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車両形式解説

最終更新:2005年11月27日


≪はじめに≫

0.車両番号の読み方

地下鉄の各車両には、4桁の車両番号が付与されています。これによって、車両の種別・タイプを識別することができます。
概ね、以下のように分類できます。

 空港線・箱崎線七隈線

  34
①  ②  ③

  04
①  ②  ③

①千の位形式を表す。
1・・・1000(1000N)系 2・・・2000系 3・・・3000系
②百の位車両のタイプを表す。
0・・・パンタグラフなし中間電動車
1・・・パンタグラフ付き中間電動車
5・・・先頭車(付随車)
号車番号を表す。
ただし、将来的に中間車を挿入して6両編成となることが想定されており、現状では3・4が欠番となっている。
製造番号。各形式とも01から付番する。製造番号。各形式とも01から付番する。
(結果として編成番号と一致)

≪空港線・箱崎線用≫・・・すべて姪浜車両基地所属

1. 1000系(原型の仕様は現存せず)


更新前の第11編成

1000系は、1981年の地下鉄開業時からの車両で、当時の福岡都市圏を運行する鉄道車両では(恐らく)初めて4扉・ロングシートが採用されました。制御方式は電機子チョッパ方式です。福岡の交通改革に大きく貢献したことから、「ローレル賞」が贈られました。
なお、1000系では、2次車(第9番編成)以降で前面貫通扉窓の天地寸法が縮小されたこと(1次車も筑肥線乗り入れ時に交換)と、同じく2次車以降で両先頭車に車椅子用スペースを新設した以外には、大きな設計の変更点はありません。1998年から始まった更新工事(いわゆる「1000N系化」)により、オリジナルの車両は2004年度に消滅してしまいました。

1515の運転室後部に取り付けられたローレル賞受賞記念のプレート。
1次車の8編成にのみこのプレートが取りつけられています。

製造区分製造年度該当編成番号製造名目
1次車1980〜811〜81981年7月の室見〜天神間開業用
2次車19829〜151983年3月の姪浜・博多開業、筑肥線乗り入れ用
3次車1983161984年4月の馬出九大病院前開業用
4次車1985171986年1月の箱崎九大前開業用
5次車1986181986年11月の貝塚開業用
11(6号車)1985年8月に発生した筑肥線の踏切事故に伴う事故廃車補充用

2. 1000N系


第9編成・・・いわば「過渡期モデル」

経年15年を迎えた1000系の延命を図る目的で、老朽箇所の更新、内装のリニューアル等が実施され、この工事が行われた車両は1000N系を名乗ることになりました。

工事の内容・・・(※印のものは前もって行われていた編成もあります)

1.VVVFインバータ制御化
2.運転室周りのガラスを曲面ガラスに交換(初期改造車のみ、但し順次原形の2枚分割型に交換)
3.※行先表示をLED式のものに交換
4.※転落防止用の外幌を取り付け
5.座席の取り替え
6.全車両に車椅子用スペースを設置
7.※LED式の車内案内表示機の新設
8.連結幌の高さを変更(客室床のレベルまで下げる。従来は傾斜があった)
9.客室窓の完全固定化(従来は、一部の窓がわずかに開くようになっていた)
など(全部挙げるときりがない・・・^ ^;)

まず1997年度末、第1番編成(1501以下6連)に制御方式の変更(VVVFインバータ制御化)が実施されましたが、この時は、内装や外観上の変更はなされませんでした。(1998年度末にこの編成は再度入場し、内装のリニューアルを実施)1998年からは、本格的に1000系のリニューアルに着手され、その第1弾として第4番編成(1507以下6連)が出場しました。続いて2→1→3→5番編成の順に出場しており、当初2003年度までに全18編成の更新が完了する計画でしたが、福岡市の厳しい財政事情を考慮してか、はたまたホームドア設置と七隈線建設に予算を重点配分したせいなのか、詳しい事情は不明ですが、2004年度までの工事完了へと計画が後倒しされました。

3. 2000系


第21編成(1次車)

1993年3月の博多−福岡空港間開業に備え、前年の1992年に登場した車両です。VVVFインバータ制御の採用、車椅子用スペースの増設、列車位置表示機と液晶モニター式車内案内表示機の新規採用といった改良がなされ、全体的に丸みを帯びたデザインとなりました。
この2000系は、製造時期ごとにマイナーチェンジが繰り返されています。

製造区分製造年度該当編成番号主な変更点製造名目
1次車199219〜211993年3月の福岡空港開業に伴う列車増発用
2次車199422車体ストライプの配色を変更。
行先表示を字幕式からLED式に変更。
車椅子用スペースを全車両に設置。
運転台側面に「SERIES2000」のロゴマークを張り付け。
1995年3月のダイヤ改正に伴う列車増発用
3次車199723列車位置表示機の扉開方向を前駅発車時から表示できるように回路を変更。
行先表示の「福岡空港」に(Airport)の注記を追加。
転落防止用外幌の取り付け準備工事を施工(後に本工事)。
1000系の更新工事に伴う予備編成の補充用
4次車199824VVVFインバータ制御装置をIGBT素子方式のものに変更。
液晶モニターを廃止し、代わりにLEDスクロール式車内案内表示機を設置。
転落防止用外幌の新設。
1999年3月のダイヤ改正に伴う列車増発用

≪空港線へ乗り入れるJR車両≫・・・すべてJR九州唐津運輸センター所属

4. 103系(1500番台)


写真の編成は3連+3連に分割運用可能な編成です・・・方向幕にもご注目。

1983年3月22日の姪浜開業・国鉄(当時)筑肥線との相互乗り入れに備えて、国鉄側の車両として1982年に製造されたのがこの103系1500番台です。当時「省エネ電車」と目されていた201系の車体を基本として、足回りは既に営団地下鉄(現在の東京地下鉄、通称「東京メトロ」)乗り入れ用として実績のあった103系1000・1200番台をベースにしています。このため制御方式は昔ながらの抵抗制御です。ちなみに地下乗り入れ用103系としては「最初で最後」の新製冷房車です。当初水色にクリーム色の帯が入った塗装でしたが、1995年から前面とドアを赤、側面をメタリック系の濃淡で塗り分けた塗装に変更されています。塗装の変遷については こちら をご覧ください。
なおこの103系1500番台は、ATOを装備せず地下鉄線内でワンマン運転のできない唯一の形式です。このため本形式で運用される電車は必ず車掌が乗務します。

5. 303系


先頭車の窓がない部分にトイレが新設されています。

2000年1月22日のダイヤ改正で筑肥線下山門−筑前前原間の複線化が行われるため、それに伴う列車増発用として登場した形式です。当初から地下鉄線内でのワンマン運転を考慮した構造になっており、ATOを装備しています。運転室や車内設備は地下鉄車両に準じた作りですが、モーターは鹿児島本線などで活躍する813系と共通のものを使用しています。VVVFインバータ制御装置も885系「白いかもめ」「白いソニック」とほぼ同機種です。またパンタグラフは最近流行りのシングルアーム式ですが、これは空港線では唯一の存在です。
なお103系1500番台も合わせてJR車両には下り方先頭車にトイレの設置が進んでいますが、地下鉄線内でもトイレの使用は一応可能です。

≪七隈線用≫・・・すべて橋本車両基地所属

6. 3000系


2004年2月29日の橋本車両基地見学会にて

2005年2月3日に開業した七隈線用の車両として2004年1月から搬入が始まった形式です。リニア式地下鉄だけあって従来の空港・箱崎線の車両よりも小柄な造りになっており、1両分の車体長はなんと16mです。編成も空港・箱崎線の6両編成に対して4両編成(但し将来的には6両編成化も考慮)と、空港・箱崎線のおよそ3両分の長さとなっています。もちろんVVVFインバータ制御で、さらにリニア式の特殊装備も備えています。パンタグラフ(シングルアーム式)は従来の中間車ではなく、両先頭車の運転室上についているのも目新しいものです。当形式もワンマン運転対応ですが、無人運転にも対応しています(実際の営業運転では運転士が乗務)。

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