このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

下水道値上げは必要なかった!
2006年度八幡市決算から

 2007年11月には、八幡市の2006年度決算委員会が開かれ、決算委員として審議に参加しました。2006年度、八幡市は、国民健康保険、介護保険、下水道、保育、学童保育などの市民負担を増やし、いっきょに5億円もの負担増を押しつけました。住民税の負担増2億9000万円を合わせればさらに負担増は膨らみます。日本共産党のみが、こうした負担増に反対しましたが、値上げした下水道特別会計を分析していて、今回の値上げが必要なかったことが決算資料で裏付けられています。
  

 市は、下水道料金値上げを審議した05年12月議会では、当初1億2000万円の値上げと説明していましたが、決算では1億4700万円もの増収になっています。
 値上げ幅を大きく上回る基金の積み上げ
 値上げ提案のとき、市は、どのような説明をしていたのでしょうか。下水道特別会計の財政調整基金は、04年度決算で3億3900万円だったのが、07年度には底をつき、「基金はなくなる」⇒だから値上げが必要。というのが市の説明でした。さらに値上げをしても、基金は05年度の2億2600万円から年間数千万円ずつ取り崩さなければ運営できないといっていました。
 この基金の推移を見ると、すでに値上げ提案した05年度時点で収支見込みがずれ、実際の決算では3億5200万円にふくらんでいます。さらに06年度決算では、5億2700万円にも積み増しました。値上げ幅を大きく上回る1億7500万円もの増加です。当時の推計と比べると、3億5000万円もの開きが生じています。
 さらに決算書をよく見ると、過去の下水道整備の借金返済のための公債費は補正予算で約1億円上乗せして、債務の返済を前倒しした結果、下水道の債務は前年度比4億円減額するなど、下水道会計の財政指標は軒並み改善しています。
 しかも、市の一般会計から下水道特別会計への繰り入れは5000万円減らしています。値上げ以外の下水道会計の財政好転の要因については、下水道工事などの発注にあたって落札価格が下落したこと、さらに広域下水処理施設である洛南浄化センターや枚方・渚処理場の分担金などが大きく減少したことなどが要因です。1億円以上の減額となった洛南浄化センターについていえば、設備更新にともない、下水処理時に発生するメタンガスなどを集めて燃焼させ、タービンを回して発電するようになり、自家発電分による電気代の節約、余熱を利用して汚泥を乾燥させて運搬時の軽量化によるコスト削減が大きな効果をあげています。こうした傾向は、06年度だけにとどまらず、今後とも節約効果は継続することになり、まったく値上げの根拠がなかったことを示しています。
 こうしたことをきちんと見通さないで、安易に市民に値上げを押し付けた市の責任は重大です。ざっと見積もっても、基金として積み上げた1億7500万円、公債費の前倒し償還(これ自体は大事なことですが)に投入した1億円相当は、下水道財政の年間の余裕分として計算できます。こうしたお金を、下水道料金値下げ、または、福祉の充実などの財源として活用すべきではないでしょうか。

市政研究

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