このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください


電車も旅する

- 横浜から高松へ -

高松への旅

 3月7日の夜、横浜から「サンライズ瀬戸」に乗り、2泊3日の旅へと出発しました。今回の目的は、琴電が新車(京急のお古ですが)を導入するにともない、旧型車の一部を廃車することになり、その車両をイベントとして日中に運転するのでそれを見ることです。琴電では、昨年の12月にも同様のイベントを行い、人が集まったのでまた行うようです。
 「サンライズ瀬戸」は、順調に走り7時半前には高松へと到着しました。イベント対象の電車の時間は、HPに載っていたのでわかっています。朝からがつがつと動き回るのは性に合わないので、瓦町のロッカーに不要な荷物を預け、まずは車庫のある仏生山へと向かいました。電車が仏生山へ近づくと、車庫の留置線に見なれない色の電車が止まっています。もう新車が入ったのかと思ったのですが、扉が3ヶ所しかないように見えます。新車は、京急の700系ですので扉は4ヶ所になるはずです。でも、隣の車両は4扉です。最初に見えたのは、前からいる元京急旧1000系の1080形の色を、新しいラインカラーに塗り替えたようです。ホームに降り立つと車庫の端に、黄色一色に塗られた電車が、トレーラーに積まれた状態で置かれています。どうやら、今回導入予定の車両が運ばれてきたところのようです。今日は土曜日なのでどうせ、線路に載せる作業はやらないだろうと思い、ちょうどやってきた今回廃車予定の元阪神ジェットカーの1051に乗り一宮まで一駅移動しました。そして仏生山へと戻ってくると、大型クレーンがいて新車の入線作業をしていました。

元阪神ジェットカー、なぜか阪神特急のサボ風のさよならヘッドマーク付1200形入線作業1


電車はどこから入れるの

 昔、漫才に地下鉄はどこから入れるのかというネタがあったのを覚えているでしょうか。地下鉄ではなくても新車をどのようにして持ってくるのか、考えたことはありますか。工場から線路上を運ぶのではと思う方もいるでしょう。半分は正解です。鉄道車両メーカーの工場はほとんどの場合、JRの線路とつながっています。JRと線路のつながっている会社の場合は、そのまま貨物として運べばすみます。極端な例としては、近畿車輌からJR西日本に電車が納品される場合は、工場が片町線の徳庵にあるので、工場から出た車両はそのまま試運転を行って納品されます。では、JRと線路がつながっていなかったり、新幹線のようにそのままJR線(在来線)を運転できない場合はどうするのでしょうか。この場合、方法は2つあります。一つは、仮の台車をはかせJR線上を運ぶ方法で、日本車輌からJR東海へ新幹線を納品する場合などに行われています。もう一つの方法は、ゴムタイヤの台車を履き道路上をトレーラーで牽引して運びます。琴電の場合は、線路の幅がJRとは異なるので(車両の近代化が遅れた一因と思われます)、後者の方法で運んだようです。この場合、関東から四国は遠いので初めから終わりまで道路上を運ぶのではなく(特別の大型の貨物となるので警察の許可が必要で、高速道路も走れません)、多分フェリーを使ったと考えられます。(トレーラーのナンバーが横浜だったので。)船で高松まで運んだようです。(琴電のHPにその様子がありました。)
 こうして運ばれてきた電車は、線路上を走れるように、台車をはかせ整備する必要があります。今まで話には聞いていたのですが、実際に作業を見るチャンスが訪れました。工場の脇の道路へ回ってみると、よく見える場所で作業をしていました。すでに、琴平側の台車は履かされ、高松側の台車を履かせようと作業をしていました。

取り付け準備台車入れ


手順としては、トレーラーで線路上のよい位置に電車を移動し、クレーンで吊り上げ、輸送用の台車を抜きます。次に、台車をはめる心皿を取り付け、あらかじめ線路上に乗せてあった台車を所定の位置まで人力で移動させます。クレーンで吊り上げていた車体を仮受けの台上まで降ろし、台車と車体の間の配線等をつなぎます。すべてつなぎ終えると、クレーンで支えた状態で仮受けの台をはずし、慎重に車体に台車をはめます。位置が合わないときは、線路に対して左右方向に対してはクレーンで車体を動かし、前後方向には人力で台車を動かします。こんな作業を、琴平側、高松側の順番に行っていました。これで一両分が終了ですが、今回は二両作業を行う必要があります。新車の隣では、デカ1がパンタグラフを上げて待機しています。もしかすると、デカ1を使い入れ替えを行うのではと期待が高まります。デカ1はいつも車庫の隅にいて、動いたのなど見たことはありません。車両の入線作業を見れただけでもラッキーなのに、...。

パンタを上げたデカ1移動完了


両側の台車が履かされ、いよいよデカ1が近づき連結されるのかと思ったとき、1205が動き始めました。人力で押して、デカ1に連結するようです。本などでもっとも原始的な入れ換え方法として人力があることは知っていて、松山のぼっちゃん列車では見たことがありますが、大型の電車を人力で動かしているのを見ると少し感動的です。デカ1は動かないのかとあきらめかけたとき、連結された車両をひっぱて20メートルぐらい移動しました。
さよなら運転を見に行ったのに、新車の搬入風景やデカ1の動くところまで見られて、なんか得した気分の一日でした。考えてみれば、今回の旅は久しぶりに傘のいらないたびでした。


2003/03/13作成
2003/03/15修正
2008/03/22移転に伴う修正

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