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 自動車用ヘッドライトの歴史

車の顔の中で「目玉」にあたるヘッドライトの歴史について、市販車を元に年表形式でまとめた。

ヘッドライトの歴史はアメリカ、ヨーロッパ、日本など各自動車生産国の法規と深く関わっているが、法制面での記述が少ないのが現状である。

70〜80年代の北米向け輸出車は、規格型ヘッドライトを使った本国仕様と違う顔つきとなり趣味的に興味深い。これは、デザインよりも、広い国土のどこのガソリンスタンドでも交換用の電球が入手できることを優先したためと言われる。

なお、この年表は複数の記述をもとに書き起こし、出典による内容の食い違いを取捨選択して掲載した。なお、灯油ランプやアセチレンランプによるヘッドライトの記述は省略している。


H I S T O R Y
世界のヘッドライト史
事例採用車種
1909フランス電気式ヘッドライト (ロールスロイス、グレゴワール他、同時発生的に生まれたと言われる)
1915アメリカHi-Low切替えできるヘッドライト(機械式)キャデラック
1916調査中抵抗制御によるディマースイッチ
1919フランスシビエ、ヘッドランプ専門工場を建設。日産100個のペースでルノー・プジョー・シトロエンに供給開始
1924アメリカダブルフィラメント式ヘッドライト
1926フランスシビエ、ル・マン24時間レース出走車のために淡黄色のフォグ・ランプを開発。
1927アメリカHi-Low切替えの足踏み式ディマースイッチ登場
1932調査中すれ違い用の左右非対称配光パターンの登場
1937アメリカリトラクタブルヘッドライトの登場コード 812
1938アメリカ純正フォグランプ登場キャデラック
1939アメリカ1940年式の車にて7インチ規格型シールドビームの登場(オールグラス式、非対称配光)
アメリカにて販売される新車への採用義務付け。主灯45W・副灯35W・70,000燭光
1947フランスシビエ、非対称配光のロービームを開発。電球にシェードを付ける方式。
1948アメリカステアリング連動ヘッドライトの登場(初登場は1920年代のパッカードとも)タッカー
1954アメリカGM、Cds素子を用いたオートディマー装置(autoronic eye)を市販車に採用オールズモビル
キャデラック 他
フランスシビエ、リンク式のオートレベライザー開発パナール ディナ
1955アメリカSAEのヘッドライト規格改定。主灯50W・副灯40W
フィラメント上方にキャップを備え霧の中でも眩しくない“オールウェザー式シールドビーム”となる
SAE J571cにてヘッドライトに光軸調整用のエイミングパッド(エイミングボスとも)の設置義務付け
(提案はGuide Lamp社、適用は1956年から)
1956アメリカキャデラック エルドラドブロアム、4灯式で登場(一般普及は翌年発売の1958年式から)キャデラック
1957ヨーロッパ各国ロービームの左右非対称配光の義務化
1961イギリス
フランス
ヨーロッパにて、角型ライト登場(開発はシビエ、1958年)フォード タウナス
シトロエン アミ6
1964イギリスハロゲンH1電球(シングルフィラメント)の登場
1967フランス量産車としてのステアリング連動ヘッドライト初採用シトロエン DS21
1968アメリカアメリカにて、ヘッドライトの規制強化
連邦自動車安全基準(FMVSS)にてヘッドライトカバーの禁止を宣言、デザイン面に多大な影響
VWほか多数
1968イギリスハロゲン電球内蔵シールドビーム形フォグランプ
1969ヨーロッパハロゲンH4電球(Hi-Lo切替え式)の開発、1971年にヨーロッパのECE規格として採用される
1969アメリカウェスチングハウス製プロジェクター式ドライビングライト(super lite)を市販車にオプション採用'69-70ダッジモナコ・ダッジポララ
1970スウェーデンヘッドライトワイパーの登場サーブ99
1971ヨーロッパ各国ECE(国連欧州経済委員会)規格にハロゲンシールドビーム正式採用
1974アメリカ米国SAE規格改訂、最高光度37,500cdから75,000cdに引き上げ
GMの一部車種で4灯式角型ヘッドライト(61/2in. × 4 in.) を採用
キャデラック エルドラド、オールズモビル スターファイアなど
1975年式キャデラックほか
1976アメリカ1977年式アメリカ車で4灯式角形シールドビームが一般普及
連邦自動車安全基準(FMVSS)改正による
アメリカ車各種
ヨーロッパ北欧にてヘッドランプクリーナーが義務付けられる
1977日本2灯式角形シールドビーム(71/2in. × 51/2in.)実用化
1978アメリカFMVSS108条の改訂、走行ビームの最高光度が75,000cdとなる
これによりアメリカでもハロゲンシールドビームが登場。光源はC-6フィラメント
NHTSA改訂により最大光度75,000cdから150,000cdに引き上げ
1984アメリカアメリカ、FMVSS改訂により電球交換式ヘッドライト(異型ライト+ハロゲンHb1球)を許可
以後、世界的に異型ヘッドランプの本格普及がすすむ
リンカーン Mk.VII
1986ドイツプロジェクターランプ登場BMW 7シリーズ
1989日本スタンレー、マルチリフレクターランプを実用化アコード
1991ドイツHID(キセノンヘッドランプ)登場BMW 7シリーズ
1997アメリカ光軸調整用エイミングパッドの義務付け廃止
日本での初採用例と規格
事例採用車種
1914改進社 ダット2号 電気式ヘッドランプ採用 大正博覧会にて展示
1916東京電気(のちの東芝)、自動車用電球の生産開始
1928ヘッドライト用の切替点灯電球の発売 32/3燭
1932小糸製作所、ボッシュ社製をモデルに国産化した自動三輪車の前尾灯を納入日本内燃機 くろがね号
1933日立製作所の三輪自動車の電装部品の統一運動に各社が賛同し国産ヘッドライトの規格化始まる
1936小糸製作所、四輪自動車の前尾灯に参入トヨタ GA型トラック
1942小糸製作所、自動車用照明器具の製造停止(サーチライトなど軍需品の製造に専念するため)
関連JIS規格の制定
自動車用電球に関する臨時標準規格(臨JIS302)、T-15口金および受金規格(臨JIS329)、S-15口金および受金規格(臨JIS329)
1945進駐軍によりシールドビーム付きの軍用車が大量に持ち込まれる
1952スタンレー、ガラス反射式シールドビーム発売(分解可能型)
1954スタンレー、替玉式メタルバックシールドビーム“コバーシャイン”発売 主灯45W・副灯35W(6V)
東芝、自動車前照灯用シールドビーム形電球を完成(右側通行用をそのまま作成)
1955東芝、2灯式オールグラスシールドビーム(7インチ・6V、12V、24V)を開発(左側通行用に改める)
1957雨や霧の乱反射を防いだオールウエザー型シールドビームの登場
小糸製作所、日本で初めてオールグラスシールドビーム(SB)ヘッドライトの国産化に成功し、発売開始
スタンレー、完全密封式メタルバックシールドビームの発売開始
この頃、電車や蒸気機関車でもシールドビームの使用が始まる
19584灯式メタルバック・シールドビームを発売(スタンレー)
保安基準の灯火規定は2灯式のみで、4灯ヘッドライトはそれぞれ運輸省の型式認定が必要であった。
自動車用シールドビームのJIS規格(JIS D5504)制定
1/1より計量法単位切替、燭からカンデラへ(燭=1.0076カンデラ)
1959小糸製作所、自動車前照灯用自動切換装置「セイフティ・アイ」販売開始
スタンレー、完全密封二重ガス入りメタルバックシールドビーム発売
スタンレー、メタルバックシールドビームで欧米各国のテストに合格
東芝、4灯式オールグラスシールドビームを日本で初めて開発
1960市販車に4灯式ヘッドライト登場日産 680型トラック
プリンス グロリア
小糸製作所、シールドビームのSAE規格認定、北米輸出車のヘッドライト現地取付が不要になる
東芝、シールドビーム(#5040)の米国認定試験に合格
1961スタンレー、密封式角型メタルバックシールドビーム発売
スタンレー、替玉式角型メタルバックシールドビーム“スーパービーム”発売
東芝、4灯式シールドビームをオールウェザー化
スバル360、62年型でHI/LOW/FOG(黄色)3フィラメント式ヘッドライトバルブを純正採用(〜63年型まで)スバル360デラックス
1965スタンレー、オールグラスシールドビーム“スーパーA”発売
1966角型ヘッドライト登場ダイハツ フェロー
スタンレー、ハウジングレス式シールドビーム発売
1967異型ヘッドライト登場マツダ ファミリア1000
リトラクタブルライト車登場トヨタ 2000GT
ハロゲン電球(H3)トヨタセンチュリー
1968交換式前照灯用切換電球
丸型2灯・丸型4灯式でHI/LOW/FOG(黄色)と3つのフィラメントを内臓した3ビームシールドビームランプ登場(城西電機)
白光舎工業と市川製作所が合併、市光工業(IKI)が発足
1969スタンレー、シーリング式シールドビーム発売
スタンレー、“スーパーハロゲンフォグランプ”発売
1974スタンレー、オールグラスシールドビーム“ハイルックス”発売
1975ジェット噴射式ヘッドランプクリーナ生産・販売開始(小糸製作所)
この頃、海外ブランドのハロゲンヘッドランプ、いわゆるヨーソ球がアフターパーツとして流行し始める。当初は車検非対応。
19764灯式角形シールドビーム登場三菱 ギャランΛ
1977市光工業、東芝より生産ラインを譲り受けシールドビームの自社生産開始
19782灯式角形シールドビーム登場トヨタ ターセル
ハロゲンシールドビームヘッドランプ登場(小糸製作所)マツダ車で純正採用
1982年までハロゲン光源は輸入品
マツダ サバンナRX-7
マツダ ファミリア1400
ハロゲンH4ヘッドランプのオプション設定日産 パルサー
異型ヘッドランプ用交換式白熱電球(C-8/C-8タイプ)規格化
1979ハロゲン異型ヘッドランプ(小糸製作所)トヨタ クラウン/日産 スカイライン
セミシールドタイプのハロゲンヘッドライトの純正採用が始まるフェアレディZ、RX-7など一部車種
1981ポリカーボネート樹脂レンズヘッドランプの登場(小糸製作所)トヨタ カリーナ
ヘッドライトに関する規格、JIS D 5504改訂
2灯・4灯角型シールドビームの標準化、走行ビームの最高光度37,500cdに加えて75,000cdの追加
1982ハロゲン電球(H4、H5、H6)
1983運輸省、関税障壁解消のため灯火類の保安基準を一部緩和。前照灯の最高光度引き上げ、後部反射鏡の面積縮小など。
1984レンズとリフレクターを樹脂で成型したオール樹脂製異型ヘッドランプ(世界初・小糸製作所)登場。横長のヘッドライトが流行する。トヨタ ソアラ
1987プロジェクターランプ登場(市光工業)日産 スカイラインGTS-R
1989マルチリフレクターランプ登場(世界初・スタンレー)ホンダ アコード
1996HID(キセノンヘッドランプ)登場日産 テラノ
2001自動車用シールドビームのJIS規格(JIS D5504)廃止
2003「曲線道路配光可変型前照灯」スイブル式AFS登場. ハンドル舵角・車速信号等に連動(世界初・小糸製作所)トヨタ ハリアー
2006保安基準改正によりヘッドランプに型式認定が必要(新マル自)となる
小糸製作所、シールドビーム電球の生産終了
200910.1 ヘッドランプの国内基準が欧州ECE規則第98号(ECE R98)及び第112号(ECE R112)に準拠となり、2014年10月1日以降の生産車はECE基準となる(乗員11名以上の乗用車=バスと大型特殊自動車は例外)
201410.1 上記規定の施行によりH4を含む規格型ヘッドライトが事実上終焉を迎える
20153.13 小糸製作所、角型4灯式LEDヘッドランプユニット(24V兼用)を発売(Gデザイン賞受賞)既存路線バスのLED化が始まる
201710.23 小糸製作所、角型2灯式LEDヘッドランプユニット(12V・24V兼用)を発売

ADVERTISEMENTS

週刊サンケイ臨時増刊'64終期1000万人の乗用車
小糸製作所 シールドビーム広告
自動車ガイドブック Vol.17(1970)
東芝シールドビーム 広告
自動車ガイドブック Vol.17(1970)
城西電機広告 月刊自家用車1965-7
月刊自家用車 第7巻7号(1965)
スタンレー電気広告 オートバイ1962-9

参考資料
書籍『ニッポンのクルマ20世紀』 八重洲出版
『1970年代のアメリカ車』ニ玄社
『世界の自動車 '69』朝日新聞社
『世界の自動車 '75』朝日新聞社
『ULTIMATE CAR SPOTTERS GUIDE 1946-1969』KRAUSE
年史『自動車ガイドブック』
  自動車技術100年のあゆみ
日本自動車工業会
『スタンレー電気 写真でつづる50年』スタンレー電気
『小糸製作所50年史』小糸製作所
『小糸製作所90年史 安全を光に託して』小糸製作所
『東京芝浦電気株式会社八十五年史 』東京芝浦電気株式会社
『東芝百年史』東京芝浦電気株式会社
自動車工学全書『自動車の発達史』山海堂
『日本電球工業史』(1963年)日本電球工業会
『日本電球工業史』第2追補版(1973年〜1982年)    〃
雑誌『CGカーグラフィック』 各号二玄社
論文何故自動車は4個のヘッドライトを点けるか照明学会雑誌Vol.45(1961)No.6
全ガラス製シールド・ビーム型自動車前照灯用電球東芝レビュー8(12)(47) 1953
左側通行用シールドビーム全ガラス製自動車前照灯電球東芝レビュー10(12)(71) 1955
WEB小糸製作所・沿革小糸製作所http://www.koito.co.jp/f_index.html
スタンレー電気・光創造の歴史スタンレー電気http://www.stanley.co.jp/company/hikarihistory.html
自動車用電球ガイドブック
  自動車用電球の歴史
社団法人
日本電球工業会
www.jelma.or.jp/05tisiki/pdf/guide_car_01.pdf
Headlampwikipedia(US)http://en.wikipedia.org/wiki/Headlamp

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