このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |
私にとって、平和のとりくみは、高校生のころからの原点でもあります。本棚を整理していたら、高校生のとき、『青年運動』(日本民主青年同盟)という雑誌に書いた手記が見つかったので、8・15を目前に控え、この際、ホームページに載せてみようと思いました。編集者の手でかなり改善されていますが、高校生のころのつたない文章ですが、ご一読を。
『青年運動』(1976年12月号)より再掲
高校生活
平和を守る大きな決意を
京都 山本邦夫
みんなに真剣に訴えられるテーマを
八幡高校学校祭で、私たちは展示「戦争について」をとりくみました。わが高校では、各学年をほぼ縦割りにしたブロック制で、各部門にわかれて行ないました。学年が違うため一度も顔を合わせた事もない者ばかりで、なかなかうまくいかないことがありました。テーマを決めるときなど、最初は予想通り(?)まったく意見が出ず何も決まりませんでした。おそらく何回続けても同じだったろうと思い、各クラスから男女各1名の代表を選び、会議を開いてテーマを決めることにしました。テーマを決める際、自分自身の意見として、「みんなに真剣に訴えられるもので、やりがいのあるものにしよう。」と会議のなかで呼びかけました。なかには、「まじめなもんやっても誰も見に来てくれへんのとちがうか。」という意見もあったけれども議論の末、今までの展示といえば、単に模造紙に書いたものを連ねるだけであり、私たちは展示物の配置、構成を創造的に考えていくということで承諾を得ました。そして、テーマとして「ロッキード事件」「現代の高校生」「戦争について」の3つが出ました。みんなで話を進めていく中で、私は「わが民族は英雄」(*ベトナム解放の話です)や核兵器の話をすると、みんなから次々と戦争に反対する意見が出され、「戦争について」に決定されました。
多くの生徒が“戦争反対”を
まず、構成として展示会場を4つに区分し、①第二次世界大戦史、②戦争体験談、戦争の恐ろしさ、④まとめ、というサブテーマをかかげました。そして、図書館やみんなの持ちよった資料で戦争史や核兵器、米軍基地について調べ、また老人ホームや先生のところに体験談を取材に行きました。さらに、生徒を対象にアンケートをとりました。アンケートのなかで、「資本家や一部の人だけが得をするような戦争で無意味に人を殺すことはできない」」「戦争は起こしてはならないし、何の罪もない人たちの犠牲を絶対出してはいけない。また、現在に及ぼしているとして、「今なお原爆被爆者が苦しみ、アメリカの基地が日本や沖縄にも残っている」などがありました。そして多くの高校生が戦争反対という立場を支持していることがわかり、私たちも自信を持って「戦争を二度とくり返させるな」と訴えることができました。
先生や老人への取材で感じたことがあります。私たちは戦争に反対しなければならないことはわかっています。しかし、防空壕の中での様子、統制下の国民生活、輸送船で戦地に送り込まれるときの心境などを聞いていると、全員が黙り込んでしまい、次の質問を忘れてしまったりしました。先生が「昔のことやからなあ」と楽しそうに話をされても、いつものようにわらってばかりいられませんでした。私たちは体験こそしていませんが、当時のことを聞いたりすることによって戦争の恐ろしさを知り平和を守るための大きな決意を抱くことができると思います。
また、今年の原水爆禁止世界大会の討議資料の「ノーモア・ヒロシマ・ナガサキの大義は…」を使って核兵器のことを調べているときに、「原爆て怖いのやなあ」とか「アメリカやソ連は、今もこんなようけ作ってるのか。ひょっとしたら、この瞬間にも作ってるかもしれへんのやな」とみんなで話していました。また基地問題でも、「なんで日本にアメリカの基地があるんや。基地つぶしたら、日本人全員がソフトボールくらいできるんとちがうか」などといいながら作業を進めました。このような作業などを通じて、認識を深めることができたようにも思うし、また、私たち「戦争を知らない世代」にとって貴重な体験でもあったと思います。
人気を集めて“堂々一位”に
文化祭の当日、最も人気を集めたのは、私たちの手で作った防空ずきんやもんぺ、竹やりなどであり、また、展示物の説明をすると、ほとんどの人が真剣に聞き入ってくれ、ある先生は、「本来なら、このようなものは、社会問題研究部が取り上げなければならないのに」と言って、展示の審査で私たちのブロックに満点をつけてくださいました。私たちは、展示部門で堂々一位を勝ち取ることができました。また、近くの団地の奥さんが見に来て「高校生の中にもこのようなことを真剣に取り組む人がたくさんいるのね」といわれました。最近「このごろの高校生は…」という言葉をよく耳にしますが、学校祭を通じて、高校生のすばらしい一面を知ってもらえただけでも、私自身としてうれしく思います。
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