このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

モニター窓Hゴムを簡単表現



ワム50000の扉に注目

*偶然の思いつき
それはいつものごく普通の平日の朝・・・トイレで用を足しているとき(笑)に、急に思いついたことです。
「二軸有蓋車の側板を切り抜いて位置をずらせば、扉を開けた状態にすることができるのでは!?」
「扉を開ければ、貨物ホームに置いても不自然ではないのでは?」

そのアイデアが浮かんだら、もう、いてもたってもいられません。
仕事から帰宅した私は、早速工作に取り掛かったのでした。

*種車の選定
実際に工作するとしても、どの車両を使うか・・・まずは考えました。
KATO製品は樹脂が比較的硬く、加工しづらいことが予想されたので除外し、
樹脂が柔らかい香港製(TOMIX、河合、マイクロ)の中から、 選ぶことにしました。
しかも・・・できたら所有数量が多いもの。 そうすれば1輌くらい「犠牲」にしてもいいかなという考えです。
で・・・手持ちの二軸有蓋貨車を徹底的に調べてみると・・・ ・
・両開き扉は加工の手間が2倍になる
 →ワラ1やワム70000などが、候補から外れました。
・扉の取っ手が扉の外に出ているものは、 切り出し加工が難しい
 →ワム23000、テム、テラ、などが外れました。
・・・すると、消去法で残ったのは、木造のワム50000。
旧香港製のTOMIX製品を2輌しか所有していなかったため、ちょっともったいない気もしましたが、
そのうちの 1輌は屋根や側板に塗料が付着したジャンクなので、 これを使うことに決めました。

種車となったワム50000。香港時代のTOMIX製です。

*扉の切り出しと移植

加工は予想していた以上に、実に簡単でした。
下写真のように、ボディと下回りを分離し、 ドアと、ドアレール側の側板の一部を切り取ります。
切り取り断面を活かさなくてはならない部分(扉の向かって左側)は、 慎重に切り出します。
扉のふちに沿って緩くスジをつけるつもりで、カッターで何度もなぞり、次第に深くしていきました。
特に車体側はそのまま使用するので、なるべくきれいに・・・
ヤスリ仕上げが少なくて済むよう、注意しながら進めました。
一方、ヤスリ仕上げすることができる部分(扉の向かって右側)は、
作業効率を上げるため、レザーソーで切ってから、断面をヤスリで仕上げています。

やはり、樹脂の柔らかい香港製を選択して正解でした。
ここまで、ものの10分くらいでできたのですから。


左写真:ボディと下回りを分離。妻板にある2箇所のリブを押せば、外すことができます。
右写真:ドアとドアに近接した側板を切り出し、さらにドアだけにします。
 車内の出っ張り(リブ)は丸見えになるので、削り落とします。

次に・・・側板から切り取った部分から、扉の部分をさらに切り出し、 断面をヤスリ仕上げします。
扉が仕上がったら、元より右の位置に・・・側板にぴたりと接するように貼り付ければ、
扉が開いた状態に見える、という寸法です。
不自然にドアが出っ張ったり、逆に引っ込んだりしないよう注意しながら、
瞬間接着剤で固定しました。

*ドアレールの補修と車内の加工
今回は、切り出しを容易にするため、ドアと一緒にドアレールも切り出しているので、
切り出した際になくなってしまったドアレール(開口部の上下)をプラの細帯で補います。
レールを接着した後、元のディテールと同じ幅に仕上げ、ハンブロールでつや消し黒を塗りました。
塗料が付着して汚れていた屋根や側板の一部、樹脂そのままで無塗装だった床下も、
同じくハンブロールの黒を塗っておきます。

車体のやや艶のある黒とは色合いが異なりますが、
後でウェザリングするので、気にする必要はありません。


左写真:なくなってしまったドアレールをプラの細帯で補います。
右写真:斜めから見ると・・・車内が見えていい感じ。

また、扉が開くということは・・・車内が見えてしまうので、
内部の中央にあるリブ状の出っ張り(補強?)をヤスリで切削し、 平らにしておきます。
床板に固定されていたウェイトは撤去、床板を平らにやすり、
車内全体を、ハンブロールの薄茶色で塗装ました。
この貨車は車内も木材でできているはずで・・・木製らしくスジを彫ることも頭をよぎったのですが、
貨車の内部の色や状態は見た記憶がなく、資料もなく・・・よくわかんないのです。
しかも、開口部もさほど大きくないので、 まぁこの程度でもいいでしょう。

*より実感的に・・・塗装とウェザリング
続いて、全体にパステルウェザリングを施しました。
車体全体には土ぼこりの雰囲気を出す黄土色を塗ります。
その際、上の方よりも下の方に多めにまぶすと、いかにも土ぼこりっぽくなります。
粉っぽいパステルを使用すれば、塗りすぎても落とすことが可能です。
続いて・・・下回りを中心に、錆を表現するための赤茶色をまぶしました。
これにより、元の塗料の艶がきつかったボディは落ち着き、
加工した箇所もほとんど目立たなくなったのです。
ただ、床板の裏面やカプラー、軸受けの裏側、車輪などは無塗装なので・・・
パステルの食いつきがあまりよくありません。



そこで、下回り全体に改めてハンブロールの赤茶色を塗ることにしました。
走行用車両であれば、他の車両との釣り合いや見た目の美しさも考慮して、
ウェザリングはほどほどにするべきかもしれません。
しかしこの車両は・・・扉が開いた状態であり、走行は考えていないので、
ストラクチャーの一部としてローカル駅セクションに固定するのです。
ですから、周囲の建物に溶け込ませることを考え、かなり思い切ったウェザリングを施したのです。

しかも車輪は・・・瞬間接着剤で固定しちゃいました(^-^;
車輪も含めて下回り全てに赤茶色を塗ったら、改めてパステルをまぶしていきます。
このとき、いいことを思いつきました。
ハンブロールは乾きが遅いのが特徴。完全に乾くには、2,3日を必要とします。
なので、まだべとべとした状態でパステルをまぶすと、塗料にパステルが見事に吸い付き、
塗料が乾くとともに、パステルも固着してくれるのです。

結果として、結構くたびれた感じの古い貨車という雰囲気を出すことができ、
なかなかいい感じです。


土ぼこりと錆をウェザリングで表現。加工の痕跡も目立たなくなります。

*ローカル駅セクションへ固定、そして完成
さぁ、駅セクションに置いてみましょう。

貨物ホームの引込み線は、もともと二軸貨車1両を置くことを想定していたので、長さはピタリ。
貨物上屋があるので、覗き込まないとよく見えないというのが難点ですが、
覗き込んだ際に、扉が開いた状態で停車中の貨車が見えるというのは、とても実感的です!
ウェザリングのおかげで、周囲のストラクチャとも見事に溶け込み、全く違和感ありません!

スバラシイ!!

いつものように、ここでしばらく鑑賞タイムとなったのでした。

確かに扉が開いている!(笑)

気を取り直して、ワム50000を固定します。
車輪にゴム系接着剤を塗り、線路に接着しただけです。
ウェイトを抜いて軽くなった車体、固定された車輪のおかげで、これでも充分。
仮に取れてしまったら、また貼ればいい・・・程度に考えています。
接着剤のはみ出しも、今回は全く気にしていません。
接着箇所は車輪で・・・両側をホームに挟まれた車両の下にあるので、
覗き込んでもわからないからです。

・・・ということで、有蓋貨車の扉を開ける加工は、無事に終了しました。
ほんの2時間もあれば完成する、お手軽加工となりました。
トイレで思いついた工作も、捨てたもんじゃなかったです(笑)

みなさんも、レイアウトの片隅に・・・ストラクチャの1部として、
このような貨車を配置してみませんか?
急にその「場」が活き活きとして感じられるようになりますよ。

こうなったら次は、貨物の積み下ろし作業をしている人形を配置したくなります。
そういえばこのセクションの人口は、未だに「0人」でした。
・・・そろそろ入植者を募ってみますかねぇ。

自然光で撮影すると、とてもリアルに見えます






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