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SUPER AGRI F1 SA05(2006年)
『SA05』最大の特徴はやはりこの"ツインキール(2本の牙)"でしょう。
当時のデザイナー、セルジオ・リンランドは前から流れてきた空気を少しでも多くマシンの下に取り込みたいので空気の流れの邪魔しないようにノーズを上に持ち上げたいが、ノーズを上に持ち上げるとロアアーム(下のサスペンションアーム)をノーズに付けられないのでノーズ下にロアアームを取り付けられる部分をつくるといった苦肉の策から生まれたデザインなのでしょう。前から見るとノーズ下に2本の牙があるように見える事から"ツインキール"と命名されたんでしょうね。しかし、この手法だとロアアームの長さが短くなってしまい、セッティングが難しかったみたいですね。
05年にブームになったサイドポンツーンの横につくフィンは『SA05』ももちろん装着しています。この形状で安定したのは第4戦サンマリノGPからですね。
しかし、この手の空力パーツは装着するとどうしてもドラッグ(空気抵抗)が大きくなるので本当はないほうがいいんです。実際、トップチームは装着していませんし。このフィンを付けている段階でマシンの持つ空力に疑問符をつけてもいいかもしれませんね。
近年のF1は空力を重要視する為にサイドポンツーン後ろがかなり複雑になりました。"少しでも細く!少しでも低く!"の言葉をモットーにデザイナーが取り組んでいるのでここの部分をみればそのマシンの特色がわかって楽しいですね。
『SA05』は元々の設計が4年前と古いために後部の空力を追求するのには限界があります。それでも開発陣の懸命の努力によって様になっていますね。スリットが多く入っていますが、これは細く絞り込まれたサイドポンツーン内にエンジンの熱がこもってしまう為に熱を逃がす意味があります。煙突みたいなチムニーダクトも同様の意味があります。本来、空力を考えるとマシンの外にエンジンの熱を逃がすという意味でチムニーダクトは有効ですがスリットはなるべく入れない方がいいんです。『SA05』は常にスリットを入れていたところを見ると熱対策にも苦心していたみたいですね。
そしてディフューザーです。なかなかF1のこの部分は見えにくいんですが、こうしてマシンを持ち上げてくれてると解りやすくていいです(笑)。
形状は非常にオーソドックスな形をしています。いろいろと突き詰めて『SA05』の特色を出すには開発する時間はなかったんでしょうね。そこらへんが新参チームの辛さを物語ります。
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