このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

 
映画「バルトの楽園」を見て

映画「バルトの楽園」を見て
          原稿は坂東昌子さんより頂きました


 物語は、第一次大戦の飛び火を受けた中国山東省の「青島の戦い」から始まった。突撃する日本兵に死守する独軍の砲弾。それでも無勢に多勢。結果は独軍の惨敗。多数の戦死者と俘虜。
 坂東収容所の松江所長の人柄や偉業は、いつとなく知っていたが、それでも俘虜たちに又他の人達に対して心底、個人の尊厳を重んじ信頼の念をもって接する姿。大麻神社や札所の門前に住む地元の人々の外国人俘虜に寄せる暖い人情の場面に心打たれた。
最も感動したのは「第九」の演奏場面、ラストシーンだった。物語のクライマックスと相まって編曲や楽器集めに苦労の末演奏し歌い上げる兵士達。手を打ち身をゆすって呼応する地元の人々。近頃、老化現象で錆びかけている私の脳も体もいつしかメロディーに合わせて感動に揺らいだ。指はそっと、目頭を押さえていた。何故これだけの演奏が出来たのか? 彼等は夫々、あらゆる面に優れた能力を持っていた。音楽活動もオーケストラ・吹奏楽団・合唱団他を持ち収容所内だけでなく地域との交流に積極的に取り組み功績を残した。それも所長が松江豊寿だったから出来たのだ。今では日本各地で演奏され親しまれているが、大きな生命の喜びを歌いあげた「第九」アジアで初めて演奏されたのが坂東の地。
一九一八年六月一日、この日を徳島県民としては大切に、永遠に語り又歌って誇りたいものだ。
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