*製品との関わり
KATOの181系は・・・確か1970年代後半に最初の製品が発売されました。
電車としては、103系に続く、同社(当時は関水金属)の第2弾だったと思います。
その出来は、当時としては素晴らしく、Nゲージの新しい時代が始まったと実感できるものでした。
しかし・・・どうしても買う気にはなれませんでした。
それはなぜかというと、ディテールはしっかり作られているのに、あっさりとしすぎて全く目立たず、
全体の佇まいが実感的に見えなかったからです。
なので全く買うことなく21世紀を迎えてしまいました(笑)
しかし、中古美品の「とき」セットを買い、正面帯ナシのクハとクロハも手に入れてしまった私は、
その佇まいの改善をすることにしました。
奥が旧151系タイプ、手前が旧161系タイプ。ボンネットにうっすらと境界線が見えるのがわかりますか?
写真だとよく見えないけど・・・
*いざ実践!
・・・とは言っても、やったことは大したことではありません。
「目立たないディテールを目立たせる」にはどうしたらよいか・・・・
繋ぎ目や影をくっきりさせれば、ディテールは見えてきます。
そう・・・こういったときの常套手段、墨入れをしたのです。
しかし今回は、プラモデル用に市販されている、墨入れペンを使用してみました。
エナメルカラーを薄く溶いて面相筆で流し込むよりも、手際よくできるだろうとの読みです。
コンマ数ミリのペン先をしているものを選び、
ドア、点検蓋、エアコンのルーバー、非常口、シャッター部分など、
せっかくのディテールが目立たなくなっている部分に流し込んでいきます。
製品のモールドが浅いのでかなりはみ出してしまいますが、気にせずどんどん作業します。
そして1車両ぶんが終わったら、エナメルシンナーを含ませた綿棒で、余分をふき取っていくのです。
エアコンのルーバー、ドア、点検蓋、シャッターなど、墨入れ効果がよくわかります。
するとどうでしょう。
継ぎ目や影がはっきりと見えることで、本物らしさが向上したではありませんか。
実物の181系は、当時の国鉄の保守がよくなかったのか、
もともと耐用年数が短く設計されていたのか、
こういった箇所から腐食が進み、黒ずんで見えていたものです。
腐食まで表現することはありませんが、少なくとも継ぎ目は黒く見えるのが正解というものでしょう。
特に・・・モハの車端部にある、ゴミ出し用のシャッター表現は秀逸です。
こんなに細かなディテールが作られていたなんて、墨入れをして初めてわかったのです。
*先頭車は、さらに念入りに
そして先頭車にも墨入れをします。
ヘッドライトケース下のスリットや、スカートのタイフォン用の穴、乗務員扉とボディの境界、
こういったところは、実物写真を見ればわかるとおり、全て黒く見えるものです。
これらに墨入れをすることで、「らしさ」が強調されて、いい感じになります。
そして、ボンネットとボディの境界部分が、ハイライト。
ここも・・・新車当時でさえ、境界線がはっきりと見える部分です。
なのに製品は・・・本来凹んでいる部分が弱い突起になっているだけで、肉眼では全く見えず・・・
私がこの製品で、一番「非実感的」だと思う部分なのです。
境界が突起状になっているため、「溝に流す」という普通の手段ではできません。
どうするか少し考えた末、突起に沿って墨を塗り、乾いたら拭き取ることにしました。
失敗したらどうしようかと躊躇もしましたが、思い切って試してみると・・・
結果オーライ!!
突起がほんの僅かしかないので、拭き取ると大部分が消えてしまいますが、
わずかに残った墨が、境界線をはっきりと見せてくれたのです!
よっしゃー!!
ということで、先頭車は4両とも全て、この作業をすることになりました。
各所の墨入れに加え、JNRマーク、グリーン車マークも加わり、実感的になったクロハ181。
やっぱり写真だとボンネットの境界線が目立ちませんが。。。
そしてついでに、GMから発売されているJNRインレタを、
帯ナシ先頭車に貼りました。
クロハには、KATOのグリーン車マークも貼って、とてもいい感じの先頭車とすることができたのです。
*結び
同じKATOのボンネット型特急電車でも、最近製品化された485系では、
ボンネット部分の境界が、ちゃんと凹んでいるようです。
181系(151系)も、間もなくリニューアルされるので、そうなるはず。
でも、旧製品だって・・・墨入れで、なかなかいい感じにすることが可能です。
181系は長期間にわたり生産され続けたので、持っている方は多いと思います。
ぜひ、このようなちょっとしたことで、愛用し続けてほしいものです。
・・・って、いつも結びは同じですが(笑)