このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

再度芸備線

車中で

 芸備線は二つ先の備中神代駅からなのだが、列車は新見発着となっているため、 暫くは伯備線のお世話になる。

 12:28の新見発備後落合行きに乗り込む。山間路線おなじみのキハ120である。 こちらの車両もまた、先程と同じくロング+ボックスのセミクロスシートである。 先客がいるけど再びボックス席に座る。

 ところで、と言う訳じゃないのだが、このボックス席に座っているおじさんには見覚えがある。 と言うのも、津山駅の乗り換え待ちの際に見て、それから隣のボックス席で姫新線に乗っていた方か。

 「すみません、もしかして津山から乗られてましたよね?」と訪ねてみると、 やはりそうだった。

 このおじさんは姫路在住で、青春18きっぷのシーズンになると 主に西日本を中心にぶらりと出掛けられるとか。

 今日は朝6時過ぎに自宅を出て、姫路−津山−新見でまず姫新線、 芸備線で三次まで行き、明日早朝に三江線で江津に抜け、 あとは鈍行で鳥取、そして因美線、智頭急行で姫路まで戻るのだとか。

 こちらが福岡から来たと言うと、「九州は車両が派手だね」、 「九州新幹線は良かった」、「肥薩線は観光列車になってなんだかなぁ」等 色々と仰って話絶えない人でした。

 見知らぬ者どおしがあれこれ話をしていると、正面のおばさんも 話に加わってきた。叔母が熊に襲われたのがニュースで流れてビックリしたとか、 矢神駅のホームにある御衣黄桜の木が有名とか、桜と言えば伊豆に行ったときの桜が良かったとか。 あとヒバゴンなる珍獣の件は世代が違うのでわからなかったが。

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 いろいろ話しているうちに県境を越えて東城駅でこのおばさまは下車された。

 山深い成羽川の蛇行に沿ってゆったり進む列車。 もうすぐ終点なのだが、80分の乗車時間もちょっとした出会いであっという間だった。

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 24時間ぶりの備後落合駅、これで芸備線は完乗となる。

芸備線

 列車は山間をゆったりと走っている。お互いボーっと車窓を眺めていると、 おじさんが「こうやってのんびり長い時間列車に乗っているのが良い」とポツリ。 残念ながら私はまだそこまでの悟りはない。

 西城、庄原と過ぎて塩町に近づくと、おじさんは「以前、福山に抜ける時にはこの塩町から乗ったんだよね」 と。そして「今日は三次で泊まるけど、まだ寝るには早いな〜」とボケてくれます。 ま、時間があるから色々散策してみるよと。

 15:11に三次駅着。こちらは向かい側ホームの列車で広島に抜け帰途。 おじさんは三次で下車して、明日05:56の列車で三江線への旅へ。 どちらともなく「また何処かで」と挨拶して分かれた。

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 また一人になる。ほんの数時間前はずっと一人旅が当たり前だったのに、 ちょっと寂しくもなる。そんな折に目にとまった木造駅舎は嬉しい。

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 山間の青く茂った水田の中を軽快に下ってゆく気動車。 そのあぜ道には元郵政大臣の選挙看板がズンと刺さっているのは不可思議だな。

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 新幹線の高架、側線が並ぶ操車場が見えてくると広島駅構内になる。 定刻に広島に着いて一服ながら、可部線往復と思ったが なんか今回はこれで終えた方が良いような気がして新幹線で帰途についた。

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