小学校6年生のとき、OKIと私は科学教材社刊「Nゲージ」という本を手に入れました。
まだまだ日本のNゲージ製品が少なかった頃、
自作や改造で車種を増やすという工作記事が満載のこの本は、
穴が開くほど眺め、ぼろぼろになるまで繰り返し読んだものです。
OKIが当時の本を保管していました。ページがはがれ、テープで補修してあります。
私も同様の状態になり、高校生ぐらいのときに捨ててしまいました。。。
そして私が181系こだま、OKIが新幹線951系試作車の製作を決意、
同時進行で生まれて初めての鉄道模型車両自作にとりかかったのでした。
(このあたりの顛末は、「
昔の買い方、今の買い方
4.工作に目覚めた頃(後編)」をご覧ください)
結局1編成作るほどの根気も財力も技術もなかったため、
かろうじて形になったのは、クロハ181の1両のみでした。
以後、ジャンクボックスに入れられて、すっかり忘れられていたのです。
これが本邦初公開、LM328iの処女作、クロハ181(1972年製作)です。
全自作車両となると、30年間で、形になったのはこれ1両しかありません。
押入れの奥深くにしまいこまれたダンボールの中のジャンクボックスから、2004年に発掘されました。
見つけたときの衝撃は、そりゃぁ凄かったです(笑)
以下・・・とても他人に見せられるようなものではないと思いながらも、
自らの記念碑的な車両なので、恥をしのび、当時を思い出しながら、ご説明したいと思います。
前頭部は角材から削りだし、ヘッドライト部分は帯材の加工です。
運転室、ベンチレータ、クーラー、スカートも平板から削りだしたと記憶しています。
ヘッドマーク部分は、確かキリで穴を開け、彫刻刀で拡げていったんじゃなかったかな。。。
まだ、精密ヤスリも糸鋸も知らない頃、恐るべき執念です。。。(^-^;
材料は、学校の近くの文房具屋で工作用のものを手に入れたはずです。
ボディは「Nゲージ」に付属していた1mm方眼のついたボール紙に鉛筆でケガき、
カッターで切り出したものです。
窓のRは、カッターを45度に当てただけだったような・・・
使用した接着剤は、セメダインCかボンドG17だったでしょうか。
なかなか、雰囲気は出せていると思いません?(^-^;
塗装にはラッカー系塗料のマッハ模型製「鉄道調色塗料」を初めて使用、
しかも筆塗りしたため、コツがまったくわからず・・・
シンナーで希釈しないで何度も塗り重ねたので、超ボテボテになってしまいました。
吹きつけ塗装をしたくとも、道具は持っていなかったし・・・・
筆も、水彩用のものを使ってしまったかもしれません。
でもそのわりに、スコッチテープを利用したマスキングは、うまくできていますね。
もちろん当時、目止めやパテ修正などというものは、よく知りませんでした。
結果として、塗料で目止めや穴埋めができたって感じです(ぼこぼこですけど)
窓ガラスは入っていません。
Yシャツを買うと襟の部分の型崩れ防止用に入っている、透明塩ビ板を使うつもりだったはずですが。
屋根上は、ボディに比べてすっきりとできています。筆塗りもわりとうまくいった感じです。
この銀の塗料は・・・・確かプラモデル用のアクリル塗料だったかと。。。
ラッカーに比べて、塗料の伸びがよかったのでしょう。
きのこ形クーラーを2つ同じ形に仕上げるのに苦労した思い出があります。
小さなベンチレーターは、細い檜角材をカッターで細工したものですが、結構雰囲気が出ていますね。
車内もボディと同色で塗ってありますが、外側に比べて気が楽だったのか・・・・
ムラなくのびのびとできています(笑)
前頭部の裏は彫刻刀でくりぬいて、ヘッドマーク取り付けに備えました。
台車が当たる部分のスカートも、若干削った跡が見えます。
側板との接続部には、補強を兼ねて運転室と客室との仕切りも作ってあります。
このあたりが、工作をしていて一番楽しかった部分だと思います。
でも、ヘッドライト部分はどうするつもりだったのでしょう?
側板下部には補強のため、方眼紙を貼り重ねてありました。
実物同様、裾を絞った車体断面も再現しているのですが、
それ以上に塗料の厚みとムラが凄く、ほとんどそれとわからない状態です。
下回りは未完成です。
床板も工作用の平板から切り出しました。
カッターで何度もスジを入れて切った記憶があります。
床下機器らしきものが2つ・・・一つはバルサ材の削りだし、もう一つは工作用の細い角材です。
台車は関水金属の103系用。先頭部のカプラーはカットしてあります。
写真では見えませんが、台車を取り付ける部分には、プラ板(塩ビ板?)でボルスターを作ってあります。
台車の取り付けをどうするか、かなり悩んだのでしょうね。。。
台車をはめるためにカッターで薄く削られた床板。
塩ビ板のボルスターのおかげもあって、なんとか取り付けられました。
前頭部にはまる部分は、その形状にカットしてあります。
なぜ床下を塗っていないのに床板の車内側は銀色になっているんでしょう?(^-^;
床下を塗るための黒いラッカーを持っていなかったのも事実ですが、
それ以前にまだ床下はできてなかったっけ。。。。
結論。。。
どこをとって見ても、子供が一所懸命に考え、悩み、苦労した、その跡を偲ばせてくれるとは言え、
決して出来の良いものではありません。
しかし、眺めているうちに微笑ましい気分になることができる、私の一番のお宝車両です。
KATOのクロハ181があったら、並べてみたいものです(笑)
尚、今回の撮影に使用した線路は、クロハ181と同じジャンクボックスに入っていた、
私が生まれて初めて買った(買ってもらった)線路・・・
これも懐かしい、PECO製のPC枕木付きフレキシ線路です。