このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

第一章 旧動力復活のきっかけ  



2004年某日に手に入れた関水金属のEF65は、
EF70と台車、スカート、動力を共有する製品の物から一歩進んだロットの物でした。

その構造の変化は、ネジ止めだった台車をはめ込み構造の物に変更、
EF70の台車枠に新製したEF65用のスカートを装着という、たった2つの変更点でしたが、
自分の頭の中には・・・EF65用のスカートが出たのはEF65専用の台車新製と同時と思っていたので、
その途中にスカートのみ専用の物が作られていた事が判明でき、少々驚きでした。
因みにパンタはプラ製ばね方式でなく、金属の板バネ方式です。

そんなロットの存在を確認させてくれたこの製品。
本来であれば非常に嬉しい入手でしたが・・・
かなり使い古され茶色っぽく汚れたケースを開けると。。。。。ビックリ!!

そこには、想像を絶する茶色い埃(・・・と言うかカビだなあれは)に包まれた車体が、
くたびれて横たわっていました。
何と片側側面はモッサリとカビが生え茂っていると表現した方が合っている様な。。。。
パンタグラフも下枠を支える台枠の一部が破損しておりました。


埃(カビ?細菌?)は写真下方に見えるウォームギアにも絡みつく。。。

あまりにも汚れた、どこかゴミの中からでも発掘したような一輌は、
何とかしてやりたいという親父心をくすぐります。
・・・ここで深夜の大レストアが開始されるのです!

作業開始が午前0時。
もう寝ろと言う女房の訴えを尻目に、まずは一大清掃作戦の開始です。
その小手初めに車輌の入っていたケースをアーマオールで磨きあげました。
今の綺麗な手持ちのケースに、インナーと緩衝材のみ入れ替えてしまえばよいのですが、
昔なじんだ平板状の蓋のついた、発泡スチロールの緩衝材に黒いインナーの入った
透明ケースは捨てる気になりません。
この工程だけで拭き取りに使ったティッシュは真っ茶っ茶。。。

試走は、見ただけで諦めの境地に達し・・・あえて実施しませんでした。。。。

次に分解。
触るのも考えてしまう車体を・・・なるべく息をしないように分解。
改めて各部品の状態を見ると、台車の片側は埃でディテールが見えないし、
オエッという表現が正しいのか、若干の埃が動力内カップギア内までうっすらと繁殖(?)していました。。。。


左側ディテールへの繁殖ぶりはとてもお見せできません。何せディテールが見えないんですから!!
スカートのカプラーBOXが密封された内部形状にも注目です。

しかし、分解中、前オーナーの愛着を感じます。
動力の入るダイカストと2枚の床板を止める合計4本のネジ穴がこじれて、
十字の穴がなめられてて潰れています。
十字の形をこれ以上広げないように苦労して慎重にネジを外したところ、
・・・・2枚の床板のダイカストが歪んでいます。、
前オーナーのもと、集電不良でも起こしたのでしょうか?
前オーナーがその昔分解調整された後、組立時に締めすぎたことによる、
床板ダイカストの歪みを確認できたのです。

別項にも書きましたが、このネジの締め付け方法はモータの厚みが若干大きく、
床板ダイカストの両端は0.2mm位浮いています。
ネジはこの浮き上がる部分を締め付ける事になり、浮き上がるダイカストの床板が歪む前に、
水平に止まる所で締め付けるのが本当のようです。

・・・と言うのは、以前に都内の中古屋で買い求めた同じ動力のジャンク品が、
分解防止のチェックペイントが残ったままの未分解の状態で入手でき、
組み込み状態を上記の様に確認したのです。
自分が持っていた3輌の同じ動力の製品は、幼少の頃に分解し、
再組立時にこのネジを力任せに締め付けた為、床板を歪めてしまい、その後調子は戻らずじまいであります。
こいつが歪むと台車の集電部分が歪み、接点が悪くなり、
集電不良、酷くなると車体の傾きまで発生させます。

今回入手したこのカビカビ中古製品を分解し同様の状態を見ると、
前オーナーの・・・ねじ溝がこじれるまでの分解痕が、
何らかの原因で不調子となり、何とか調子の良い物に復元しようと努力された、愛着と執念を感じ取れ、
その後諦めたのであろう、この汚れた機関車の状態が、
同様に自分が過去に調整出来なかった諦めの心を思い出し。。。

「必ず甦らせてやる!」という気持ちを芽生えさせます。。。


モータと絶縁紙以外、全てが洗面の中性洗剤プールに!!

バラバラになった部品群に繁殖する埃?を、当初はユニクリーナーで落とそうかと考えていましたが、
その色は鮮やかな茶色。
同時に拭き取りではディテールの隙間に生えている埃?は取り除け無いと判断。
車体、モニタ、窓ガラス、台車、ダイカスト、各ギアー。。。
モーター・絶縁紙以外を中性洗剤のプールに浸けて、古歯ブラシで磨きあげました。
乾燥後、窓ガラスはアーマオールで仕上げてます。結果、部品だけの状態でピカピカの新製品です。

しかし綺麗になったところで、ナンバーと避機雷器に色指しがしてあることが判明。
ナンバーは側面がグレー、片側正面はグレーの上に黒く塗られ。。。。
かなり慎重に作業されたようで、ナンバーの輪郭の外には塗料が漏れてませんが
字体は塗料で潰れ、遠くから見るとナンバーが●●●●●●●と見えます・・・・・・

塗装は学研のPFのように紺に近く、テカテカと艶が有ります。
拭いては眺め、はめては眺め、閉じては眺め。。。
ついに時計の針は午前3時を超え、次の日の仕事に差し支えないように
仮組みをし、短い睡眠を取る事になったのでありました。

Zzzzzz・・・

恐らく関水金属製65P型専用スカートの初回生産品であるこのロットは、
スカートの内部形状が、その後のP型専用台車を履いたヘッドライト点灯化された動力のロットとは違います。
この事実だけでも何故かウハウハしてしまう中、
前日深夜の仮組み状態を再度バラバラにし、各パーツをユニクリーンで磨き上げました。

さ〜て動力の復活!!
・・・とその前にモータは生きているのでしょうか?
組み付け調整前にモーターに直接パワーパックからの電流を流し、モーターの動きを確認しました。

結果は想像通りと言ったらいいのか・・・・全くの不動です。

最初に通電した時に、ジッという一瞬の反応があったのですが、
その後、手でシャフトをぐりぐり回せども全く反応せずにびくともせず。。。駄目か。。
しかし、一瞬だけでもジッと音を聞き取る事が出来ました。
死んでるわけでないと言う思いが湧き出ると共に、遠い過去の「オイタ」を思い出します。

この時期のモータは分解が出来ます。
20数年前にこの事実を良いことに、当時リニューアルされたばかりだったC50のモーターを分解。
モータのプラの部分を削り、ボイラーの奥に押し込み・・・
キャブの中にモーターの金属部分を隠すことに成功しました。
常人はけしてやらなかったオイタ。。。。

そうした苦心のC50も、禁断の加工だったようで、
御座敷運転の最中にテンダーからモーターに繋がるリード線から発煙し、緊急停止!!
蒸気には煙が似合うな〜と変な感想を抱かせ、
その後このC50は現在に至るまで動こうとしてくれません。。。

そんな過去のオイタの経験がモータの復帰を期待し、
迷わずモーターの集電部・ブラシホルダーに手を掛けるのです!!
金色の六角のブラシホルダーを外すと、格納されたスプリング、ブラシ、がバラバラになり、
巻き線まで外す事が出来る。しかし完全に分解すれば、とんでもなく面倒になるのは経験済み。
今回は完全に分解してしまわないように六角のホルダー部分を緩めてシャフトを回し、
再び通電してみる事にすると。。。

モータのブラシと接触子の間に繁殖していた塵か苔かカビが取り除かれたのか、
再度六角のホルダー部分を締め付け通電したとたん!
見事数年の眠りからモーターの目覚める事になりました!!


向かって左側。六画の集電ブラシとスプリングが入っているホルダーを緩めたところ。
外してしまうと細かいスプリングとブラシが飛び出し大変な事に。。。。

こうなると難関は前述の2枚の床板。
以前に都内の中古屋で買い求めた、同じ動力のジャンク品で組み上がりの状態は確認しているとは言え、
自分が当時分解してネジを強く締めた為に、このパーツを曲げて調子を落としている、
3輌の同動力製品(第二章で紹介)は、いずれもそのままの状態であるので・・・
今回の調整が初めての試みと言う事になります。

まずは同パーツの歪みを指で直し、水平にしました。
そして台車を挟み、床板が水平のまま取り付くようにネジ止めを調整をします。

動力が組み上がった所で試走。
どうでしょう!かすかなカップギア独特の・・・決して不快でないカランカラン音を奏でながら、
これが初期の製品か!!と驚くばかり、フライホイール機も真っ青の、
低速の利いた素晴らしい動力に生まれ変わるのでした!!

素晴らしい!

いつの日から不動だったのか?前オーナーの手を離れ、ようこそ我が鉄道に!!
ようこそここへ♪クッククックあたいの青い鳥〜♪♪


何年の眠りから目覚めたのか?深夜のエンドレスを爆走!

後はエンドレスを走る姿を眺めるばかり!
この2日目も作業開始は遅くなり、深夜の一部屋に独特の滑らかなカップギア音が部屋中に奏でます!!!
しかし。。。。こちらは心地よい音でも女房殿には、N独特の線路を擦る音も雑音にしか聞こえないようで、
夜中の2時近くに鬼の形相で現れるや、自分のオケツを一蹴されるのでした。。。。

今回の調整は床下ダイカストを手の力により水平にした為、
工具でもっと水平を出せば、より素晴らしい走りが期待できると期待しました。
そして、この1輌と文中に書いた過去に自分が購入した同動力の製品3輌の内2輌を、
工具を使い床板をより水平に保ちメンテナンスしてみました。

しかし・・・その結果、新たな問題が発生したのです。
奥深き模型動力の調整。
そこには今まで自分が書いた、水平に保つ床板の自論では幾多もの問題が発生する事実が起こり
愕然としてしまうのです。。。。。





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