このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |
SUPER AGRI F1 SA06(2006年)
近年レギュレーションが変わりフロントウィングが路面からかなり高くなりました。フロントウィングは路面に近ければ近いほどダウンフォース(路面に押し付ける力)が大きいですから、路面から離れたことによってダウンフォースがかなり失われてしまいました。それを少しでも補う為にこのような複雑な3D形状になっています。特にフロント翼端板とアッパーエレメント(2段ウィングの上部分)との一体造形は非常に複雑であり、かつ美しいですね。またよく見るとフロントウィング下に仕切り板があるのが解るでしょうか(写真3枚目参照)?これはウィング下のを通ってくる空気を整流する役目があります。
余談ですがフロントウィングは何百キロというダウンフォースを受ける為、このフロントウィングに人が乗っても割れません・・・ってテレビで言っていました。ホンマかいな?
"チムニーダクト"とは何か?それはサイドポンツーンの上にある煙突の事をいいます。これは空力を追求するあまり、マシンのサイドポンツーンからテールに向けてかなり絞られた(細くなった)為、エンジンの熱を排出するところがなくなってしまったのです。そこでサイドポンツーンの上に煙突をつけてそこからエンジン熱を排出させてしまおう!ということでマクラーレンが最初に始めました。今ではほとんどのチームが使用しています。
そのチムニーダクトの後ろには小型のウィングがあります。これは少しでもダウンフォースを稼ごうという苦肉の策で、これもほとんどのチームがつけていますがこの『SA06』、よくよく見るとチムニーダクト内を小型ウィングが貫通しています(写真2枚目参照)。いかに急いで作られたかがわかる写真ですね。
近年のF1は空力を重要視する為に、サスペンションのウィッシュボーンの形状にまでメスが入りました。以前はただ平べったい形状だったのに対し、今のサスペンションは翼断面形状をしています。そして少しでも空気の流れをよくする為にステアリングロッドをサスペンションの中に入れてしまっています。1本ぶっといロッドがあると思いますがそれがそうですね(写真1枚目参照)。また『SA06』になってもロアアームはツインキール方式をとっています。
ちなみにフロントノーズの横についている黒い翼断面形状した部品はカメラのダミーです(写真2枚目参照)。通常のカメラと同じ重さにしてあります。これを装着することによってカメラ装着車との重量面でのハンデをなくしているんですね。
そしてこれがフロントブレーキです。F1のブレーキは強力で300kmで走ってくる車体を止める訳ですからブレーキのローター自体大変な熱をもちます。よくコーナーの侵入時にホイールの中が真っ赤に見えるのはローターのカーボン(炭素)が赤く燃えている為に見えるものです。その状態が続くとブレーキの利きが悪くなり、思い切って走れなくなります。そこで考えられたのがこの形状なんですね。今まではブレーキダクトを作って風をローターに当てて冷やしていたんですが、その考えはそのままにローターの熱をもつ面積を多くとってやることによってローターの冷却効率を上げています。もともとフェラーリが始めたデザインです。今では全てのチームがこの形状を使用しています。
HONDAのV8エンジン、RA806Eです。排気量は2400cc、90度のバンク角で700馬力以上を発生します。1気筒4バルブですから8気筒だと32バルブ!それでこの大きさに収まっているのがビックリします。
ラジエータ等はオーソドックスな形状をとっていますね。トップチームはサイドポンツーンの低重心化と小型化を狙い、ラジエータを2つ折り!にしたりしています。「そこまでせんでも」というぐらい涙ぐましい努力をトップチームはおこなっています。故にトップなんでしょうね。
リアウィング翼端板には3本のスリットが入っています。前から思いますがこのスリットって何の意味があるんだろう・・・。
このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |