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幌装着のススメ



昔350円で買った貨車が、テール点灯!

*温故知新
旧いい車両を持っていると、最近の製品との差に残念に思うことがあります。
もちろん、オリジナル状態のまま保存することに意義があったり
旧いからこその味があったりもするのですが、
機能的な部分は如何ともしがたく、つい新しい車両の方を使ってしまったりします。

ならば、旧い車両の「機能」も向上させてしまえば?

・・・・ってんで、今回は、四半世紀も前に買った、TOMIXの香港製ワフ35000に手を加えてみました。
この車両は現在では、同じ金型を使って河合から発売されており、
全く同じ仕様の車両が入手可能です。
(単品の価格は当時の倍くらい!になってしまっていますが・・・)

*テールライトを付けたい
この手の車掌車(緩急車)で最初にテールライトを点灯化した製品は、
確かTOMIX日本製のヨ8000ではなかったかな。。。
KATOとの競作になりましたが、あくまで従来品(ヨ6000)と同じ構造を採用したKATOに対し、
TOMIXはLEDを4個!も使った意欲的(かつ高価な)製品としました。
KATOの二軸貨車が450円ほどの時代、その3倍もする定価には驚いたものです。

現在ではKATOがワフ29500を、「LED1個で片側のみ点灯」という仕様で製品化しており、
新品在庫はなくとも、中古での入手は容易です。
私も安く数両を手に入れていたので、これを使えないだろうかと考えてました。


左がKATOのワフ29500、右が改造前のTOMIX香港製ワフ35000(ケーディカプラーはノンオリジナル)

*製品の構造を解析
TOMIXのワフ35000は、他の香港製二軸貨車と同じ、極めて単純な構造です。
一体成形されたボディ(車掌室デッキやステップも一体)に、
鉄板ウェイトのついた床板が固定されているだけ・・・・
ワフには車掌室があるので、そこには窓がありますが、窓ガラスも省略されています。
当時の香港貨車はボディ両端に2箇所ずつのはめ込みボスで固定していますが、
このワフ35000は片側がデッキとなっているため、強度の問題があったのでしょうか、
床板中央にあるネジで、車体と床板が固定されています。

片やKATOのワフ29500は、かなり複雑な構造です。
ボディは基本的に一体成形ですが、車掌室デッキとステップは床板側にあります。
室内には丸い真鍮パーツがあり、これがウェイトとなっています。
車軸から集電された電気は、窓ガラスパーツで固定(!)された発光ダイオード付の基板に接し、
発光ダイオードは床板から伸びたグレーの円筒形の筒に入って、
そこから透明樹脂で車端まで導光され、デッキ側のテールライトが点灯する・・・という仕組みです。
車端近くの導光部分は、デッキからニョキにょきっと生えていて、
テールエンドの穴に、レンズがはまりこんでいます。


KATOのワフ29500の内部。
左写真:車内の様子。大きな真鍮パーツはウェイト。LED基板とともに、窓ガラスパーツで固定されています。
右写真:LEDがすっぽりはまる円筒が見えます。車端には導光部の角が2本。

この2両を比較してみると、車体長はワフ35000の方が若干長く、
ホィールベースは逆にワフ29500の方が若干長いことがわかりましたが、
まぁ・・・許容できる範囲でしょう。

床下機器も厳密には異なりますが、そんなことは気にしないことにします。

*ワフ35000の車体を改造
この手の改造・・・2種類の別製品を組み合わせる改造をする際のポイントは、
「どちらか一方に改造を集中させる」ことだと思っています。
片方をもう片方に合わせることができれば、一方は無改造で済みますから。
今回は、ワフ29500の床板に合わせ、ワフ35000のボディ側を改造しました。

ポイントは3つ。
ひとつは、ワフ29500のデッキ部を活かすため、一体成形されていたデッキ部を切り落とすこと、
そしてもうひとつは、テールライト導光部を挿しこめるよう、
モールドされたテールライトを削り、代わりに穴をあけること、
そして3つ目は、床板固定用のネジがはまるための、車体中央の柱を切り取ることです。

ちなみに、2車のテールライトの位置は、縦方向、横方向ともほぼ同じです。
コンマ何ミリか、ワフ35000の方が車体の外側にあるんですが。。。

デッキ部の加工は、まず、不要となるステップ部を切とってしまいます。
そして床にピンバイスでたくさんの穴を開け、カッターで穴を繋ぐように切っていきました。
大雑把に床板が切り取れたら、カッターで面を整え、細密ヤスリで仕上げました。
この際、ワフ29500の床板をあてがいながら、ぴったりくるようにします。
ワフ29500のステップの幅が若干広く、ワフ29500のボディと干渉したため、
ボディ裾を、ほんのちょっとだけ欠き取りました。
床板からデッキに繋がる部分との干渉を避けるため、車掌室の妻板下部も、1mmほど欠き取ります。

また、ボディ内部には、デキ3の動力として持ちいたレ2900同様、
中央に1本の太いリブがあるので、カッターで削り取っておきます。


左写真:改造したボディの内部。側面内側のリブは削り、中央の柱は折っています。
     (折り取った痕・・・天井に開いた穴に注意)
右写真:デッキ部はこのようにステップもろとも切り取ってしまいます

続いてテールライトの加工です。
モールドされたテールライトをカッターで削り、平面を出します。
そしてその中心よりもやや車体中央寄りに、ピンバイスで1.0mm程度の穴を開けました。
最初に0.6mmくらいの穴を開け、ワフ29500の導光部との位置を確認しながら穴を広げると、
失敗がありません。
(私は少々、穴の位置がずれ・・・ワフ35000のモールドを傷つけてしまいました。。。)


元のモールド上に穴をあけた顔(ちょっとモールドを傷つけ、穴が乱れてしまいましたが・・・)

そして最後に、ボディ内部中央の柱を折ります。
これがあっては、ワフ29500の床板が流用できません。
KATOのような「弾力がある硬い樹脂」であれば、力をかければ折り取ることができますが、
しかし香港製品の樹脂は「復元性のない柔らかい樹脂」です。
折り取ろうとしたら・・・ふにゃっと曲がって、屋根にまで穴が開いてしまいました!
・・・後でパテ修正と塗装が必要です。

しかし、ここまで加工が済めば、ワフ29500の床板が、
(物理的には)見事にワフ35000のボディに収まってくれることでしょう。

*点灯基板とウェイトの固定
ワフ29500では、窓枠にはまり込んだ窓ガラスパーツに、LED付の基板がしっかりとはめ込まれています。
しかしワフ35000には窓ガラスすらなく・・・この基板を固定する方法を考えなければなりません。
基板には燐青銅板があって、車軸からの集電版が接する構造になっているので、
しっかりと固定しておかないと、燐青銅のバネの力で基板が浮き上がってしまい、
集電不良を起こすのです。

ワフ29500の床板には、LEDの遮光のための円筒が生えてるので、
私は単純に・・・ここに基板を接着して固定してしまいました。
電球と違って球切れの心配がないLEDですから、これでもいいだろうとの判断です。
おっと、ウェイトも忘れてはいけません。
これがないと車体が浮き上がって、やはり集電不良を起こします。
ウェイトももともとは窓ガラスパーツにはめ込み固定されていますが、
同様に接着しています。
そして、これらが接着されたグレーの樹脂、これも床板に接着しました。
ここまでやれば、がっちりと固定されるはずです。


基板はグレーの樹脂の円筒部分に接着。真鍮製ウェイトもそこに接着。グレーの樹脂は床板に接着。

*いつもドキドキ、試運転・・・いちおう完成
集電部分を含め、床板には一切加工していないので、LED基板との接点さえOKならば、
何の不具合もなく点灯してくれるはずです。

線路に置いてパックのスイッチを入れ、電圧を上げていくと・・・・・点きました!
「やったー!!」
では早速、先日動力化したばかり(?)の銚子デキ3に牽引してもらいましょう。
走行中も点灯し、ほとんどちらつきもありません!
スバラシイ!!!

ん?でも、なんか点灯状態が見づらい・・・・
どうも、もともと樹脂の厚みがワフ35000の方が厚い上に、
外吊り式のテールライトをモールド表現しているため、
ワフ29500のテールレンズが車端より引っ込んだ位置になってしまい、
斜め上方からは見づらいようなのです。。。


点灯状態の比較。左が改造したワフ35000、右がワフ29500。
レンズが奥に引っ込んでいるワフ35000は、光がきれいな円形に見えないんです。

しかしこれは仕方ありません。
腹ばいになって真後ろから見れば、ほのかに光る赤い光が見えます。
ワフ29500とともに、昔の貨物列車の雰囲気を盛り上げてくれています。

あ、屋根の穴を塞がないといけませんけど。。。(^-^;






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