このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

         国登録有形文化財(建造物)
楠戸家住宅・倉敷館・中国銀行倉敷本町支店

■岡山県内初の国登録有形文化財「楠戸家住宅主屋」
<文化財登録制度>
 私達の先人によって伝えられてきた重要な文化財は、これまで国・県・市の指定文化財として重要なものが指定され、その保存と活用が図られてきています。しかし、これらの指定対象は主として、江戸時代以前のものが多く、明治以降のものは全国的にもわずかな事例に限られています。一方、「近代」の建築物は開発の進展や生活様式の変化などにより、社会評価を受ける間もなく消滅の危機に晒されている状況にあります。こうしたことから、国においては、「近代」の建造物の保護をねらいとして「文化財登録制度」を平成8年10月より新たに導入しました。なお、第1回目の登録件数は、全国で119件でしたが、県内では唯一、倉敷市東町の{楠戸家住宅}が12月20日付で登録されました。
<楠戸家住宅>
 楠戸家住宅は、倉敷川畔重要伝統的建造物群保存地区から東へ少し離れた東町の美観地区内にあり、羽島屋の屋号を持つ明治2年創業の呉服店です。現在の店構えは明治時代中期に整えられたとされていますが、漆喰を塗り込めた「虫籠窓」のある主屋や「なまこ壁」をもつ蔵など、風格を漂わせる建物や庭などが状態よく保存されており、明治時代中期の代表的な町屋の屋敷構えを残しています。また、この「楠戸家住宅」は、倉敷の町屋で最も古い形式をもつと言われる「井上家住宅」や江戸時代中期以降の新興勢力の力を示す「旧大原家住宅」・「大橋家住宅」(ともに国重要文化財)とともに、倉敷の町屋の変遷を現代に伝える貴重な建造物ということができます。
(文は楠戸家住宅掲載の「倉敷市文化財だより(第13号)」より引用)

【▲楠戸家住宅・倉敷館・中銀倉敷本町支店周辺図】

「楠戸(くすど)家住宅」
倉敷市東町/中銀倉敷本町支店から東へ400m  「倉敷館」倉敷市中央/JR倉敷駅15分の美観地区
「中銀倉敷本町支店」倉敷市本町/美観地区、有隣荘の裏

▼中国銀行倉敷本町支店

▼楠戸家住宅

▼倉敷館

■倉敷館の由来
 この地は、江戸時代の庄屋植田氏の屋敷地であり、天保12年(1841)ここに村会所が設置された。明治以降は、そのまま村役場となり、現在の木造洋風建築は倉敷町役場として大正5年(1916)着工、翌6年に竣工され、昭和3年(1928)の市制施行以来市役所として昭和7年まで使用された。昭和45年にこの建物を改修し翌46年倉敷館として一般に公開した。昭和54年この地区は国より重要伝統的建造物群保存地区に選定され、平成10年(1998)当倉敷館は、国登録有形文化財として登録された。

■中国銀行は、明治24年(1891)に大原考四朗(倉敷紡績初代社長)ら倉紡関係者が設立した倉敷銀行(のち第一合同銀行)を前身にもつ。現在の建物は、大正11年(1922)に薬師寺主計の設計により建築されたもので、今も同銀行倉敷支店倉敷本町出張所として利用されている。正面6本・側面3本の付柱を配したルネサンス風で、ドーム型のステンドグラス窓を配している。平成10年12月11日、国登録有形文化財に登録。右側後方の黄緑色の瓦で葺かれた建物は有隣荘。

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柳越しに見た倉敷館

倉敷館内部
 現在は観光案内所と無料休憩所となっている。

夢空間はしまや
 米蔵は海鼠壁(なまこかべ)で、当時の商家の典型的な建築様式を残している。

邸内の細い路地
 この奥に入ると、米蔵をギャラリー・コンサートホール兼喫茶店として改築した「夢空間はしまや」がある。

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