竜王町・敷島町・双葉町の
新市名称の選考過程について

• 3町合併の概要
  
  　山梨県の中巨摩郡竜王町、中巨摩郡敷島町、北巨摩郡双葉町は、2004年9月1日に合併し、新市に移行する。
  
  　3町は、2002年4月1日に法定合併協議会を設置。（会長は竜王町長の藤巻義麿氏）
  　2003年7月に敷島町・竜王町・双葉町で住民投票・住民意向調査が相次いで実施され、いずれも3町合併に賛成が過半数を超えたことで、合併が決定的となった。
  

• 新市名称候補の選考について
  
  　新市名称について、2003年8〜9月に公募が実施された。新市名称検討小委員会が応募結果をもとに5点を新市名称候補として選考し、合併協議会に報告。
  　なお、新市の名称には「竜王」「敷島」「双葉」の名称は使用しないものとすることが、新市名称検討小委員会によって決定されている。
  
  

  公募の集計結果

  順位	公募集計結果	1次選考結果	2次選考結果
  1位 2位 3位 4位 5位 6位 7位 8位 9位 10位 11位 12位	釜無市 みどり市 信玄市 緑市 武田市 西甲府市 甲斐市 緑水市 巨摩市 赤坂市 三葉市 ドラゴン市	釜無市 みどり市 信玄市 緑市 武田市 甲斐市 緑水市 三葉市	甲斐市
  23位 36位 39位 45位 47位 59位 61位	峡中市 みつば市 三幸市 赤坂台市 みどり野市 みこま市 登美市	峡中市 みつば市 三幸市 赤坂台市 みどり野市 みこま市 登美市	峡中市 みつば市 みどり野市 みこま市

  
  
  　新市名称検討小委員会による新市名称候補選考の方法は以下の通り。
  
  

  1. 第1次選考として、新市名称検討小委員会委員による投票（各委員5点記入）を行い、得票上位15位までを選出。ただし、得票が1のみの名称は対象としない。
     
  2. 第2次選考は、第1次選考で選出した新市名称候補を5点程度にしぼり込む。協議により選考する。
     

  
  
  
  

  ※新市名命名の理由（推測）

  
  

  • 釜無………河川名。竜王町・双葉町と隣接。語源は深淵無い川という説が有力。
    
  • みどり・緑・緑水・みどり野……3町のキャッチフレーズや漠然としたイメージによる。
    
  • 信玄・武田・西甲府・甲斐……いずれも知名度の高い名称を拝借し、漠然とした地域をイメージ。
    
  • 信玄………武田信玄が釜無川の治水のため作った信玄堤から引用。竜王町にある。
    
  • 西甲府………甲府市との結びつきは敷島町が比較的強い。
    
  • 巨摩………郡名を引用。語源は「高麗（こま）」で、古代この辺りに高句麗人が多く移り住んだという説が有力。
    
  • 赤坂・赤坂台……竜王町北部の丘陵地。芽ヶ岳山麓の末端の赤色火山灰土の台地。
    
  • 三葉・みつば……3町合併を、2村合併で「双葉町」が成立したのになぞらえた。
    
  • ドラゴン………竜王町の俗称・接頭語。竜王町の地域通貨「ドラゴン」など。
  • 峡中………甲府盆地の中央部の通称。「峡」とは甲斐の語源という説もある。
    
  • 三幸………竜王町で行われる「おみゆき祭」から引用。釜無川の治水祈願が起源。これに3町合併をなぞらえた。
    
  • みこま………巨摩郡3町合併をイメージ。
    
  • 登美………双葉町成立前の旧村名。登美村の由来は「高台に位置し登って美しい村」。
    
    （参考）
    
  • 双葉町………「喬木も双葉から」「栴檀は双葉より香し」から引用。住民公募から選考した。
    
  • 敷島村………この地域の呼称「志摩の庄」の「志摩」と、雄大典雅な大和の枕詞「敷島」とを合わせた。
    
  • 竜王村………武田信玄が信玄堤の守護のため移り住まわせた「竜王河原宿」が、竜王村へと発展した。
    
    

  
  

• 新市名称検討小委員会
  
  　竜王町・敷島町・双葉町合併協議会は、新市の名称について調査・審議するため「新市名称検討小委員会」を設置した。
  　新市名称検討小委員会は主に南アルプス市の例を参考にし、3町の町長と議長、女性代表、青年代表、地域代表の計15名の委員で構成する。
  　小委員会の委員については、合併協議会小委員会規程第4条に基づき会長が指名したとのこと（第3回合併協議会より）。
  
  

  新市名称検討小委員会委員

  役職	氏名	選出区分	経歴
  委員長	雨宮　泉	敷島・議長	敷島町議会議長
  副委員長	櫻田　一夫	双葉・議長	双葉町議会議長
  委員	藤巻　義麿	竜王・町長	竜王町長
  委員	中村　佳明	竜王・議長	竜王町議会議長
  委員	望月　昌子	竜王・女性	竜王町民生委員・児童委員
  委員	立澤　眞一	竜王・青年	山梨青年工業会会員 タチザワ塗装株式会社社長
  委員	天野　七郎	竜王・地域	竜王町自治会連合会会長
  委員	長田　政明	敷島・町長	敷島町長
  委員	長田　はる美	敷島・女性	中巨摩人権擁護委員協議会委員
  委員	保延　昇一	敷島・青年	？
  委員	三井　新一	敷島・地域	？
  委員	箭本　徳雄	双葉・町長	双葉町長
  委員	小川　巳佐子	双葉・女性	峡北地域保健医療推進委員会委員 韮崎保健所管内愛育連合会会長
  委員	上野　吉輔	双葉・青年	有限会社双葉設備代表
  委員	長久保　功	双葉・地域	区長会会長

  
  
  　近年の平成の大合併で、続々と新しい市が誕生しているが、その新たな市の名称について、市民や学識者の間で批判が多くなっている。主に以下のようなものだ。
  

  • ひらがな市や旧国名の流用などで、固有の地名が消滅していること。
    
  • 公募における下位の候補が採用されるなど、選考の過程が不透明であること。
    

  　日本三大珍市名といわれる「さいたま市」「南アルプス市」「四国中央市」はその好例だ。
  
  　不勉強にも、ひらがな市、旧国名の流用、公募における下位の候補ばかりを選考してしまったのは、この15名の方々である。
  　なぜ会長がこの方々を委員に指名したのか、なぜ委員の構成に南アルプス市を参考にしたのか、その過程は公開されていない。