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EF60の比較・・・やっぱ学研!




*購入のいきさつ
2008年3月、仕事の疲労に痛めつけられた心を癒す為に中古屋を覗くと、
最近の中古市場を象徴するように、 古い製品や撤退・倒産したメーカーの製品等、
自分を癒してくれるような製品は、全く期待できない状態でした。

時間の無駄だったか・・・

と帰宅しようとすると、
自分と同世代と思われる客が、関水のEF70を陳列棚に戻しているではないですか。
手にとって見ると・・・1973年くらいのロットで、
 ・パンタの上昇用バネは軟質プラ。
 ・スカートはEF70専用、ライトの点灯しない旧動力。
そして・・・
 ・屋上の色は銀、朱色に近いボディ色。

と、30数年前に所有していた物と同一ロット品なのです。
その30数年前に所有していた物は、オレンジ色を赤1号に塗り替えようと試み、
再塗装後にきつくなったパンタグラフを無理やり装着し、そのまま放置したところ、
パンタ装着用の穴から正面に向かって、パックリとボディが割れてしまい、
ボディを買い換えたか、或いはEF65のボディに載せ替えたかと思います。
現品を見ればわかりますが。。。

あれは2003年の暮れ、そんな残念な1輌と同一ロットのデッドストックをネットオークションで発見。
関水EF70の初回ロットでもないのに、他の入札者と最高入札額を競い、
販売当時の定価の倍近い価格で落札、歓喜と共に空しさの残る・・・
当鉄道の遺産的存在となっているものと、目の前にあるのは同じロットなのです。

2003年落札時の超高価格に対し、目の前に転がっているのは1600円ちょっと、
納得できん・・・
と思いつつ、まさに・・・懐かしく自分の心を癒してくれる絶好の商品でした。
でも同じものを既に1両持っているし・・・
無駄遣いに気を付けている今日この頃ですが、しかし、箱の外から見る限り綺麗な状態です。
ああなんてこった!!
なんでさっきの客は購入しなかったんだろう。。。
って事で、たとえ買う気は無くても、お約束の試走。

ところが!!レジ前の線路に乗せようと、箱から取り出して驚嘆!
ののののの!!!
 ・片側の正面窓ガラス下から裾にかけてパックリと車体が割れている!
 ・割れた正面と反対側の水切りの一部が欠損
 ・台車側に装着されたスカートの側面のへこみ!
と・・・ジャンクに近い状態にタマゲルばかり!!

どんなことされてこんな状態になったのか・・・
恐らく大切に保管、または使用されていた物が、
たったの一撃でこのような状態になってしまった事なのでしょうが
構造上台車側に付き、左右に首を振るスカート側面の凹みはどうやって出来たのか・・・
謎の多い中古である事は確かな事で・・・ということで、
この状態で購入の気持ちには到底なりませんでした。
この状態なら800円以下だろう!!アブね〜


上:ケースに入った状態。手摺に塗装の剥げは有るけれどこの状態で不具合は
分からない。
下:窓下がパックリ・・・

しかし試走までしようとした手前、そのまま陳列棚に返すのも格好悪く、
ついつい通電させてみると・・・おおおッ!!
良い音を奏で、低速からストレス無く走行するのです!
この動力は素晴らしい!
繰り返しますが、非常に心地よい当時の動力の音を奏で、走行するのです!!
もう一回、
非常に心地よい当時の動力の音を奏で走行するのです!!

良好な動力にこのボディ。。。

無意識の内に、割れた正面を両側から押さえていました。
すると!なんと、割れた部分に欠損は無く、綺麗に合わさってくれるじゃないですか!
おおお。。。
ジャンクとわかって憤慨した事も忘れ、レジにてお支払いをしておりました。。。

いつの日か正面を接着するか。。。
そしてもし失敗したらボディを何かと交換するか。。。
購入後、修理すると言うよりも部品捕りのストック位に考え、
買った事の後悔の方が大きかった買い物だったのでした。

ところが翌日は日曜日!
疲労でなかなか起きない私にに家族は呆れ、私抜きで出掛けてしまいました。

その結果、自分の時間が思わず転がり込んできた為、
昨夜購入したばかりのEF70を、鞄の中から取り出してみました。
ちょっとボディを外してみるか・・・そんな軽い気持ちでした。

*接合
元々片側が割れている車体なので、ボディ裾は良く開き、簡単に分解出来てしまいました。
窓ガラスは、紙製の柄の付いた綿棒の柄の先で、表から押して外します。
昔、爪楊枝を使って窓ガラスを外し、パーツに傷がついた事があるので
当鉄道では、紙製綿棒の柄を使う事が決まりとなっています。

分解後、窓ガラスの外れた車体の側面を両側から押さえてみると、
購入時確認したとおり、破損の部分に欠けは無く、綺麗に接合してくれます。
強く押さえていれば、割れた事が分からないくらいです。

接着は瞬間接着剤です。
断面に接着剤を塗ると、両面から押さえる事になり、表面に滲み出てしまいます。
この車両は朱色製品の良さに引かれて購入したものであり、
接合後のヤスリがけやタッチアップは極力避けたかったので、
裏から接着する事にしました。
単に割れた断面を押え、接着剤を盛るのでは強度が足らないので、
 1:車体裏側の割れた断面に沿って、丸刀で溝を掘る
 2:掘った溝に瞬間接着剤を塗って接着する
 3:補強板を接着する
と言う工程を計画しました。

工程1では、使用した彫刻刀の切れ味が今一つで・・・思うように溝が彫れませんでした。
力を入れて彫ると、断面が欠ける恐れがあるので、
軽く溝を付けた位にしておき、無理はしませんでした。

工程2では、瞬間接着剤を適量に盛れるよう、カッターの刃先を使用しました。
カッターの刃先に瞬間接着剤を一度とり、工程1で作った溝に沿って
カッターの刃先で瞬間接着剤を流します。
これで最終的には盛っていったのです。
この時注意したことは、割れた車体がぴったりと接合するよう、
何度も車体の両側から押さえ、割れ目がわからない位置で保持したことです。

瞬間接着剤を盛った後、CDを聴きながら(笑)約10分、手で保持した状態を保ちました。
過去に・・・瞬間接着剤だからとすぐに手を離し、
接着部が浮き、再度押し付けたところ、接着剤が表にはみ出した失敗を、
(以前塗り替えた同製品や蒸気のデフ、客車キットの妻板・・・etc)
何度も繰り返しているからです。
勿論、この後塗装をするのであれば、はみ出た接着剤を削って仕上げればいいのですが。

今回の結果は良好。
ガッチリと接着された車体は、よく見ないと割れていた事がわからないほどまで回復しました。

そして工程3。
このままでは、接合面のどこまで接着剤が浸透しているかは不明です。
すぐにまた剥がれてしまう事は時間の問題であろうということで、接着箇所を補強しました。
車体の裏側に盛った接着剤を少し削り、
0.5mm厚のプラ板片を貼って、瞬間接着剤で固めたのです。

尚、プラ片は車体側に盛った接着剤を避ける為に凹みを作るとともに、
瞬間接着剤が良く浸透するよう、3つの穴を開けています。
また、将来スカートを車体側に装着したいので、車体裾から2mm上の位置に貼り付けました。
接着の際には前述のようにカッターの刃を使用し、
プラ片の4隅と3つの穴に、数回に分けて接着剤を流し込み、強固に固めました。


左:接合に成功。乾燥待ち
右:補強プラ片と窓パーツの切り欠き処置

カッターの刃に瞬間接着剤を取り分けたところ。
瞬間接着剤の先は針で穴を開け、使用後はライターで焼き潰しています。

*組み立て
窓ガラスをはめ直し動力に被せるだけですが
勿論、補強板がついた修理箇所が当たる部分は、窓ガラスパーツをカットしています。
そして!!直そうとする熱き思いを何かが感じ取ってくれたのか、
動力に装着したボディが少し膨張でもしたのか、
接合部が益々分からなくなっていたのでした。。。(ホント!!)
これって・・・上手く行きすぎでないかい?

*仕上げ
自分自身、ここまで修整できると思わなかったこの1両。
最悪の部分が修整できると、他の不具合箇所は気にならなくなりましたが、
水切りの一部欠損は目立つので、修整する事にしました。

欠損箇所に残った水切りの曲がりをタミヤの「ピンセットペンチ」で修整し、
欠損部の形に削り出した0.5mmのプラ板を瞬間接着剤で接着、
余計な部分をカットして、軽くやすりました。
尚、塗装は、手摺など・・・他にも剥がれてしまっている部分と合わせ、
その内に色入れする予定です。


上:車体の割れと反対側の側面水切り。写ってないけどスカート側面にも衝撃を受けている。
中:欠けた前方の水切りを真直ぐに修正中。
下:プラ板接着。接着剤で元の塗装を傷めぬよう、最善の注意と最少の量で。

*余談
修整後に気を良くして購入時試走した時の走行音を楽しもうと、
お座敷列車の先頭に立たせると・・・

ガガガガガ〜!!

おへ?
試走した時の、心地よい音が全く奏でない・・・
前進時も後進時もガガガガガ〜
不思議なのは、今回全く動力を分解していないのに、
試走時に何であんな良い音を奏でたのか?

ありゃりゃ?こんな音だったら購入しなかったぞい。
お前図ったな!!
「多分こいつなら、たまたま上手く直せるだろう」
と自分に買ってもらうのに試走時にあんな良い音を奏でたのか!!

・・・っと問い正しても答えてくれるはずも無く、またそんな事があるはずも無く。。。

まあ何にしても、いつか修理しようかなんて考え購入した1輌が、
自分でも想像以上の、とても嬉しい修理結果となったのでした。
接着乾燥の時間を除けば、1時間も掛からずトントン拍子で仕上がり、
大した事をした訳でないのにその出来は素晴らしく、
この製品に意思があり、製品の傷が甦生したかの様で、不思議な感覚になっているのです。

あ・・・でも、プラスチックは熱で伸縮するので、冬は傷が目立ち夏は目立たなくなる、
なんて当鉄道の名物車輛になるのかな?
と・・・期待をさせてくれています・・・ってな事あるわけないですね!!


左:かなり満足の接合修理後の状態。
 将来自分がボケて、Hゴムに色を入れた時この割れ目にグレーの色が流れたりして・・・
 なんて考えていたら、この色を調色し割れ目に流し込んだらどうだろう?
 と新たな案まで生まれたりしています!!
 今度はきっとこの製品に、「無理するな無理するな・・・」と言われているような。。。
右:取り敢えず完成!!






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