このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

4.工作に目覚めた頃(後編)  

自分が951系、LM328iがクロハ181を担当。

角材から削りだし、紙やすりで整える先頭部の製作は、
その後の工作に比較しても最高の部類に入るほど、記憶に残る作業でした。
原寸の図面と見比べ、正面上面側面を見合わせ、斜めから見て歪みが無いかを確認し。。。。
自分にとって、極めて精巧な先頭部が出来上がった時の喜びは、
「Nゲージ」の記事を越えた発想を生み出していきます。
削りだし作業による先頭部の製作は952型用にもう一つ作られますが、
952用は横着な発想をし、田舎の親戚が遊びに来た時持って来た、
発泡樹脂で出来た折り詰め弁当のフチを利用し、接着して簡単に削りだしたのです。。。

「知恵」は動力にまで及びます。
製作記事では、モハ103の動力を使用してフリーの中間車を作り、
実物は2輌編成のところをを3両化する・・・・というものでしたが、
自分はモハ103を2両使い、片側のみ動力台車を使用して、2輌編成のまま両方を動力化、
台車の中心には燐青銅線でフックを作り、レールの裏に引っ掛けて、高速でも脱線しない・・・・
こんな構想までもが沸いて出ます。

木の板で妻板、屋根を作り、方眼紙で側面を作りましたが、
サーフェサーも吹かないボール紙の方眼紙に窓を開けるのだから、角のRはケバだらけです。
台車とパンタは真鍮製の自作に挑戦。
太刀ばさみで、手に豆を作りながら必死に作ったかと。。。。
台車は精度など出るわけもなく、振り子のようにしか走らず、
結局LM328iの助言で、キハ20用のDT23台車を買い、その側面を削って作ることになりました。。。。

初めて自作するNの車輌。
当時の自分にとっては全てが新鮮で、どんな物が出来上がっても記事と同じになっていくように見え、
最高の達成感があったものです。
他人にとってもこの光景は興味をひいたようで・・・・
クラブの顧問の先生が、我々二人の作品を眺めるや、
「これはニスを塗るといい。うん絶対ニスだ」と一言。
この先生は、その後我々の間で「ニス先生」と命名されてしまったのです。

このときの工作は、ラッカーによる塗装という、新しい工程をも体験させてくれます。

LM328iが担当するクロハ181と、我が951を塗装するために、
LM328iが推奨した塗料を購入しました。
その塗料は、忘れもしないマッハ模型の鉄道調色塗料。
50ml位の円筒形の缶に入った、模型専用のラッカー系塗料です。

早速自分の家に集合して、951を塗ってみる事に。。。。。
「良く振ってから使わないと、本来の色が出ないよ」
LM328iのこの忠告に納得し、手がちぎれんばかりに缶を振り、
きっちりと栓のされた缶を恐る恐るこじ開けてみると・・・
美しいアイボリーホワイト!・・・・は現れず、東海道新幹線試作車みたいな黄ばんだクリーム色。

「あれだけ振ったんだ、塗れば白くなるんだよ」
LM328iの気の利いた一言。

筆にタップリと付け、先頭部から、スーッ・・・・と一筆。
想像を超えるさらさらした塗料は、しかしクリーム色のまま。

「乾けば白くなるんだよ、きっと」とまた一言。

塗れる部分を塗って、待つこと数十分。
しかし一向にホワイトにはなりません。
ここまで来るとさすがにおかしい事に気付き、割り箸を使って攪拌する事に。。。。
うまくいかない事が気に入らなかったのか、狂ったように攪拌すると・・・
あっさりと新幹線アイボリーとご対面です。

常識が常識であることを体験してわかった時の、「ナァ〜ンダ!」と言う滑稽なシーンは、
今にして思えば微笑ましい記憶の一つです。

また、その年頃は、決して「待つ」と言う事が出来ません。
乾燥したかどうかを確認するたびに付けてしまう指紋。そのたびに塗りなおします。。。
塗膜をシンナーで落としたり、ヤスリで削った覚えはないから、
かなりボテボテの仕上がりになったかと思います。
(そういえば、シンナーで塗料を薄めて使うなど、考えもしませんでしたね)

LM328iが帰った後にもう1輌、発泡樹脂を張り合わせて作った、952の先頭部を思い出します。
まだ、屋根も側面も妻板も作っていませんが、
塗装という新鮮な作業が、まだ何か塗りたい!という感情を静めることが出来ません。
指紋をつけずになんとか塗り、翌朝、乾燥を迎えたところで見てみると・・・・

なんと!
腐ったバナナのような萎んだ形となっています!

シンナーは発泡樹脂を溶かすのか。。。
一寸たりとも狂いは無いと思った先頭部が、シワシワの変わり果てた姿。
そのときの愕然とした思いは、未だに忘れられない瞬間です。

しかし、萎える気持ちは、
アイボリー一色だった951にブルーのラインを入れる工程が忘れさせてくれます。
マスキング!こいつも新鮮な作業です。

セロテープを使わず、張った上から字が書ける「スコッチメンディングテープ」を使った方が、
貼り残しがわかって良い・・・・なんて訳の分からない理論を生み、
先頭部側面のブルーラインのRの部分は、何枚も何枚もそれを貼り重ねてマスキングしました。
塗装乾燥後、無事綺麗なラインが浮き出た時は、
安堵感と狂喜の不思議な感情に酔いしれたものでした。

最後に・・・仕上げとして・・・質感をあげる為、クリアラッカーを塗って仕上げようと、
図工クラブで試みようとしました。
赤い缶のマメラッカーを買い、学校に持って行きます。
午後のクラブの時間まで、ウキウキしながら授業を受けていると・・・
午前中の授業に事件が起こります。

教室に立ち込める、甘く鼻を付く臭い。。。。。
たちまち臭いに敏感な一人が叫びます。
「くせー!!」「なんだ、なんだー?」
クラス中が大騒ぎになり、私も驚きました!!本当にくせー!!

しかし・・・一緒になって騒いでいるうち、にふと嫌な予感がしました。
椅子にかけたジャンバーのポケットに手をやると、粘質な感触が指先を覆います。
蓋が開き、ほんの少し中身が漏れ・・・・ジャンバーの表面に染み出ているではない
ですか!

あちゃーっ。。。。これか。。。
そっとマメラッカーの蓋を押し込み、LM328iにジャンバーのポケットを見せると、
その原因をすぐに理解した彼は、臭いが引くまでみんなと一緒になって騒ぐのでした。。。。。
「くせー!!」・・・・もちろん笑いながら。。。

たったあれだけの量であんな臭いが立ち込めるのでは、
たとえクラブの時間とは言え、校内では使えないな。。。
クリアラッカーを塗る事自体を諦めたため、結果として我が951は完成を迎えるのでした。

苦労して出来上がった・・・・恐らく塗り重ねた筆塗り塗料でボテボテ、かつ指紋の付いた・・・・
良く見ると歪んでいたと思われるこの一輌は、
当時の自分にとっては寸分狂わず完成した、最高の一輌でした。
ほぼ同時に出来上がったLM328iのクロハ181と背中合わせに連結し、
体育館での発表会で披露した時は、大変な反響があったものです。。

・・・とは言え、体育館の舞台で披露した小さなNゲージ、
ほとんどの人からは見えなかったと思いますが・・・(笑)






このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください