このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

議会討論
後期高齢者医療制度についての反対討論

06年12月議会でおこなった後期高齢者医療制度についての反対討論は次のとおり(大要)

  後期高齢者医療制度反対討論  

 ただいま議題となっています議案第87号、「京都府後期高齢者医療広域連合規約の制定について」にたいし、日本共産党八幡市議会議員団を代表して反対討論をおこないます。(中見出しなど加筆)


 住民の声が届きにくい

 今回提案されている後期高齢者医療広域連合は、自民・公明政権が強行した医療制度の改悪により、高齢者・重症患者への負担増、療養型ベッドの削減とあわせて実施されようとしているものです。75歳以上の後期高齢者の医療に対し、健康保険や国民健康保険から独立させ、後期高齢者だけの医療保険を創設することになり、京都府全体で28万人、八幡市で5800人が該当します。これまでの市町村単位でなく、府全体一つの単位とする運営となり、保険料の設定や保険証の発行などが住民の声が届きにくい広域連合で決定していく仕組みとなり、後期高齢者、住民にたいする配慮がされにくいものとなる懸念があります。


 保険料負担 全国平均より高め?

まず保険料負担でみてみると、後期高齢者医療において、高齢者が1割の窓口負担をし、その残りの保険給付費のうち、1割を後期高齢者の保険料、5割を国・府・市の公費でまかない、4割を現役世代からの支援金として健康保険・国保などから拠出することとなります。新たに徴収することとなる後期高齢者の保険料は年金から天引きされることになります。その負担規模は、国のモデルで年間7万4000円、月6200円強にのぼると見られています。文教厚生常任委員会での質疑でも、京都府は、全国平均よりも高めの保険料設定になるだろうと見られています。激変緩和や軽減措置を考慮しても、多くの高齢者が介護保険料とあわせて月1万円を年金から天引きされることになります。


 保険証の発行は?

 保険証の発行においても、国が保険料滞納者へのペナルティとして保険証ではなく窓口で10割負担をしなければならない資格証明書の発行を強く指導しています。八幡市の国保においては、滞納者の保険料の納付指導によって、資格証明書の発行を極力回避し、国民の医療をうける権利のセーフティネットとしての努力をされてきています。ところが、今回の広域連合制度においては、情け容赦なく資格証明書が発行されることとなり、生活困窮の高齢者にたいする医療保障を奪うことになります。

定額制を持ち出す動き

 後期高齢者の診療報酬は、今後の推移を注意深く見ることが必要ですが、10月に開かれた政府の社会保障審議会・後期高齢者医療のあり方の検討では、75歳以上の診療報酬を定額制とする検討が始まっています。これでは後期高齢者が受けられる医療に制限を設けることになり、容認できるものではありません。


 企業負担を減らす思惑

 後期高齢者の診療報酬は、今後の推移を注意深く見ることが必要ですが、10月に開かれた政府の社会保障審議会・後期高齢者医療のあり方の検討では、75歳以上の診療報酬を定額制とする検討が始まっています。これでは後期高齢者が受けられる医療に制限を設けることになり、容認できるものではありません。

今回の制度では、現役世代の医療保険からの支援金に関連して、現役世代が払う保険料において、現役世代とその家族につかわれる「一般保険料」と、後期高齢者のための「特定保険料」を明示して徴収することになります。同時に、日本経団連など財界は、高齢者医療の「支援金」における企業負担を無くして労働者のみの負担とするよう求めています。企業の社会保障負担を際限なく減らせという身勝手で、企業の社会的責任をかえりみない主張であります。後期高齢者医療をめぐって、こんな方向に進めば、高齢者も現役世代も大変な負担をおしつけられる仕掛けがつくられてしまいます。

 健康診断などが変質する恐れ

 健康診断・保健指導の変質の懸念もあります。
 自治体による基本健診が廃止され、国保や健康保険による健診へと移行し、この「特定健診」の受診率や「保健指導」による改善率が低い保険者には、ペナルティとして高齢者医療に支出する「支援金」を加算することになります。検診の徹底や病気の予防は当然のことですが、その目的は国民の健康保持であるはずですが、後期高齢者医療の制度においては、健康診断や保健指導の目的が「医療費の削減」にすりかわってしまうことになります。

 情報公開、請願権はどうなる?

また今回、設置を提案されている広域連合では、保険料設定にたいする不服審査、情報公開、請願権などがどのように扱われるかなど、国民の基本的権利に属することが明確に示されない問題も質疑の中で明らかになっています。くりかえしの質疑の中で、最終的に地方自治法などに準じて取り扱われるとの答弁をされたものの、具体的にどのような取り扱いになるのかは、今後の広域連合議会での審議を見なければわかりません。冒頭にも指摘しましたように、保険料の設定などが、直接住民が関与できない機関で決定されていくという問題の根本は改善されません。

以上が、日本共産党八幡市議会議員団として、「京都府後期高齢者医療広域連合規約の制定について」にたいし、反対する理由であります。私たちは、この後期高齢者医療の問題のみならず、老人医療の度重なる改悪や療養型ベッドの削減など、医療制度の改悪を食い止め、国民の健康で文化的な生活を営む権利を保障している憲法25条を生かした医療政策への転換を求めて全力をあげる決意を申し述べまして、反対討論を終わらせていただきます。


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