このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

ローカル駅セクション

DLへのウェザリングチャレンジ!




関水金属(KATO)が、タキ3000の技術を応用した軟質プラの細い手すりを表現し、
発売したのが、DD13でした。
機関車では初の前照灯つき(製品ではキハ82に続いて2番目)でもありました。

1970年代後半さらりと発売されたこの製品、
走りに関しては、改良新発売されたC11と同じくギア鳴りもせず、
(スケールスピードであれば)車輪の転がり音とジョイント音しか聞こえないという、
すばらしいものでした。

ディテールでは、キャブ側面の窓サッシに色入れが無いくらいで、他には非の打ち所がなく、
キハ82と共に関水金属の・・・と言うよりNゲージの将来を確立させた製品だったと思います。
当時、他メーカーに於いてはこの製品に追いつき追い越さなくてはならず、
さらに大きな課題、目標を課せられた事と思います。

KATOはその後、次のDLとして、DD51を発売します。
その製品はキャブ横の金網越しに見えるエアータンクを表現する等、
DD13以上のその表現に驚かされましたが、
私個人的には、そのガッチリとしたボディと優れた動力装置の組み合わせに、
大変な高級感を感じたものです。

しかし、このDD51を手にした時に悲劇は始まります。
前述のように大変良く出来たディテ−ル。
こいつはウェザリングして実物同様に汚すしかない・・・・・


鼻息も荒くいざ分解。高級感と感じたガッチリとしたボディがその行為を許さないかのように
立ちはだかります。
キャブを外せば簡単に分解できるはず・・・・・

下回りを掴んでキャブを左右に拡げようとしてもビクともしないばかりか、
台車を止めるダイカストのボスの片側がU字型の真鍮線で代用されているためでしょうか
(この部分は、最近のロットではダイカスト一体型に改良されている)、
キャブを取ろうと強く引っ張ると、先に台車の方がポロッと取れてしまう・・・・

屋根板を外してはどうか?
慎重に屋根を引っ張ったのにもかかわらず、
窓と屋根板との間、ボディの細い部分に爪があるようで、
その細い部分が「へ」の字に・・・折れる寸前までへし曲がりました・・・・

結局、キャブ下の金網越しのエアータンクが表現された板とその反対側の同じ部分に、
キャブを止める爪があることが解り、
床下機器の裏側から、小さな隙間を使って、その板を外す事としました。

手すりと床板が一体になっている軟質プラに、片側4つの大きな爪でその板は止まっています。
まずキャブ側の爪をマイナス精密ドライバーでコジるようにして外し、
次に外側をコジります。

後で分かった事ですが、順番を間違えるとボンネットが破損します。

これがうまく外れると、キャブ下にダイカストとガッチリ噛み合った、
窓ガラスパーツに成型されている爪が現れました。

当時の関水は、基本的にユーザが分解するのはご法度だったようで、
他の車種も分解するのに苦労したものです。
しかしメンテナンスの度にメーカーにオーバーホールを頼むのも馬鹿らしく、
ある程度簡単に分解できる構造にして欲しいと強く希望するのでした。
事実、後に出たDE10は比較的簡単に分解できる構造の設計となっているし、
最近の製品は、ボディをちょっと左右に膨らませると、
簡単に下回りを外せるものが多くなっています。

私のようにボディを傷つける人も多々いらっしゃったかと・・・・
同じようなユーザの声が多かったのでしょうか?

しかし・・・ここまでの作業で、お気に入りのDD51はもうボロボロ・・・・
格好よくウェザリングされたDD51を想像することで、萎えてしまいそうな気を奮い立たたせます。

エアブラシ等、持っているわけも無く、無い知恵を絞り身近な情報の中、下記の様に実施しました。

*エナメル塗料
 まずはアクリル塗料を侵さないエナメル塗料。
 車体をエナメルの専用シンナー漬けにして、上面を中心に筆でそれらしく塗料をにじませました。
 実機をよく観察しているわけでなく、資料としての手持ちの写真も少なく、それよりも増して
 センスも無く・・・・
 
*パステル。
 当時流行のパステル。6色位のパステルを削り車体にこすり付ける。。。。
 「いい感じ!」と満足しても、車両を出し入れしているうちに、
 ケースの中のモケット状の緩衝材に拭き取られ、いつの間にか消えている・・・・

以上の試みから導いた結論は
①自己満足の「汚し」では、センスも無く、ただ汚なくしているだけとなってしまう。
②他の車輌がウェザリングしていないのに機関車のみ汚れているのは変である。
③お座敷運転では、自分のウデでウェザリングした車輌は、映えない。
・・・・・・
御座敷運転中心で、ウェザリングした車輌を、精巧にできたレイアウト上に載せる環境が無い自分にとって、
ウェザリングという行為は、
単に「製品の美しさを一つずつ駄目にしている」行為にしか思えませんでした。

このDD51は、自分的には一応、「良し!」としたウェザリングを完成しましたが、
時が経つに連れ・・・・ただ塗料を付けてしまった汚い車輌にしか見えなくなりました。
完成した時は満足しても、飽きてしまうのでしょうか・・・

結局数ヵ月後、エナメルの専用シンナーに漬けてウェザリングを落とす事に。。。

しかし、時の経ったエナメルは専用シンナーでは剥がれてくれません。
2日間漬けっぱなしにして歯ブラシで擦ったところ、
ディテールの角にウェザリングは残り、同時にディテールの角は取れ、白いラインは剥がれ、
戦闘機として長年使い古したかのような姿形となってしまい・・・
鉄道というジャンルを通り過ぎた(?)「下手物」となってしまいました。

そして当時お決まりのASSYパーツによる再生。

高田の馬場のショールームでキャブ1つとボンネット2つを購入
(当時はボンネット1つから買えたんだよね)。
帰宅するや否や、再度分解して下手物と化したボディを取り外し、それに変わる購入して来たボディ
パーツを眺めていると再度新品と生まれ変わる喜びが沸いてきます。(余計な出費は棚に上げて・・)
しかし精巧にモールドされたDD51のディテールは、
特に金網部分がボディの朱色一色なのは、明らかに不自然です。

あのウェザリング行為はなんだったのか・・・・・・・・。

外した下手物ボディが訴えます。
「購入直後は、あれほど感動してくれたじゃないの!」
・・・そんな訴えに対して、突然ひらめきました。

製品として汚そう。。。。いや色を入れよう!
黒いところは黒く、ディテールに沿って、黒い色を入れる。
自分にできる最良の方法は、汚すのでなく主観的色いれです。
・・・結論はここに達しました。


ウェザリング&色入れした2両と、未加工の1両

*ラジエータグリルとキャブ前の通風孔の色いれ。
 ①タミヤエナメル塗料マッドブラック+レッドブラウン少々
 ②白いラインが透けて見えるほどに薄める。
 ③ディテールからコンマ数ミリはみ出るように筆塗り。
 ④乾燥後ディテールに合わせてセロテープでマスキング。
 ⑤不要部分を専用シンナーを含ませた綿棒で拭き取る。

しかしこれを「ウェザリング」と呼んでいいのかどうかわかりませんね(^-^;

ウェザリング前(左)とウェザリング後(右)


さて・・・・数ヶ月前のことですが、とある専門誌に、
素晴らしいウェザリング作品の特集が掲載されていました。
特に気動車の車体裾にパステルの粉を付着させその上から塗装、
乾燥後に塗装を剥がし浮き出た錆を表現されている作品は、
HOのサイズとは言え、驚嘆することを通り越し、溜息しかでない物でした。
それに比べて私のこの技法は、製品のHゴム部分に色入れするようなもので、
正確にはウェザリングとは言えないでしょう。

しかし(あくまで自分の主観ですが)、
お座敷運転の線路を駆ける車輌としては、この程度の「色入れ」のほうが様になります。
いつの日かエアブラシなどの塗装工具が揃い、自分の腕も上達したときに、
この色入れが、本来の意味のウェザリングの邪魔にならない事を前提に考えた

「汚しの為の工作法」

なのです。
って・・・これまた「超自己満足」の世界なのでしょうかね。。。。。。。。。。。。。。。


さて・・・次に、細い手すりを表現された軟質プラの床板の塗装について記しましょう。

まず問題になるのが塗装の食いつき。
一般的には洗浄後プライマーを下塗りするのが、常識ですね。
今まで専門誌を読んだ中で、ゴム系接着剤をシンナーで溶かして下塗りするという記事もありました。
しかしいずれも完璧ではなく、塗装後の取り扱いは注意と記されています。
ソフビの人形なんかは削らないと剥がれない印刷や塗装がしてあるというののに、困ったパーツです。
完璧にならない物に余計な出費を掛けたく無いという変な考えがあるせいか、
プライマーは買った事がありません。

今まで実施した中で一番納得できたのが
①まずパーツ全体を汚れを取るような感じでラッカーを筆塗り。
 数日の間を置いてシンナーに漬け筆でこするように塗料を剥がす。
 この時、筆による細かいこすり傷が付くせいか、全体に塗料が染み残れば締めた物です。
 後は全体をラッカーで吹き付け塗装。
②フチにエナメルの艶消し白。
 ・・・ステップの上の部分はフリーハンドで白い線を書き、
 側面の淵には多量の塗料を塗ると言うより・・・端から端まで塗料を置くようしてにして塗りました。
 乾燥後は平らになります。
③手すりにアクリル系ホワイト。
 ・・・ここは艶があったほうが全体が映え、引き締まると思います。

もちろん取り扱いは注意ですが、このパーツに色が入るだけで見違えて見えます。


色入れの様子

最近の新製品は、こんなところにもきちんと塗装がされており、
わずかな自己満足も味わえない完璧な物が多くなりました。

現在KATOがリニューアルのDD51を予告中ですが、恐らく下回り全体は更新されるはずですから、
床板にもきちんとした塗装をされたものが出てくるでしょう。
いつの日か手を付けようとした、前面のカプラーを避ける為の掻き取りも、
カプラーのボディマウント化により必然的に改善されるでしょうから、
今から旧製品を買い込んでおき、暇を見ては・・・また「超自己満足」を味わおうかしら・・・


20年前に塗装した1作目に対して、5年前に塗装した2作目は、
下地処理を中性洗剤による洗浄のみとしたため、御覧の様に剥がれてしまいました。。。(涙)

同様の手法で色入れされたロコ達








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