このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

障害者自立支援法を考える

 京都府は、国の基準より障害者の負担上限を低く設定する負担軽減策を実施しています。これ自体は、関係者の運動や要望を反映したものとして評価できますが、4月からの1割負担導入以来半年がたち、その軽減策の実際の効果と府の果たすべき責任について、データをもとに考えてみました。

 (4月から7月までの実際の数値をもとに、月平均の数字に換算しています)

 障害者自立支援法では、障害者とその家族が福祉サービスを受けたときに、原則一割の負担が生じます。まともな所得保障のない現状では、この1割負担は関係者に大きな負担となっています。そのため、国も1ヶ月当たりの利用料負担に上限を設けています。さらに京都府は、おおむね国の上限の半分となるように独自の軽減策を設定しています。

 そのおもな内容は次のとおりです。

    所得階層区分           負担上限(月額)
     生活保護                            0円
     市町村民税非課税
        年収80万円以下                 7500円
        障害基礎年金1級および特別障害者手当のみ
                                    7500円
        上記以外                     12300円
     市町村民税課税
        市町村民税所得割4万円未満        18600円
              同     4万円以上        37200円


 また福祉サービスを提供している社会福祉法人が利用料を軽減することも法で規定されており、収入や預貯金などが一定以下の人たちは、国制度の負担上限額の半額を超える分が軽減されます。府は、府の軽減制度と、社会福祉法人減免の制度について、社会福祉法人減免を優先するとしているので、結果的には、収入や預貯金が一定額以下の人は社会福祉法人減免、一定額以上は府の軽減制度というように「住み分け」がなされることになります。
 この法人減免によって法人が減免したとき、その2分の1ないしおよそ4分の3の費用が公費から還付されますが、これも年度末に一括して支払われるので、社会福祉法人にとっては結構大きな額を立て替えることになります。

 市内の作業所での、①利用者負担、②府の軽減措置による府からの補てん額
、③社会福祉法人軽減による法人(作業所)の負担による軽減額、さらにそのうちの公費として法人に補てんされる金額——の項目(月平均)をはじき出してみました。

      利用料収入                     52.2万円
      府の軽減制度による府の負担          1.4万円
      社会福祉法人減免                 7.2万円
        うち公費分                      4万円
          (うち府の負担                  1万円)
        社会福祉法人の負担              3.2万円



作業所の負担と府の負担を比べてみると
    作業所の負担より少ない府の負担

 負担軽減額の合計8万6000円のうち、府の軽減制度分は2割にも満たない数字にとどまっています。府が鳴り物入りで宣伝した制度ですが、実際の軽減措置の負担は、作業所などの社会福祉法人に押し付けていることになります。
 社会福祉法人減免の公費還付分を考慮しても、法人の負担3万2000円にたいし、府の軽減措置への負担は2万4000円(1万4000円+1万円)にとどまります。

 自立支援法が施行されて半年、10月からは市町村による地域生活支援事業もスタートしました。今回の試算は、あくまでも限定されたデータの下でおこなったものですが、それでも、このような実態が明らかになっています。今後、国や府の負担をさらに増やして、障害者の負担軽減制度の拡充、市町村の地域生活支援事業の充実と負担軽減にむけた取り組みを強めていきたいと思います。

 

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