このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください


新しい時代の路面電車


 今年(2002年)に入り日本の路面電車界に新しい動きがありました。1月に鹿児島に、3月に松山に、4月には高知に国産の超低床ノンスッテプ車両が導入されました。

 我が国における超低床車は、1997年に熊本にドイツの技術を導入して新潟鐵工所(同社は民事再生法に基づく会社再建で鉄道事業は、石川島播磨重工に譲渡され新潟トランシスとなりました)で造られた9700形が最初といっていいでしょう。続いて、1999年にはやはりドイツの別のメーカー製の車両が広島に登場しました。広島電鉄の5000形「グリーンムーバー」は、最初の1編成(同車は5車体3台車で現在の日本の路面電車としては、破格の大きさです)がドイツから空輸され話題を呼びました。以後の車両は、アルナ工機(同社は鉄道車両の生産から撤退を発表したが、ユーザーからの強い要望で路面電車に限り生産を続けることとなり、現在はアルナ車両となっている)で組み立てられています。
熊本市交通局9700形広島電鉄5000形
この2つの車両は、海外の技術を導入することにより、100%低床を実現しています。そのため台車は特別なものを使い、今までの技術とは大きな格差があります。価格も高価なものとなり、単車として導入できないなどの問題があり、しばらく後に続く事業者が存在しませんでした。今月から岡山電軌に熊本と同じタイプの車両が9200形「MOMO」として登場します。
岡山電軌9200形

 単車としての低床車両は、2000年7月に岐阜に登場した名鉄美濃町線800形があげられます。同車は、日本車両で造られ、低床部は中扉付近のみで運転席に向かって車内にスロープが存在するといった、割り切った構成になっています。それでも台車はマキシムトランクションと呼ばれる、軸によって車輪の大きさが違うものが使われていますが、熊本や広島に比べればずっと普通のものです。また、低床車になるとバスも同じですが、車体の割に座席数が少なくなるのですが、一般車両並の座席が確保されています。
名鉄800形函館市交通局8101
 部分低床車としては、既存車両の更新車両として今年函館にも登場しています。函館市交通局の8100形は、名鉄とは違いスロープ構成ではなく車内に段差を設けていますが、台車は既存のものをそのまま流用しています。

 そして、今年になって国産の超低床車が、鹿児島、松山、高知と相次いで導入されました。これらの車両はすべてアルナ工機(車両)製で、今までは鉄道事業者毎にオーダーメイドで造られていましたが、メイカー提案のレディーメイドの「リトルダンサー」シリーズの車両です。但し、事業者毎の事情により、メーカーが提示した3タイプの車両が1種類ずつ導入されたので、一見全く違うものに見えます。
鹿児島市交通局1000形伊予鉄道2100形
土佐電気鐵道100形
鹿児島市交通局1000形「ユートラム」は、3車体2台車構成で、車体は前後の運転室と客室で3つとなります。松山の伊予鉄道2100形は1車体2台車の単車構成になっています。高知の土佐電鉄100形は、3車体3台車構成の連接車です。いずれの車両も、台車の上は運転席となっています。

 ではなぜ今、超低床車なのでしょうか。それを解くかぎは、バリアフリーと言う言葉にあります。乗り降りしやすい車両、人にやさしい車両として超低床車は導入されています。でも、本当に人にやさしいかといえば疑問点もあります。いずれの車両(名鉄や函館を除いて)も今までの車両に比べて座席数は少なくなっています。また、すべての車両が入れ替えられたわけではないので必ず利用できるわけでもありません。
実は、違ったアプローチで100%バリアフリーを実現した事業者も存在します。今まで紹介したところは、車両からバリアフリーにアプローチしていますが、施設からバリアフリーにアプローチしたのが都電と東急世田谷線です。どちらも、比較的裕福な事業者でありますが、ホーム(安全地帯)を嵩上げすることにより、車内のステップを完全に廃止しました。
都電荒川車庫前東急世田谷線上町駅
施設改良と同時に車両の改造もしています。でも考えてみると、都市部の鉄道は車両的には昔からこの方法でバリアフリーを実現していました。ただ、駅等が改良されると階段が増え、バリアフリーから遠ざかっていったように記憶しています。


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2002/07/10作成
2002/10/28函館市8100型画像追加
2002/12/04岡山電軌9200形画像追加
2003/05/28伊予鉄道2100形、土佐電100形画像追加

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