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Last update : 3 / Mar / 2002

 "ワンマン運転"とは、車掌は乗務せず、運転士のみが乗務する運転方式のことです。(これに対し、運転士・車掌の両方が乗務する運転方式を"ツーマン運転"といいます。)
 東京の地下鉄では現在、営団南北線・都営三田線・都営大江戸線の3路線(いずれも全区間)でワンマン運転が実施されています。(今年度中には、営団千代田線の綾瀬〜北綾瀬でも実施される予定です)
 ワンマン運転の特徴は、従来、車掌が行っていた業務を運転士が行うことにありますが、東京の地下鉄におけるワンマン運転路線(以下、"ワンマン地下鉄")では、いずれも、ワンマン運転を行うための支援設備(以下、"ワンマン支援設備")が大がかりに整備されています。
 ここでは、各ワンマン地下鉄のワンマン支援設備について紹介していきます。


☆ 営団南北線 ☆
 当初からワンマン運転を行うことを前提として建設された路線であり、ワンマン支援設備として、駅ホームにはホームドア・ITVカメラ(乗降監視用)を、線路にはATO地上装置を設置しています。車両も東急目黒線・埼玉高速鉄道線・都営三田線との相互直通規格に則り、ATO車上装置(定点からの誤差±35cm以内で停止可能)・ITVモニタ(運転台上に設置。映像信号は駅から電波で受信)を搭載しています。
 なお、ITVモニタについては、従来は地上式でしたが、平成12年の溜池山王〜目黒延伸、都営三田線との線路共用および東急目黒線との相互直通運転実施に伴い、車上式に変更されました。(地上モニタ自体は現在でも稼働し続けていますが…)

 次に、ワンマン運転の流れについてです。
 列車の運転は基本的に、ATOにより自動的に行われています。列車出発時に運転士が運転台上の出発ボタンを押すと、列車は次駅まで自動的に走り、所定の停止位置に停止します。これにより運転士は非常時の手動介入を除き、列車運転の業務が軽減され、従来車掌が行っていた業務を行い易くなります。
 列車が駅に到着すると、停止直前から運転台上のITVモニタの画面が点灯し、ホームの映像が映し出されます。運転士が運転台上のドア開ボタンを押すと、車両ドアとホームドアの両方が開きます。(車両〜ホームドアの情報伝送は、線路上に設けられたATO地上装置を通して行われます。)
 発車時刻が来て、運転士が運転台上の乗降促進ボタンを押すと、発車サイン音(メロディー)が鳴ります。これが鳴り終わったところで、運転士がITVモニタの画面を見ながら運転台上のドア閉ボタンを押すと、車両ドアとホームドアの両方が閉まります。ホームドアには、ホームドア・車両間の支障物を検知するためのセンサが設けられており、検知された場合、当該のホームドアは閉扉しません。車両ドア・ホームドア双方の閉扉条件が成立しないと、運転士が出発ボタンを押しても、列車は動きません。
 ホームドアが完全に閉扉した時点で、線路とホームは安全に区画され、列車が安全に出発するための条件が整います。(ツーマン運転路線のように、ホーム進出時に車掌が、非常ブレーキ弁を握りながら乗務員室から身を乗り出して監視する必要がなくなる、ということです…。これが、ホームドアがワンマン支援設備である理由です。)
 出発ボタンを押し、列車が動き出すとすぐに、ITVモニタの画面も消灯します。


営団南北線のホームドア(ドア開口幅2.0m)


☆ 都営三田線 ☆
 従来はツーマン運転を行っていた路線であり、車両・駅等の設備も、ワンマン運転を想定した構造ではありませんでした。そのため、平成12年の三田〜目黒延伸、営団南北線との線路共用および東急目黒線との相互直通運転実施に伴い、ワンマン支援設備を整備した上でワンマン化に踏み切りました。
 都営三田線にワンマン運転化の構想が持ち上がったのは、昭和60年の運輸政策審議会で都営三田線の延伸・線路共用・相互直通運転について答申がなされてからのことです。
 都営三田線・東急目黒線とも様々な検討の結果、新線である営団南北線に設備規格を合わせることとし、更に営団が、ATO(自動列車運転装置)とホームドアによるワンマン運転化の意向を示し、ワンマン運転対応装置等の搭載を盛り込んだ相互直通規格を提案し、それを都営および東急が了承したのでした。
 その後の検討の結果、都営三田線のワンマン支援設備として、駅ホームにはホームゲート(腰高タイプのホームドア)・ITVカメラを、線路にはATO地上装置を整備することとなりました。ちなみに車両は、相互直通規格に則り、ATO車上装置・ITVモニタを搭載したものに全数交換されました。

 ワンマン運転の流れについては、前述の営団南北線と同じです。

 
都営三田線のホームゲート(戸袋部の高さ130cm・ドア部の高さ120cm・ドア開口幅2.0m)


(左)6300型車両(3次車)の運転台機器配置 / (右)ATO地上子…停止位置で、(写真上の)長い地上子と車上子が情報交換。
又、停止位置の手前210m,20m,1mでは、車上子は(写真上や写真下の)短い地上子から地点情報を受ける。


☆ 都営大江戸線 ☆
 当初からワンマン運転を行うことを前提として設計された路線であり、ワンマン支援設備として、駅ホームにはITVカメラ(乗降監視・列車進出時のホーム監視用)を、線路にはATO地上装置を設置しています。車両にはATO車上装置・ITVモニタ(運転台上に設置。映像信号は駅から赤外線で受信)を搭載しています。

 次に、ワンマン運転の流れについてです。
 列車の運転は基本的に、ATOにより自動的に行われています。列車出発時に運転士が運転台上の出発ボタンを押すと、列車は次駅まで自動的に走り、所定の停止位置に停止します。これにより運転士は非常時の手動介入を除き、列車運転の業務が軽減され、従来車掌が行っていた業務を行い易くなります。
 列車が駅に到着すると、停止直前から運転台上のITVモニタの画面が点灯し、ホームの映像が映し出されます。運転士が運転台上のドア開ボタンを押すと、車両ドアが開きます。
 発車時刻が来て、運転士がITVモニタの画面を見ながら運転台上のドア閉ボタンを押すと、車両ドアが閉まります。
 ITVモニタによりホーム上の安全が確認されると、運転士は出発ボタンを押して列車を出発させますが、ITVモニタには、ホームを完全に抜けきるまでの間ずっと、ホームの映像が表示され続けます。
 この間ずっと、運転士はITVモニタの画面を見つめながら、非常ブレーキ押しボタンを手に取り続けています。万一、ホーム上の乗客が列車にふれそうになった場合などには、ツーマン運転列車と同様に、迅速に非常ブレーキをかけることが出来るわけです。
 都営大江戸線はホームの見通しを良くし島式に統一し、運転台も右側に設置し、更に上記のワンマン支援設備を整備することで、ツーマン運転並みの安全性を確保しています。


12-000型車両(1次車)の運転台機器配置(速度計右下の赤いボタンが非常ブレーキ押しボタン)


☆ 営団千代田線 ☆
 支線(綾瀬〜北綾瀬)にて、平成14年3月からワンマン運転を行うこととなり、2月15日にホームドアが使用開始されました。(この時点ではまだ車掌が乗務)
 運転方式は営団南北線・都営三田線等とほぼ同じで、ワンマン支援設備として、駅ホームにはホームドア・ITVカメラ(乗降監視用)を、線路にはATO地上装置を設置しています。車両にはATO車上装置(定点からの誤差±50cm以内で停止可能)・ITVモニタ(運転台上に設置。映像信号は駅から電波で受信)を搭載しています。
 ホームドアの形状は、都営三田線のホームゲートとほぼ同様です。主な相違点としては、ホームドア開口幅が、営団南北線・都営三田線の2.0mに対し、営団千代田線の支線では2.3mとなっているという点が挙げられます。営団千代田線の支線では旧型車(5000系)が使用されるため、停止位置誤差を大きめに見積もり、ホームドア開口幅を大きくしたものと思われます。


営団千代田線のホームドア(戸袋部の高さ130cm・ドア部の高さ120cm・ドア開口幅2.3m)


営団5000系の運転台。乗降監視用のITVモニタやドア開閉ボタン、ATO運転用列車出発ボタンなど、ワンマン支援装置が設置されている。
製造当初はワンマン運転を想定していなかったため、ワンマン化改造にあたっては工夫の跡が見られる。


☆ 営団丸ノ内線 ☆
 支線(中野坂上〜方南町)にホームドアを設置することが公式発表されています。(平成14年度事業計画にて)
 ホームドアの設置された地下鉄他路線と同様、営団丸ノ内線の支線でも、ワンマン支援設備としてホームドアが設置されます。
 他のワンマン支援設備については明らかではありませんが、おそらく、ATOやITVカメラ・モニタが設置されることでしょう…
 ちなみに、同区間にホームドアが設置されれば、3両編成・6両編成の列車が混在することとなり、関東では初のケースとなります。(関西のホームドア設置路線では、京都市営東西線での、4両編成・6両編成混在という例があります。)


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