このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください


ひ と り ご と


   41年ぶりの北岳−1  19/9/16の記録

【中白峰沢の頭付近から望む北岳の雄姿】

 台風の動きが少々気になるが、空の青さと、メンバーのファイトに叱咤激励されて出発を決意する。小屋の少し上流の渡渉地点まで両股小屋の女将さんが親切にも案内してくれた。心配そうに見送ってくれる表情が印象的だった。何度となく繰り返す冷たい渡渉に泣かされながらも、何とか左股大滝に到着した。

 ここからいよいよ急登が始まる。ところどころ土砂崩れに苦労させられたが、高度を上げるに従い山肌が落ち着いてきた。樹相が亜高山帯のそれに変わる頃、振り向くと仙塩尾根が目線より下になっていた。樹林帯の急登をさらに頑張れば北岳から中白根岳への稜線が目に飛び込んできた。わだかまる雲は次々と変化して流れている。ガレ場を登る最後の急登では、あたりがハイ松に変わっていた。

 稜線に飛び出すと気持ちよい風が汗を乾かしてくれる。一瞬、ガスの間に肩の小屋の屋根が垣間見えた。頂上にむかって一筋の登山道が続いている。頂上付近の登山者が点になって見える。雄大な北岳の雄姿に励まされ、稜線の岩道をフーフー言いながら辿ると肩の小屋からの縦走路に合流する。ここからは登山者が一気に増えた。

 やがて頑張ったご褒美として北岳の頂上に到着した。北岳以南の南アの山々は頂上がことごとく雲に隠れ指呼できないが、不思議と天気もよく風は心地よい。41年ぶりの北岳は優しく微笑んでくれたようだ。この歳月をどう表現すれば良いのだろうか。大休止を取って昼食と熱いコーヒーを味わった。

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