ローカル駅セクション
*きっかけ
とある模型工作仲間の集いで、フリーランスを作って持ち寄るという話になり、
自分だったらどんな車輌を手掛けるのか・・・さんざん迷っていたところ、
ある方が「かつて、北陸本線で余剰となったEF70を、東海道で直流化する計画があった」
ということを教えてくれました。
そういえば、KATO製EF70を初めて買った時、当時の塗色が気に入らず
GMの鉄道カラーに塗り替えた車体が残っている事を思い出しました。
その塗り替えは大失敗し、車体をシンナー漬けしたため、
表面は荒れ果て、シワができて・・・使い物にならなくなってしまいました。
やがて時が経ち、正しい塗色のEF70が再生産がされた時、
ASSYボディを購入し交換してしまいました。
結果、元の車体・ボディパーツはごみクズ同様となり、本来は「夢の島」行きでしたが、
最初に買ったEF70車体と言う事で愛着があり、
将来何かに使えたら・・・とストック箱にしまっていたのです。
改造計画の話を聞いた時、この悲劇の車体を思い出しましたのでした。
30数年前に購入したEF70当鉄道1号機の車体ジャンク。
当時の全塗装の構想で、使い物にならなくなり。。。
都合のよいことに今年、中古屋で買ったモータ不動の旧動力もあります。
この動力、なんと100円でした。
何故か中間台車がEF65用だったのは涙でしたが・・・
グッドでナイスなこの提案。
完全フリーランスではありませんが、C63のように図面がある訳でもなく、
ごみクズとなって転がっている手持ちのパーツを、
自分なりにデザインし、東海道型の特急旅客用に仕立ててみたくなりました。
*デザインは・・・
EF65P型特急色でありながら、パンタが正面にせり出した形は
いったいどのような形になるのかな?
当時EF65一般型をP型に改造した例もあるので、
昭和43年位の時代で製作する事としました。
*割れ・ヒビの修理
割れている部分は、ビン入りのABS用接着剤で補修しました。
この接着剤、完全硬化が遅いのと、厚塗りになってしまうのが難点ですが、
接着後数分で実用に耐えるところは良かったです。
側面窓から肩に掛けての割れはタミヤの流し込みタイプを使用してみました。
この接着剤も数十分で接着し、加工中もはがれる事はありませんでした。
但しなにしろ30年前の製品ですから、
今の製品の樹脂が同様の結果を得られるかどうかは不明です。
細かな皹は、サーフェサースプレーで対応しようと考えました。
*ボディモールドの削除
当初は一灯化し、EF70一次型に変えようとしましたが、
側面エアフィルターと窓ガラスの製作に自信がなく、
二次型そのままとなっています。
まず、正面と側面にEF7027と車体に表現されたナンバーは、削り取りました。
テールライトとその横の手摺は、現在の製品仕様に近付けたかったので
それらのモールドも削り落としました。
削る際には、別パーツの位置決めがし易いように、
元の位置が分かるよう、少し残して削り取ってあります。
乗務員ドア後方・上側の電暖表示灯も削り取っています。
これらの加工には、全て1.5mm幅の彫刻刀を使用しています。
なるべく彫刻刀だけで平らになるように、
やすりは最後に整えるくらいに使用する気持ちで作業しました。
しかし・・・口で言うほど上手くは行かず・・・気持ちだけとなりましたが。。。
車体の割れは黄色いキャップのABS用接着剤とタミヤの緑キャップで補修。
*屋上交流機器の排除と屋根に関して
直流機に改造する為、屋上の碍子と配管のパーツを抜き去り
碍子台をニッパーで切り取りました。
EF65の車体の屋根を付け替えれば簡単なのですが
元の筐体の骨組みを考えて、屋上パネル類のディテールは残す事としたのです。
従って、碍子台・モニターを削って開いた穴は、
ランナー引き伸ばし線やプラ板を使って塞ぎました。
避雷器の乗っていた丸い台とその先にある丸いモールドの台は残し、
その他のディテールは彫刻刀で削り、
リベットが表現されるパネルを残してフラットにしました。
避雷器の乗っていた丸い台のあるパネル部分は
他のパネルよりも四角く平坦で、一段高くなっていて、
EF70・交流機の一つの特徴のようなので、そのまま残す事にしました。
前後にリベットの並ぶこのパネル部分、
削り取るモールドがリベットすれすれに表現されていて、
なかなか平坦にすることが難しいので、
中央側に並ぶリベットは、削り落とす事としました。
板状に浮き出た足の表現のないランボードは、
せめてランボードの上面に、板の切り込みと、
ランボードに止めるボルト穴の表現をしようとしましたが、
やはり今の製品仕様に合わせて足を表現したくなったので、
思い切って彫刻刀で削ってしまいました。
直流用のモニターは、屋根パネルのサイズに合わせてEF65用を短縮し、
使用することとしました。(後述)
ここまでの工作では、とにかく!
プラ板で塞いだ後を平坦に仕上げるのが大変で、
あまりに効率が悪く、途中から100番の目の荒い耐水ペーパーで整えましたが、
その結果・・・パネルのリベットを何個かなくしてしまいました。
ランボードは削りやすくなるように初めにカッターナイフで
縦に切込みを入れて行きました。
おかげでまるで生き物のように毛が生えたようになりまして。。。
フリーなんだからこれでも良いか!なんて思ったり・・・
*モニター
EF70の屋上パネルの大きさはEF65よりも小さい為、
小さいモニターは側面窓を2つに、大きいモニターは側面窓を1つに切り継ぎました。
小さいモニターは前方の窓の真ん中を切り継ぎましたが
切断した窓の両脇が少し残っって小さな丸窓となった為、
まるで西武のE851に対抗したアクセントとなったようです。
大きいモニターは避雷器の取付位置を考慮し、パネルサイズより更に短いものに短縮した為、
2箇所の切り継ぎとなってしまいました。
こちら側も小さいモニターのように窓中央を切り継いで丸窓を作れば良かったのですが、
気が付かず後の祭りとなりました。
モニターの固定は、屋根に2.5mmと1.2mmの穴を開けてランナー引き伸ばし棒を差し込み、
モニターがちょうど被さる位置で切断、流し込みタイプの接着剤を流し込みました。
モニターはこの棒で固定しており、塗装時のことを考えて、脱着できます。
2位側と1位側。
抵抗器が2位側によって屋根に吊りかかっているエアータンクが1位側に移設されて・・・・
実機の内部図を見ながらの想像ですが、なんか童心です。
*屋上ディティール
現行のNゲージ製品に近付けたかったので、
ディテールの多くは、KATO製のJNR新型直流電機の物をマスキングゾルで型取り、
エポキシ接着剤を充填して表現しています。
・避雷器台はEF65PF
・高圧配線は中央・パンタ下共にEF60
・運転席上部に乗る前部パンタ台は(何故か)凸型に表現されたEF60
・そして・・・一段高い位置にある 屋上パネルに乗る後部パンタ台は、
「意外と短い車体を表現した」EF65P型新製品
・・・・・てな具合です。
ランボード板は、車体を見直したEF70のロットをコピーしました。
コピーした部品の接着は、流し込みタイプを使用しましたが・・・
接着剤を流し込んだ後に圧着させていないパーツが加工中に取れてしまったので、
後日微量の瞬間接着剤をカッターの刃先に乗せ、再接着しました。
左写真:奥から・・・KATO製EF70の最終製品からランボードを、PFから避雷器台を、
最新P型から後部用のパンタ台を、EF60から高圧配管と運転室上のパンタ台を、それぞれコピー。
右:コピーした部品を貼り付けたら・・・こんな感じです。
*正面のディテール
人形は顔が命。Nゲージ車輌も顔で決まる!
・・・と意気込みだけが先行する中、
①正面窓の中心柱を細くする。
②正面窓はTOMIXのEF80用分売パーツを使用し、はめ込みとする。
③テールライトは反射板を外す為、別パーツを使用する。
合わせて特急色へ塗り替えを考え、テールライトの位置を上方に移動する。
④手摺は別パーツに変更。
しかもP型後期型のように、長いサイズに変更する。
⑤銀色の飾り帯は薄く削る。
とさらに構想を練り、実施していきました。
①の柱は、一工夫しています。
単に細く削ると、プラの悲しさから、強度は殆ど無くなってしまいます。
そこで、丸刀で柱の裏に薄く溝を作り、
柱の中心上下に0.3mmの穴を開け、コ形に曲げた真鍮線を差込んで接着しました。
さらに真鍮線に被せるように、1.2mmのプラ板を貼り付け、
瞬間接着剤を流し込みました。
これで、真鍮線の根元の左右に掛る圧力にも対応できると自負した次第で。。。。
左:丸刀で溝を作り真鍮線をグサリ!と。
右:1.2mmのプラ板の小片で蓋をし、再度から瞬間接着剤をタップリ補充。
②Hゴムが太いと、どんなに良く出来た製品でも少々残念な気持ちにさせられてしまいます。
KATO製キハ81、165系、153系等の正面窓周りが典型的な例で、
塗装工程上の事情があるのかもしれませんが、
模型なのだから、シャープな表現を好んでしまうのです。
TOMIXのEF81用前面窓(分売パーツ)は、Hゴムが程よい細さで表現されています。
そこで、車体に表現された太いHゴム部を削り、窓パーツがはめ込み出来るように広げました。
平やすりで慎重に。。。
四隅のR部分は最初に丸やすりを使い、気持ち斜め後ろに削り、
窓パーツのRの形に整え合わせやすくしました。
左:細くなっても一応強度は保ってます。完成後窓パーツを接着したら尚完璧かと。。。
中心に真鍮線を刺したのに、窓を拡げた時に大分削れてますな〜
③テールライトは、さすがに昔のディテールは古臭く、
しかもEF65同様にテールの真ん中を塗り分け線にすると、とても低い位置になるので、
実機では考えられない事かもしれませんが、取付け位置を0.5mm程高くしました。
薄く残したモールドを基準に、適切な箇所に虫ピンでポンチし、約0.7mmほどの穴を開けました。
パーツは、旧EF65のボディに銀河モデルの新型テールを付けた物をエポキシで複製したもの。
レンズは光学繊維の先を溶かして差し込もうかと思っていますが、今のところ未定です。
また、他の工作の邪魔にならないよう、まだ新たなテールは接着していません。
製作当初、当時の兄弟製品EF65と比較検討した写真。テールの位置が大きく違うのにびっくり。
このEF65は、テールを銀河のパーツに交換したものの、
反対側の正面を他の修理の為に提供したので、こちらの顔だけが残っています。
④正面手摺も別パーツ化します。
薄く残したモールドの下側の部分に虫ピンでポンチし、0.3mmの穴を開けました。
上側はモールドの位置だとEF65の初期タイプのように短い手すりになってしまいます。
個人的には飾り帯の近くまで伸びる長いタイプが好きなので、
適切な箇所に虫ピンでポンチし、0.3mmほどの穴を開けました。
⑤初期のNの電機はメッキや塗装工程の関係か、飾り帯が分厚く表現されています。
これが厚いと、何故か品質が落ちて見えてしまう。。。
そこで、上下にセロハンテープを張って保護しながら、心もち削りました。
(つづく・・・かな?)