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下水道料金値下げ条例案への賛成討論 2008年6月

 2008年6月の八幡市議会で、日本共産党八幡市議会議員団は、2年前の値上げを元に戻す下水道条例改正案を提出しました。私がおこなった賛成討論を紹介します。

 八幡市下水道条例の一部を改正する条例案にたいし、日本共産党八幡市議会議員団を代表して賛成討論をおこないます。
 2005年12月議会にも同じ名前の条例提案がありましたが、今回提案されているものとは正反対の内容であります。そのときの内容は1億5000万円の値上げの提案であり、日本共産党を除く方々の賛成で可決され、値上げが実施されました。
 その後の下水道会計の推移を見ると、値上げによる余剰財源は明らかであります。値上げの提案をした時点で、下水道基金は2005年度末に2億2600万円との見込みを示していたのに、値上げにより基金は膨らみつづけ、昨年度末には5億円の繰り上げ償還を実施しました。それによりいったん基金は減少しますが、今年度末には1億3000万円も積み増しして2億5000万円の水準に達します。3年間で6億円近くの余剰財源が発生しています。今議会での常任委員会や予算委員会での質疑において、値上げ時に説明されていた「値上げしないと赤字となり、基金も底をつく」との議論はまったく姿を消しており、当時の値上げ提案がなんら道理のなかったものであることを立証しています。値上げの論理が崩れた以上、根拠のない値上げはただちに撤回して元に戻すのが当然であり、今回の値下げ条例の提案は、市民の暮らしを守ると同時に、市政にたいする信頼回復をはかる第一歩になるものと考えます。
 今議会での質疑で、市が持ち出している議論は、これまでの主張を棚に上げて、今後の企業会計移行に備えるため、さらに今後の下水道の改修計画に巨額の費用がかかるという言い分であります。全体として、過大な収入を目立たせないために、経費を大きく見せる、または前倒しをする手法がとられています。
 企業会計への移行について言えば、下水道設備などの固定資産の価値が目減りするものとして算出する「減価償却費」の扱いが大きな問題となってきます。これを住民の利用料でまかなうとなると市民生活はたいへんなことになります。住民負担で設備投資をしたうえで、さらに「減価償却費」の計上で経費を膨らませて今後の下水道料金に反映する仕組みは「二重の住民負担」を強いることとなります。
 また、男山地域の下水道菅の更新にお金がかかるという論拠も希薄です。
 そもそも値上げ時には何の言及もなかったわけですが、市は、国の耐用年数よりも大幅に短い期間で下水道を更新しなければならない客観的根拠は示されず、計画の全体像もいまだ不透明です。
 9年間で27億円という下水道更新計画にともない、年間3億円の工事費が必要で、現状よりも1億円上乗せすることが必要だといいますが、そこには市の一般財源でまかなう雨水分も含まれています。汚水分に限定し、工事の入札率も考慮すると、上乗せ分は1億円をはるかに下回る金額であり、一般財源の投入や今後の経営努力で吸収できる金額です。
 今見てきたように、市が新たに持ち出している論点は、いずれも値上げで積み増しした余剰財源を覆い隠すために持ち出しているものといわざるをえません。企業会計の移行に伴う課題や問題点、今後の男山地域を中心として予定している下水道の更新計画については、きちんと客観的なデータを示して、市民的な議論・検証をしていくべきです。こうした手続きを抜きにして、値上げでうるおった財源を消化するための計画の前倒しであってはならないと考えます。
 物価の上昇や医療・社会保障制度の改悪で市民生活がたいへんな時に、根拠のなかった値上げを続けることは許されません。私たちのおこなったアンケートでも「下水道料金を値下げしてほしい」という市民からの声がたくさん寄せられています。
 そもそも議会の役割には、住民の暮らしを守るために制度を改良していくこと、住民の声を政治に反映すること、行政にたいするチェック機能があります。今回の議員提案は、こうした議会の役割・機能をいかんなく発揮するものではないでしょうか。
 「市民の暮らしを守る」ために、ぜひ、多くの方の賛同をいただきますようお願い申し上げまして、下水道料金を値下げする条例改正案にたいする日本共産党八幡市議会議員団を代表しての賛成討論といたします。
 

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