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「赤い華・完結」に向けて
赤い華ー1
北海道はすでに初雪を見たとニュースで報じられていた。
春樹は退院すると暫くは自宅療養になる。
やっと病室でひとりになった春樹は、そっと、日記に目を通したのであった。
まさか、この病に打ち勝つとは思いもよらなかった。
父亡き後、母の苦労は想像できない。
けれど、母の側にずっと一緒に生きてきて、自分が慰めになるには限界があったのではないか?との、疑問があった。
そうだったのか。父に弟がいたのだ。
知らなかった。そして、ずっと、僕達兄弟をバックアップしてくれていたのだ。
いいよな。これから老いに向かっての母に必要なのは、父に似た叔父なんだよなぁ〜。
賢次の結婚も意外だった。自分を病から助けてくれた総ての人達に、今から恩返しだ。
早く元気にならないとなぁ〜。
春樹は闘病生活に入って、すぐに日記を書き始めていた。
人が生きるとは、凄いな。
人を導く職業なのに、まだ、人間としては未熟者。
心身共に健康でないと、その役割は果たせないよな。
春樹は、朝までの長い夜を、ひとり言をいいながら、いつしか眠りの世界に着くのであった。
冬近し、秋深き・・・・・そんなある夜の春樹の徒然なる言の葉だった。
眠りの世界でも、まだ、先ほどの児童達の声が耳につく。
いつしか夢の世界で、春樹は亡き父と出会うのであった。
—親父!逢いたいょ〜〜〜!
枕を春樹の涙の雫がつたっていった・・・・・
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