このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |
イワシと和泉式部と八幡宮
私は大学でマイワシを専攻していましたが、和泉式部日記で有名な和泉式部が大のイワシ好きで、八幡にある石清水八幡宮にひっかけて歌を詠んでいたというのをご存知でしょうか。
千葉県の水産試験場などでイワシの研究をされてきた平本紀久雄さんが著書『私はイワシの予報官』のなかで、そのあたりについて書かれているので紹介します。
「才女で名高い和泉式部はたいへんなイワシ好きで、家族の留守を見計らってはイワシを賞味していたらしく、外出先からふいに帰った夫の藤原保昌に見つかり、下賎な魚を食べたとたしなめられると、
『日の本にいははれ給ふいはしみず、参らぬ人はあらじとぞ思ふ』
誰もが石清水八幡宮にお参りするように、イワシを食べない人などありますまいと、即座にやり返した。妻のあまりの才気ぶりにすっかり参ってしまった保昌は、『イワシは肌を温め、顔の色つやをよくする美容食ですよ』などとお世辞をいわざるを得ず、その後は夫婦仲睦まじくイワシを食べたという(室町時代に書かれた御伽草子の一つ『猿源氏草子』)。
最近も、イワシが健康にいいと注目されていますが、すでに平安時代から言われていたことなのですね。ただ、最近は、イワシの漁獲量は激減し、大衆魚などとばかりいってられない時代になりました。1990年ごろはイワシの漁獲量は400万トンを超え、日本の漁獲量の4割を占めていましたが、今では、すっかり姿を消しました。そのあたりの事情は、私の大学での卒論のテーマでもありましたので、いずれ、別の機会に書きたいと思います。
このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |