Takamura planning

このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

HKS CLK (2002年)

HKS CLK


<大阪オートメッセ (2003.2.8)>

 またまた珍しい車が来ていました。『HKS CLK』です。国内の最高峰ツーリングカーレース、JGTCにGT500として2002〜2003年に参戦しました。ホンダ、日産、トヨタが主要メーカとして参戦し、少数派としてマクラーレンF1やディアブロなどが参戦する中であらたにドイツDTM選手権で活躍する「Mercedes−Benz CLK」を選択したHKSはかなりの注目を集めました。しかし開幕戦までにマシン製作が間に合わず、第2戦からの参戦になりましたが、トラブルに次ぐトラブルでまともに走ることも叶わず最終戦でなんとか完走することが出来ました。以下は北川五一監督のぼやき?です。
 「メルセデスとは(協力を取り付けるという)話をしてみましたが、DTMとJGTCのレギュレーションの違いもあり、またAMGの方針としては自分のところでクルマを作ってレースマネージメントも行うという基本ポリシーがあって、われわれがレースマネージメントだけをやるというのはできない状況だったんです」
 つまり「CLKで参戦するのはそっちの勝手だけどマシンの提供やノウハウは教えないよ」という訳です。あぁ、可哀想。それでも参戦したHKSを筆者は評価したいと思います。
 余談ですがスポンサーのタミヤから「HKS CLK」のラジコンボディが出ていたんですがこれもメルセデスからの横槍が入り、販売中止になってしまいました。それでいいのかメルセデス!
 もう一つ、余談ですがこの「HKS CLK」のカラーリング、黒の部分はカーボン剥き出しで他の色の部分はステッカーで再現されていました。貼るの大変だったろうなぁ・・・。


HKS CLK

<フロントグリル>

 メルセデスといえばやはりこのフロントグリルですよね。レースカーでもこのフロントグリルは付いていますが付いているだけで実は全部塞いであります。本当に付いているだけなんですね。もちろん市販車は穴が開いています。でもレースカーは少しでも軽量化や空気抵抗などを考えるもんですが、メルセデスの場合は企業イメージを大事にしてこのフロントグリルを付けますよね。この企業ポリシーが筆者は結構好きです。


HKS CLK

<カナード翼>

 フロントのダウンフォースを得るための『翼』ですね。前文でも書きましたがこの「HKS CLK」、エアロに関してはHKSが独自の解釈を持って"経験"で作成しているそうです。ということはこのカナードもそうなんでしょう。しかし、"経験"で作った割には見事な三次元形状をしています。作り方も美しいですね!


HKS CLK

<マフラー>

 この「HKS CLK」は排気量5973cc、V8の自然吸気エンジンを積んでいます。エンジンは縦置きですので右4気筒、左4気筒がそれぞれ左右フロントタイヤ後ろのマフラーとして出てくるわけです。でもフロントボンネットのエンジンの熱処理にはだいぶ苦労していたみたいですね。
 またフロントタイヤ後ろはごっそり抜かれています。これはタイヤが作る空気の乱流を逃がすためのものです・・・たぶん。


HKS CLK

<リアサイド>

 この車最大の特徴はやはりこのリアフェンダーでしょう。前文でも話しましたが"経験"から作られたエアロダイナミクスはこのような形状を生みました。もうエアロダイナミクスというよりデザインに近いですよね(苦笑)。よく写真を見てもらえばわかりますがタイヤフェンダー前で当たった空気はそのままタイヤ上を通ってリアに流れるようになっています。その部分が張り出しているんですね。
 しかし、見事な美しさですよ。さすがHKSです。


HKS CLK

<リアウィング>

 これも見事な三次元形状をしています。とても"経験"から作られたとは思えません。また大きなガーニーフラップ(翼に翼弦長に対して垂直に立つ壁みたいなパーツ、"もうすこし"ダウンフォースを得たいという時に使われる)が付いています。
 リアウィングの角度調整はステー(支柱)を見ていただければわかります。ステーに3つの角度を調整する穴が3列並んでいます。ということは後側のウィングを固定する穴を支点にして前の穴でウィングの角度を調整するといった方式を採用しているようです。これから考えうるにリアウィングは規定の高さギリギリに設置してあるのでしょう。だから前で調整する形をとっているんでしょうね。また穴がウィングの角度以外にも前後にも穴があるということは翼弦長の長さの異なるウィングが3種類あるのかもしれません。


HKS CLK

<ディフューザー>

 マシンに対して一番重要なエアロパーツになるディフューザーです。マシン下部に入った空気をいかに流速を早めて後から引き抜くか?その効率を高めればダウンフォースも格段に変わってくるわけです。この「CLK GTR」の場合はリアタイヤからの空気の乱流を嫌って仕切り板を立てています。その内側にも仕切り板を設けていますね。これでマシン下を抜けてくる空気の誘導をしているのでしょう。F1では仕切り板が6枚になったりもします。マシンによっても変わりますがあまり見られたくないパーツのようです。
 しかし、こんなところにビバンダム君を貼っても見えないのでは(苦笑)


レーシングカー写真館一覧へ

このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください