Takamura planning

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MITSUBISHI LANCER WRC05(2005年)

MITSUBISHI LANCER WRC05


<大阪モーターショウ(2005.11.25)>

 世界ラリー選手権(WRC)でWRカー全盛になっていく中、2001年までGr.Aにこだわり続けた三菱がなりふり構わずに"勝つ為に"開発した車が「MITSUBISHI LANCER WRC04」です。
 市販車のLANCERシリーズにないデザイン、全幅を広げる為の異様とも思えるタイヤフェンダー、今までにないリアウィングの取り付け位置。発表された時、筆者を含めて驚いた人は多かったと思います。しかし、その斬新なデザインがゆえ他メーカからの指摘もあり、WRC規定に沿って再度デザインされたのがこの「MITSUBISHI LANCER WRC05」です。
 デザインが変わっても開発の手は緩めることなく、全幅を規定いっぱいの1,800mm(WRC04では1,770mm)まで広げ、サスペンションのアップライトにも改良を加え、ジオメトリーの最適化を目指しました。またターマック(舗装路)用ダンパーの投入など、徹底的に足回りの改良を行いました。もちろんエンジンも含めた他の部分の改良も進み、開幕戦のモンテカルロではG・パニッティが総合3位、最終戦のオーストラリアではH・ロバンペラが総合2位に入りるなど、結果2005年のマニファクチャラーズでは5位に入り、三菱の復調を裏付けました。
 という話なんですがファンとしては複雑ですよね・・・。だって今までWRカーといってもLANCERのデザインは残していた訳ですからLANCERに乗るとWRCの雰囲気を味わえたわけですけど、「MITSUBISHI LANCER WRC04」からはまったく違うデザインになってしまいましたからね・・・。何か三菱のポリシーがなくなってしまったみたいで。このまま販売してくれればいいんですけどね(笑)


MITSUBISHI LANCER WRC05

<サイド>

 サイドから見るとまず驚かされるのはリアウィングの取り付け位置。これはスバルのインプレッサがリアギリギリまでウィングを後ろにずらしているのに対し、三菱のLANCERはギリギリまで前に出しています。それだけインプレッサとLANCERではダウンフォースを得たい場所が違うということなのでしょう。非常に興味がある部分です。
 また、もう一つはフロントのタイヤハウスの大きさ。リアのタイヤハウスと比べるとその大きさは一目瞭然ですね。リアはサスペンションが上下にストロークするだけなので、その大きさで十分なのでしょうが、フロントは上下に動くのはもちろんですがハンドルを切ったときにタイヤがタイヤハウスやフェンダーに当たらないようにしないといけません。だからこの大きさになっているんでしょうね。


MITSUBISHI LANCER WRC05

<フロントサイド・フェンダー>

 ちょっと分かりにくいですが非常に複雑な形状をしていますね。全幅いっぱいいっぱいを使ってフェンダーが形成されています。フロントバンパーを流れてきた空気の流れをフロントタイヤ前でサイドに排出してしまおうという意図が見えます。


MITSUBISHI LANCER WRC05

<リアサイド・フェンダー>

 写真の右側のテールランプがベースとなっているランサーセディアのテールランプの部分ですからそこから外側がフェンダーの部分になります。いかに過激なオーバーフェンダーがついているかわかりますね!


MITSUBISHI LANCER WRC05

<ボンネット>

 ボンネットです。ボンネット上にある板、これってなんでしょうね。通常、フロントバンパーから入った空気はボンネット上にあるエアアウトレット(ボンネットに空いている穴)から吐き出される訳ですが、そのボンネット上を流れてくる空気とエアアウトレットから吐き出される空気とを区別しているんでしょうね。たぶん。空気の熱にも関係があるのかもしれません。


MITSUBISHI LANCER WRC05

<ルーフ・エア吸気口>

 ラリーカーは馬力を下げない為と軽量化の為にエアコンを装備していません。その為、室内が暑くなるので暑さ対策としてルーフから空気を室内にいれて冷却します。以前はルーフに穴が空いており、使わないときは蓋をしているだけだったんですが最近ではここまで効率を追求しているんですね。ちなみに2つの円柱がエア吸気口を支えていますが1つはドライバー席へ、もう1つはナビゲーター席の頭上に繋がっています(写真下)。
 そのエア吸気口の隣にあるボックスはGPS用のボックスです。これで自分の車の位置を知るんですね。

MITSUBISHI LANCER WRC05


MITSUBISHI LANCER WRC05

<リアウィング>

 さて、これが問題のリアウィングです。よくよく見ると2段になっているのが分かりますね。上段は単純に綺麗な空気からダウンフォースを得る為のもの、下段はルーフに沿って流れてきた空気からダウンフォースを得るためのものなのでしょう。でも確か2段ウィングは禁止されているはずなので下段のウィングは"ウィング"と定義していないんでしょうね。
 さて、このトランクの開け方ですがこのウィングのせいで市販車と同じように開けることができません。そこでこの「MITSUBISHI LANCER WRC05」では一度、トランクの蓋を上に持ち上げてから普通に開くようになっています。うーん、それはめんどくさい(苦笑)。しかし、もう少しウィングのデザインを何とかできなかったのだろうか・・・。

MITSUBISHI LANCER WRC05



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