーツの方は、さすがにしっかりと点灯がわかるんですけどね(^-^;


導光パーツの比較。左がEF71オリジナル、右がEF64のものを加工したもの。

*外見の補修
動力が無事に復活したので、続いて屋根周りの見た目の補修をしました。

①.接着剤痕の補修
屋根上にベタベタと付いていた接着剤は、耐水ペーパーで綺麗に磨き落としました。
その結果、一部のディテールも一緒に削れてしまいましたが、
言われなきゃ気がつかないような些細なものなので、そのままにしてあります。
一所懸命自分でそれを補うと、却ってアラを目立たせてしまいそうだったし。。。
そして、修正痕を目立たなくするのと、屋根上を落ち着かせる目的で、
屋根全体を艶消し黒のスプレーで塗装しました。

②.高圧配線
足が折れていた碍子は廃棄し、銀河モデルも6段碍子に交換しました。
正確には2,3種類の碍子が使われているようですが・・・自分の目では区別できないので、
全て同じ碍子を用いています。
高圧配線は、0.3mm銅線です。
Ef71は配線がシンプルなので、全く苦労はないですね。
碍子の上面に彫ってある溝を通し、瞬間接着剤で固定しています。

③.パンタグラフ
台座は元の車両のものを使い、本体はEF64から頂戴しました。
シューの部分は、ジャンクボックスを引っ掻き回したら見つかった、交流用のものを使っています。
同じものが2個なかったので、微妙に異なるシューになってますけど・・・
どちらも何のパンタのものなのか、わかりません。


左写真:銀河の6段碍子と0.3mm銅線で再現した高圧線
右写真:EF64のパンタグラフ本体と、何かのシューで再生したパンタ

④.床下
接着剤の付着した部分は、ディテールを潰すほどではなかったので、
全体に艶消し黒を塗って目立たなくするだけにしておきました。
これだけでも、ほとんど気づかないでしょう。

⑤.仕上げ
銀河モデルの碍子は、そのままでは銀ピカ状態・・・なので、エナメルの艶消し白で塗装しておきました。
同時に、パンタの碍子も白くしておきます。
これで、かなり「締まった」感じの屋根になりました。
さらに、前面スカートに薄墨を流した後に綿棒で拭き取り、全体的にくすんだ感じに仕上げ、
側面フィルタにも、薄墨を流しておきました。
白く塗装した碍子と、光り輝く銅線

*そして・・・元ジャンク車両が大活躍
こうして・・・ゴミ寸前だった車両を復活させることに、この上ない満足感を覚える私なのでした。

ところで、TOMIXのこの時期の製品は、(EF64もそうですが)台車内のギアが白いのが特徴です。
そしてこの白ギア動力は、私の経験ではその後黒くなったギアの動力よりも調子がよいのです。
このEF71もその例にはもれず、やや音は大きいながらも、とても安定した走りを見せてくれています。
同じくオレンジ色をしたKATO(当時は関水金属)のEF70ともども、
我が鉄道では、これからも最新鋭の製品と混じって、大活躍をすることでしょう。


ほぼ同じ構造の後期ロット品(但しスカートはKATOのED75用に交換済み)とのツーショット。
車体色とHゴム以外はほとんど同じであることがわかります
(現在の製品は全面リニューアルされたので、彼らとは全く違う表情をしています)







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