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ビジネスとエコノミーの境界

- オーストリア航空の場合 -

旅立ちは関西空港

 会社を辞めることになり、十数年振りに海外旅行に出かけることにした。目的地は迷わずスイスにした。理由は、語学に自信がないので添乗員付きのツアーを利用することが条件なので、それで比較的鉄道を楽しむとなると、登山鉄道(観光鉄道)が多いスイスがいいと考えたからだ。初めは9月中に行くつもりで、8月中からツアーを検索し出したが、業務の引継ぎや退職手続きの日がなかなか決まらずズルズルと日が経ってしまい、結局、10月の出発になってしまった。旅行会社へ出かけるのもかったるいので、インターネットから予約しようとしたのだが、9月中旬ともなると出発日が近いためか、申し込めるツアーが限られていた。スイスツアーはどうやら、阪急交通社と日本旅行が強いようである。申し込みをしようとしても、日本旅行のツアーはいずれも、出発がキャンセルになっている。仕方が無いので、阪急交通社の10/11東京発のツアーを申し込むがキャンセル待ちとなった。もしかすると大阪発ならどうだろうと思い、10/8発のツアーを申し込むと受け付けられるではないか。これで、関西空港発が決まるが、問題は関西空港までどうやって行くかである。
 関西空港発は、オーストラリア航空56便10時20発と決まっていた。人に聞くと、ツアーの集合時刻は出発の2時間前と決まっているらしい。すると、8時ぐらいには関西空港につく感じとしたい。飛行機の時間を調べてみると、JALもANAも8時ぐらいに羽田から着く便がある。但し、JALはスカイマークとのコードシェア便ですでに満席である。実家が、京都の京田辺市というところにあり、最寄の駅からリムジンバスも出ている。実家からでも関西空港へは2時間以上かかるので、東京から出ても朝起きる時間はそんなに変わらない。そうすると、飛行機で羽田から行くのがよさそうだが、問題は、天候と時間である。天候が悪くなりそうなときは、前日に実家に移動することにして、問題は8時に関西空港に着くのでそれで時間的に余裕があるかである。ご存知の通り、飛行機の到着時刻に飛行機から降りられるわけではない。(今調べたら、到着時刻とは車輪が停止する瞬間を指すそうだ。)また、荷物を預けた場合出てくるのを待たなければならない。旅行会社に相談してみると、到着時刻に問題は無いという。関西空港の場合、国内線の到着と、国際線の出発はフロア−が違うだけで、水平移動は無いということだ。つい、羽田や成田が頭にあったので、国内線と国際線の乗り継ぎというと空港内で延々と移動しなければならないことを想像していたが、言われてみれば、関西空港にそんな移動は存在しないことを思い出した。後は、荷物は関西空港へ先に宅急便で送ってしまえばいいことに気がついたので、これで台風がこないことを祈って、出発日を待つだけである。

OS56便

いざ、ウィーンへ

 10/8の朝4時に起きて、都営地下鉄の始発に乗り、一之江でリムジンバスに乗り換えて羽田へと向かう。天気は今にも雨が降出しそうだが、なんとか、傘はいらない。ANAを利用するので、第2旅客ターミナルでバスを降りる。このところ、マイレージを貯めたいのでJALばかり使っていたので、第2旅客ターミナルははじめてである。羽田で朝出発のときは、空港で万世のカツサンド、正確にはハンバーグサンドの方を食べることにしている。このハンバーグサンドであるが、ハンバーグといいながら衣をつけて揚げてあるので、メンチカツのようなものである。朝早い時間に買うと、まだ、ほんのりあったかかったりして結構いける。但し値段も...。そんな事をしているうちに、搭乗開始となり、飛行機は無事に関空へ向け出発した。しかし、天候が悪いためか揺れる揺れる。気流の良いところを求めてか、いつもより高いところまで上昇したように感じた。関西空港には予定通り到着、団体受付にはエスカレータを上がって難なく着けたと言いたいところだが、トイレや送った荷物の受け取り場所を探して、国際線出発ロビーをうろうろしてしまった。それにしても人が多い。関空は、失礼だが、そんなに流行っていないと思っていたので変だなと考えたら、3連休の初日なので、海外旅行出発には最適の日だったようだ。会社を辞めてしまい、年休とは無縁になったのでそんなことにも気づかなかった。
 今回の旅行では、スイスへはジュネーブに入りチューリッヒから出るが、オーストリア航空を使うのでウィーン経由である。関空からウィーンまでは12時間15分もかかる、とても長い。でも、出国検査を受けるまでも、大変混雑していて日本から出国するのも一苦労である。搭乗口の待合室に着くと雨が降っていた。搭乗時間となり、飛行機に向かおうとするとANAのマイレージ登録機が見えた。そういえば、乗る便はANAとのコードシェア便である。だめ元で地上スタッフに聞いてみると、機械を操作してマイレージを登録してくれた。後でわかったことだが、その操作ですべての区間のマイレージ登録がされていた。指定された座席は、37F。機体は、事前にA340と調べていた、2-4-2配列なので通路側かと思った。ところが、機内に入ってみると、通路側はGである。ポートサイドより、AC-DEFG-HJとなっているのだ。両側に人がいるのはつらいなと思いながら37列目を探していると、36列目から真中が3席になっていたので結局通路側の席であった。添乗員さんからは、空いていれば替わっても良いですよといわれていたので、空席があるのかと思っていたが、出発時には満席になっていた。隣の席には、おへそを出した2人連れの女性が遅れてやってきた。この2人、同じバッチを着けているので同じツアーの人のようである。飛行機は、10時20分の定刻よりやや遅れて、雨雲をついて離陸した。やはり、良く揺れてベルトサインもなかなか消えない。横の席の女性が不安なの、話し掛けてきた。連れの女性は、毛布をたくさんかぶりもう寝ていた。それにしても、ちょっと不思議な2人連れである。初めは、友達同志かと思ったが良く見ると年齢が離れてるように見える。会社の先輩後輩かとも思ったが、隣の女性(年上)が連れの女性の面倒をよく見ている。旅行中、徐々にわかったことだが2人は親娘であった。しかも、母親は、私の姉貴よりも年上であることが最終日にわかった。いやー、それなのにへそだしルックとはお若い。(ごめんなさい、Fさん。スイスでは楽しかったですよ。)ここで話し掛けてもらえたおかげで、12時間を越すフライトも少し退屈しのぎができた。機内食の昼食が出て映画が3本上映されて軽食が出たら、飛行機は、現地時間15時35分やっとウィーンへと到着した。

DHC8-Q400

窓の外にはプロペラが回る

 ウィーンからジュネーブへ向かう、OS575便の出発予定は17時40分なので、2時間ぐらい乗り継ぎ時間がある。ウィーン空港(シュべヒャート国際空港)は、東西2つのピアがあるが大空港というわけではない。シェンゲン条約非加盟国からの便は通常、東ピアにあるAゲートに発着する。2Fがボーディングブリッジのあるゲート、1Fがバスで行くゲートになる。ボーディングブリッジの数は、8つで長距離便が利用する。シェンゲン条約とは加盟国間での通行の自由化に関する条約で、加盟国はほぼEUと同じと考えていい。日本は、当然加盟していないのでAゲートへの到着となる。スイスもまだ加盟していないので、Aゲートからの出発となる。ボーディングブリッジを通って建物内へ入ると、人が大勢いて免税店などがあった。人の動線が、出発と到着で分けられていないようである。少々時間はあるが、次の飛行機に乗る1FにあるA12というゲートに移動すると添乗員さんが言った。ただ、2Fから1Fへ降りるだけかと思えば、途中にセキュリィティチェックがあった。日本とは違い、ゲート毎にセキュリィティチェックがあるようである。1Fに降りてみると2Fとは大違い、人は誰も居らず、小さな売店のような免税店も閉まっていた。お茶もできないようなところ(ジュースの自動販売機はあるが)で1時間以上過ごすのはつらいので、ここで自由行動ということになり、もう1度セキュリィティゲートを通らなければならないが2Fへも戻っていいことになった。初めは、戻るのも邪魔くさいし、初めての空港に興味があったので、1Fをうろうろし写真を撮ったりしていたが、さすがに間が持たなくなり、上へあがりお茶をすることにした。ラテを注文しメニュー通りの金額を渡すと、不足していると店員が言っているようだ。理由を問いただすほど英語力はないので(そもそも、店員が英語を話せるかもあやしいが)言われた通りの金額を払ったが、良く考えてみると、消費税のようなものがかかるのではないだろうかと思うのだが、内税のような気もするし...。
 お茶も飲み終わり、再びA12ゲートのところへ戻り搭乗時間がくるのを待った。初め来たときはわがツアー31人しかいなかったが、三々五々、外国人(ここではわれわれが外国人か)の人も現れて来た。やがて、搭乗開始アナウンスが流れたので、せっかちな日本人一行が列を作るかと思いきや、外人さんたちは並ぶのに、ツアーの一行は誰も立ち上がろうとしない。不信に思っていると、添乗員さんが声をかけると一斉に動き出した。どうやら、アナウンスの内容を理解していなかったようである。私はというと、バス連絡となり、機体が小さいことを知っているので、バスは1台ぐらいだろうと予測し早くバスに乗っても待たされるだけなので、最後の方に乗ればいいとゆっくりとしていた。列が短くなってから並んで、搭乗ゲートを通ろうとするとチャイムが鳴り、搭乗券がエラーになるではないか。しかし、グランドホステスは慌てもせず、搭乗券を確認すると、お前の席はこれだと事前に用意されていた半券を渡した。エラーになった搭乗券は、事前に関空で旅行会社がチェックインしてくれたもので、席は6Fであった。渡された券の席は、8Fであった。納得のいかないままバスに乗り込み、シップへと向かった。バスはすぐに、機体の側についた。待っていたのは、DHC-8-400、最新のプロペラ機である。事前に調べていたので、驚きはなかった。初めて乗る機体なのでちょっと嬉しかった。少し写真を撮ってから、機体へ乗りこむ。座席は、2-2の4列、ポートサイドからAC-DFである。指定された8Fは窓側の席で、窓の外にはちょうどプロペラがあった。この便は、オーストリア航空の便であるが実際に運行しているのは関連会社のチロリアン航空(オーストリアン・アローズと言っているようだ)である。日本における、ANAとANKのような関係みたいだ。やがてプロペラが回り出して、飛行機は滑走路へと走り出した。ちょうど混み合う時間のようで、滑走路の端で順番待ちとなった。滑走を始めた機体は、すぐに浮き上がり、上昇をはじめた。

座席ポケットのメニューとパーティション

 DHC-8-400の別名は、Q400と言う。Q400のQは、QuietのQ、すなわち今までのプロペラ機に比べ静かなという意味である。しかしながら、プロペラの横に座っているためか、騒音はともかく細かな振動を感じた。座席の背のポケットの中を確認すると、Q400の非常時の案内と、関空からウィーンまで乗った機と同じ機内誌と免税品販売のカタログ、それともう1つメニューのようなものが入っている。メニューには、飲み物と軽食が載っておりその横には金額らしきものが書いてある。そう言えば、添乗員さんからのウィーンでの乗り継ぎ時の注意の中で、ウィーンからジュネーブへの飛行機の中ではコーヒーと水ぐらいしか出ないという話があったので、飲み食いしたい人には機内販売があるよということのようだ。
 ベルトサインが消え、CAがサービスを始めた。まず、おしぼりをくばりだした。これは嬉しいなと思ったら、私がはじめ座るはずだった6列目で終わった。変だなと思っていると、次は飲み物である。コーヒーと水と聞いていたのに、明らかにワインのビンなどもある。しかも、ちゃんとしたグラスに注いでいる。機内販売かとも考えたが、明らかにサービスである。これも6列目で終わった。そして、6列目までの客にはミールも配られた。それが終わると、7列目以降の客に対して、事前の話の通り、コーヒー、紅茶とミネラルウォーターがサービスされた。よく機内を見てみると、6列目のシートの頭もたれの上に透明なパーティションが存在する。そのパーティションには、取り扱い注意が書かれており自由に動かせるようである。そこでやっと待遇の違いの原因がわかった、運賃の違いであろう。席を変えられたのも、関空を出発してからウィーンに着くまでに、高い運賃を払う人間が増えたので後ろの席に移動されたのに違いない。そう考えると、すべてつじつまが合う。
同じシートに座らされているので、その時は正規運賃と割り引き運賃の差かなと考えていた。ところが、日本へ帰る機内で手に入れたオーストリア航空の時刻表をの機体説明のページには”Business/Economy Class variable/flexible””Partition between Business and Economy Class according to demand.”という記述があった。サービスの良かった客は、ビジネスクラスの客だったのだ。ビジネスもエコノミーもシートは同じで、違うのはサービス内容のみなのだ。Q400だけではなく、ヨーロッパ域内を飛ぶ小型旅客機はほとんどが同じ運用となっているみたいだ。

徹夜のち規則正しい生活

 そんなことを考えながら、少し空腹感を感じながら、2時間弱の飛行で飛行機はジュネーブに19時30分に到着した。飛行機は空港内を走り、丸い建物の側についた。ここではバスを利用することなく、入国審査場まで進むことができたのだが、歩く距離が長い。入国審査はあっさりとしたものだった。パスポートの顔写真を見せるとお終い、入国のスタンプの押してくれない。税関の検査はもっと簡単、荷物を受け取り出迎えの人についていくと、税関を通らずに外に出てしまった。空港からはバスに乗りホテルへと向かい、ホテルに着いたのは20時半ごろだったと思う。翌朝、ジュネーブ観光をする時間が無いので、遅い時間ではあるが、希望者は有名な噴水まで案内するという。少し眠かったが、バスの車内から見えたトロリーバスやスイス国鉄の駅に興味があったので、つい出かけてしまい、ホテルに戻ったのは22時をまわっていた。日本時間にすると朝5時になる。気がつけば徹夜をしていたことになる。でも、翌日からは毎朝6時に起きると言う規則正しい生活をするとは思いもしなかった。おまけに、日本からおやつを持って行かなかったので、3食規則正しく食べ、間食もあまりしないという健康的な生活を送ることになった。食事付きのパッケージツアーは、意外と体にはいいみたいである。
 スイス滞在中は良い天気が続き、モンブラン、マッターホルン、ユングフラウのいずれの山にも雲がかからないという奇跡的体験をした後、チューリッヒから再びウィーンを経由して関西空港へと帰ってきた。
チューリッヒからウィーンへF100


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2005/11/1作成
2008/03/22移転に伴う修正

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