このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

人間魚雷 回天
歴史にとどめておきたい自殺兵器
人間魚雷 回天

 東京に住んでいたときに家族ぐるみでお世話になった岩井忠正さん、八幡での九条の会で講演していただいた岩井忠熊・立命館大学名誉教授。第二次世界大戦での特攻部隊「回天」「伏竜」「震洋」の体験を持っておられる、このご兄弟との縁あって、ホームページの一部で「回天」や「伏竜」の事実を知らせたいと思い、このコーナーを設けることにしました。人間の命をかえりみない日本の侵略戦争の残虐性を告発する一助になればとねがっています。

                                2007年1月 山本くにお

写真出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

 回天とは、人間が魚雷に乗って直接操舵して、敵艦に体当たりする兵器のこと。「天を回らし、戦局を逆転させる」として開発されました。
 小型の潜望鏡で、敵艦の位置、距離、方向を確認して潜行。ストップウオッチを頼りに(要するにヤマ勘)舵を操作するそうですが、脱出装置はなく、エンジンも、後進はできず、点火装置も一つしかないので、一度エンジンを止めると動かない仕組みです。母艦となる潜水艦から発射したら、攻撃が成功するかどうかにかかわりなく、乗組員は生きて帰ることがほとんど不可能な兵器です。
 岩井忠正さんは、著書「特攻」のなかで、同じ訓練生が、終戦の三週間前に、山口県・光基地で訓練中、回天の頭部を海底に突っ込んで浮上できなくなり、殉職したことを記されています。映画「出口のない海」で、主役の市川海老蔵が演じる並木浩二は、このケースが参考になっているものと思われます。

 岩井忠正さんは、1945年4月に、人間機雷「伏竜」という、これまたとんでもない兵器部隊に配属されます。
 「伏竜」は1945年に開発され、連合軍の日本本土上陸を阻止するため、水際作戦における海軍の「切り札」とされたといわれています。 海中に潜水した兵士が米軍の上陸用舟艇に接近して、機雷をつけた竹の棒を突き上げ撃沈するというものです。船を海底から機雷を持って潜水兵が歩行突入するという兵器ですが、よくまあ、こんなものを考えたものだと思います。岩井さんが著書で、みずからの体験を下にイラスト化されていますので、紹介します。(少し見づらいかもしれませんが・・・)
 潜水中の呼吸は、酸素ボンベから吸い込み、吐き出した2酸化炭素は「吸収缶」の苛性ソーダに吸収させ、呼気を海中に排出しない構造になっているとのことです。そのため、潜水服の中で鼻で息を吸い、口金に息を吐き出して「吸収缶」に送り込む——「この独特の呼吸法を正しくやらないと水中で炭酸ガス中毒になり失神したり悪くすると死に至る」(岩井氏著「特攻」)という常軌を逸した兵器です。
 結局、この「伏竜」は実戦配備されることなく終戦を迎えたようです。ちなみに、「伏竜」の潜水具と機雷のモデルは、靖国神社の博物館「遊就館」に展示されているそうです。

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