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2010年12月議会 討論

 
日本共産党議員団は12月議会に、「医療費支給条例改正案」(子どもの医療費を小学校卒業まで無料化する内容)を提出しました。与党会派の反対で否決されましたが、小学校3年生までの無料化を求める請願が採択され、子どもの医療費無料化が前進する基礎ができました。与党会派が、請願を受けての条例化をしなかったため、実施時期は不透明ですが、議会内世論は大きく変化しました。議会最終日の22日、私が行なった反対討論を紹介します。

  八幡市医療費支給条例改正案に対する賛成討論

 八幡市医療費支給条例の一部を改正する条例案にたいし、日本共産党八幡市議会議員団を代表して賛成討論をおこないます。
 今回提案されている内容は、子どもの通院医療費の無料化の対象を、現行では就学前までとなっているのを小学校卒業まで拡充するものです。実施時期は来年4月からとなっています。
 子どもの通院医療費無料化をめぐっては、これまでもさまざまな議論がありました。
 荒巻前京都府知事は、かつて子どもの医療費無料化について「絵に描いたモチ」と述べて、府民の切実な要求にまともに取り合おうとしませんでした。しかし、現実は大きく前進し、京都府の不十分な制度の下でも、高校卒業までの無料化に踏み切る自治体も出ています。府南部の山城北医療圏では、井手町が中学卒業まで、久御山町・宇治田原町が小学校卒業まで、京田辺市が小学校3年まで、城陽市も小学校3年生までの無料化をめざして毎年1学年ずつ拡大しています。宇治市と八幡市だけが就学前までの無料化で踏みとどまり、遅れが顕著です。
 2007年3月、就学前までの無料化を内容とする「医療費支給条例の改正案」を日本共産党議員団が提出したときの、私の賛成討論を一部紹介します。
「府下の自治体の状況はどうでしょうか。就学前までの無料化を実施していないのは少数派であり、府南部では、八幡と宇治だけが取り残されています。」
 「就学前までの無料化」を「小学生の無料化」に言い換えれば、今回の討論にそのまま使えます。つまり、医療費の無料化拡充で、いつも宇治市と最後尾を争う事態を繰り返しているのです。こうした悪しき循環をあらためて、山城北医療圏の都市部でトップランナーとなる小学校卒業までの無料化を実現し、かつてのように「子育てするなら八幡市で」と全国から視察が相次ぐような、子育て先進都市をめざすべきではないでしょうか。
 さて、八幡市での通院医療費無料化拡充の足取りを振り返ってみます。
 1993年に2歳まで無料となり、1999年に3歳までとなりました。2003年3月議会には、府の制度改正にともない10月から就学前まで月8000円を超す部分を助成するという提案がなされたのに対し、日本共産党議員団が就学前までの通院の無料化を内容とする修正案を提出しました。これは残念ながら否決されましたが、同時に他の会派から、市の提案内容で10月実施を4月に前倒しする修正案が提出され、全会一致で可決しました。
 2004年には、市長選の論戦を通じて、4歳まで拡充されました。
 2007年に、日本共産党議員団が就学前まで無料化する条例案を提出しました。このときは否決されましたが、半年後に実現しました。
 翌2008年、明田市政になってからは、一向に改善されていません。
 私たちの提案は、ことごとく否決されてきていますが、私たちの行動が引き金になって確実に子どもの医療費無料化が一歩一歩拡充してきているのが特徴です。
 全国の状況を見てみますと、小学校卒業まで通院医療費を無料にしている自治体は、2000年には5自治体でしたが、2003年には25、2006年には63、そして2009年には全国の自治体数の1割を超す198自治体へと飛躍的に増えています。一方、小学校3年生までの無料化を実施しているのは125自治体です。就学前までの無料化から、更なる拡充をする場合、小学校卒業、中学校卒業までの無料化へと一気に飛躍させている自治体が多数であり、小学校3年生までなどと小刻みに拡充する自治体は少数派です。また中学卒業またはそれ以上の無料化に取り組む自治体は350自治体にのぼります。3割の自治体が小学校、中学校、高校卒業までの通院医療費の無料化に取り組んでいます。
 3年生までの無料化という中途半端な拡充でなく、小学校卒業までの無料化に必要な財源は年間1億1000万円です。
 八幡市の財政の現状を見れば、こうした財源も心配いりません。
 「団塊世代」の大量退職などによる人件費の減少は2億〜3億円、城南衛生管理組合の分担金の軽減効果は1億5000万円、同和行政終結で5000万円程度を生み出すことができます。決算カードで調べると、市の一般会計関連の積立金は、2007年度の35億円から2年間に5億円も増えて、40億円近くに達しました。
 今、八幡市の市政運営に必要なことは、「金がない」などと強調して市民向けの施策を削ることに専念するのではなく、急速に好転している市の財政を、市民のくらし応援のための財源に活用することではないでしょうか。くらし応援への転換の第一歩として、子どもの医療費を小学校卒業まで無料化する条例提案に賛同いただきますようお願いします。
 さて、今回の議会では、議員提出議案第2号に加えて、後に議題となる小学校3年生までの無料化拡充を求める請願1号、小学校卒業までの無料化を含む子育て応援の請願2号の3つが審議されました。
17日の文教厚生常任委員会では、議員提出議案第2号は日本共産党のみの賛成で否決、請願2号は同様に不採択となりましたが、請願1号は全員賛成で採択されました。大きな前進であります。
 請願の紹介議員への質疑の中で注目することがありました。
 質疑の中で、条例案が否決され、その上、請願1号の第2項で小学校卒業までの無料化は「将来的」な課題となっているため、この課題が先送りされるのではないかという懸念を持っていることを伝え、小学校卒業までの無料化に踏み出す時期をどう考えるかについて、紹介議員にお聞きしました。これに答えて、本来、義務教育まで無料であるべきと考える、小学校卒業までの無料化の時期は国や府が制度拡充したときがふさわしい——と答弁されました。私は、先ほども述べたように、市民要求の面からも、市の財政面からも小学校卒業までの無料化をちゅうちょする必要はないと考えていますが、京都府が2年以内に制度拡充に踏み出す方針を持っていることを考えると、市議会全体が次のステップを視野に入れていることの表明でもあり、大いに勇気づけられる答弁だったと受け止めています。
 懸念もあります。来年4月の実施ができるのかという問題です。窓口での無料化に向け、医療証発行・送付などの準備期間が必要であり、円滑に移行するには12月議会での議決が必要です。
 この問題では、委員会で、議員提出議案、2つの請願審議が終わった際、請願1号の採択を受けて委員会として小学校3年生までの無料化を実施するための条例案の提案を呼びかけました。しかし、協議は実りませんでした。これにより、来年4月からの医療費助成の拡充の可能性は大きく遠のいたことは否めません。
 請願1号では、早急な実施を求めています。来年4月実施をめざして条例提案しようという呼びかけが、紹介議員の方やその会派の方々から拒否をされるというのは不思議で仕方ありません。議会は議案を提出する権限を有しており、この活用は議会活性化の基本中の基本であります。ところが、子どもの医療費無料化拡充を来年4月から実施する機会が目の前にありながら、市民のみなさんの期待の芽を議会自身が摘み取るようなことは避けるべきだと思います。私たち日本共産党八幡市議会議員団は、小学校3年生までの無料化においても来年4月の実施をめざしてあらゆる可能性を探求する決意であります。
 最後に、私たち日本共産党八幡市議会議員団は、ひきつづき小学校卒業、中学校卒業までの無料化をめざしてがんばることを表明いたしまして、議員提出議案第2号、医療費支給条例の改正案に対する賛成討論といたします。

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