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2008年6月の八幡市議会で、私がおこなった上記意見書案にたいする賛成討論は次のとおりです。
ただいま議題となっております「福祉・介護の人材確保対策の充実に関する意見書案」にたいし、日本共産党八幡市議会議員団を代表して賛成討論をおこないます。
現在、福祉分野においては、自民党・公明党政府による介護保険の改悪、障害者自立支援法によって利用者負担が強化されたこととあわせて、報酬単価の切り下げによって福祉労働者が継続してはたらくことができないほど、低賃金、困難な労働条件が広がっています。今回の意見書案は、こうした事態を引き起こした介護保険の改悪や障害者自立支援法などに言及せず、制度の根本改善を求めていないなどの不十分さをもっていますが、介護・障害者・児童福祉施設での報酬の改善、福祉労働者の待遇改善を求めるなど、先に審議されました請願とも合致する内容であり、福祉分野の人材確保に向けた改善策につながるものと評価しています。
同時に、今議会におきましては、先にもふれたように、福祉の人材確保を求める意見書をあげてほしいという請願が出されていました。残念ながら、この請願については、賛成したのは日本共産党市議会議員団だけでした。それ以外の議員のみなさんが反対された結果、意見書を上げてほしいという請願は不採択となりました。この議決を見る限り、八幡市議会の多数の意思は福祉の人材確保の意見書をあげないということにならざるをえません。
ところが、その同じ会期の議会において、いま同趣旨の意見書が提案されていることに驚きを感じるのは私だけではないと思います。これでは八幡市議会の意思はどこにあるのかが問われることになります。
福祉の人材確保を求める請願も意見書も、ともに採択するのが、議会として当たり前の意思表示ではないでしょうか。請願を不採択にして、時を同じくして請願の求める意見書を採択することの正当性を誰も説明できません。
ちなみに今回提出されている意見書案は、3月に京都市議会が議決した「福祉・介護の人材確保と待遇改善を求める意見書」と瓜二つであります。タイトルが少し違うのと、本文ではどこが違うのか、違いを見つけるのに苦労するほどよく似た文章です。同じ意見書をあげることについてどうこう言うものではありません。京都市議会も八幡市議会も、同じ請願を審議したわけですが、決定的に違うのは、京都市議会では請願を不採択にしていないことです。審議未了という形で扱われています。請願を不採択にせず、意見書をあげることで議会の議決の統一性をかろうじて保っています。また26日に閉会した宇治市議会では、同じ請願に対し、自民・公明が委員会で反対したものの、その理不尽さに耐え切れず本会議を退席し、本会議では全会一致で請願が採択され、意見書も可決されました。ところが、八幡市議会の場合は、意見書をあげてほしいという請願を不採択にして、意見書をあげるという支離滅裂な議決をすることになり、道理のなさが明らかであります。
文教厚生常任委員会の請願審議の際、委員長に休憩を取っていただいて、請願の扱いについて最終の調整をおこなう場を設けていただきました。このとき、継続審査を含めて提案したにもかかわらず、そうした意見に耳を傾けないで、採決、不採択へと突き進んだことも重大です。そのときの協議の中で、ある委員は「特定の政党が名指しされるのはどうか」、別の委員は「請願趣旨で市に対して独自施策を求めているが、報酬単価など国の改善が先にあるべきだ」と発言されました。確かに特定政党の名前がでてきますが、批判しているのではなく、与党として福祉分野の労働条件の改善を働きかけたことを記述しているのであって、請願に反対する理由になりません。国が先か市が先かを問うのであれば、国会で一致してとりくみ、国が示している指針すら理解していないことをさらけ出しているにすぎません。協議の中で、「アカンもんはアカン」と言い放った委員もおられました。それなら、なぜいま、請願にかみ合った意見書案が出されているのか、まったく理解に苦しみます。
請願や意見書の取り扱いにおいて、市民の願いにどのように臨むのかは議会にとって重大な問題です。
福祉の勉強をして、念願の福祉分野で仕事を得たけれども、生活できない賃金のため、希望した職場を離れなければならない青年労働者のつらさがわかりますか。市内においても、特別養護老人ホームで夜勤を終えたあとも、長い時間のサービス残業を強いられて、職場を離れることになった事例もあります。こうした叫びがみなさんのもとに届いていますか。同じく市内の特別養護老人ホームで、日中の勤務を終えて、帰宅した後、患者さんの緊急事態で深夜に呼び出される事態が頻繁に起こっています。福祉現場の労働者の集まりで、何人もの青年労働者から「この給料では結婚できない」「自分の将来が不安」。こんな声をたくさん聞きます。こうした声を議員、議会がどう受け止めるのかが問われています。
先ほど審議された請願には、こうした多くの福祉分野の労働者や関係者の切実な願いと叫びが込められているのです。私たちは、こうした声を真正面から受け止めて、請願にも意見書にも賛成をしたいと思います。ところが、八幡市議会では、市民の請願をないがしろにする事態が進行しています。
今回の請願と意見書をめぐる経過をふりかえってみたとき、請願を不採択にして意見書をあげるというやり方は、市民が議会に対して請願を提出する権利をふみにじり、市民の声に耳を傾けない傲慢な対応といわざるを得ません。
憲法16条は国民の請願権を保障しています。今、八幡市議会で起きている事態は、憲法の基本原則を形骸化するものであります。
以上、この間の経過において、議会のあり方をめぐる重大な問題点があるということを指摘して、日本共産党八幡市議会議員団を代表しての賛成討論を終わります。
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