このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

国登録有形文化財 近代水道百選
三野浄水場
  岡山市の水道施設【三野浄水場】
 三野浄水場は、岡山市で最初に建設された浄水場で、明治38年(1905)7月23日に通水を開始。日本で8番目の水道として誕生。敷地面積は84,195平方メートルあり、1日に191,000立方メートルの水を送る能力を持つ岡山市で最大の浄水場である。主に市の中心部、南部、西部一帯に給水している。

※国登録有形文化財に、「岡山市水道記念館(旧動力室・送水ポンプ室・煙突」「緩速ろ過池」「第一水源取水口」の1棟1差1所が、平成17年2月9日に登録。
また、近代水道百選にも選出されている。

※[所在地]岡山市北区三野

「岡山市水道記念館」展示写真に文字を追記して掲載
国登録有形文化財の場所を写真に追記)


<三野浄水場配置図(現地説明板より)>
水道記念館及びその右側の煙突、1・3号緩速ろ過池と旭川沿いの第一水源取水口が国登録有形文化財


岡山市水道記念館(旧動力室・送水ポンプ室・煙突)


岡山市水道記念館
 明治38年に建造された、煉瓦造平屋建て、桟瓦葺き、寄棟造り、トラス小屋組みの洋風建築。窓は半円アーチの縦長、基礎や窓の要石など随所に花崗岩を使用。正面から向かって左半分が送水ポンプ室、右側が動力室であった。開業当初は取水ポンプ・送水ポンプを1室に、動力室には蒸気機関を配していたが、第1期拡張工事の際には早くも動力は電力となり、蒸気機関は予備としてそのまま置かれることになった。その後、第3期拡張工事の際、災害時の予備動力としてディーゼル機関に改修された。 現在は、内部を改装し水道記念館として活用が図られている。


旧動力室煙突
 この煙突は、創設時に送水ポンプを動かすための蒸気機関用として作られた。八角形煉瓦積みで、当時は約30mの高さであったが、現在は上部を撤去されて、高さ約12mとなっているが、非常用ディーゼルエンジンの排気塔として現在も活躍している。旧動力室・送水ポンプ室(現水道記念館)と併せて登録有形文化財の指定を受けている。

岡山市水道記念館正面
記念館正面には木造、天然スレート葺きの車寄せを設けている。

■開館時間〜午前9時から午後4時30分。(入館は午後4時まで)

■入館料〜無料

■休館日〜年末年始(12/29〜1/3)。月曜日(祝日の場合は翌日)
        坎徳無窮
 当記念館入口の上部に石に刻まれた古風な文字が見えます。

 この文字は藤沢市の江守名彦氏の解説によると「坎徳無窮」(カントクムキュウ)と読みます。「坎」は(カン)又は(コン)と読み、易では水と同意味です。方向にすると真北をさします。「坎徳」とは水の徳という意味です。

 「坎徳無窮」とは、水の徳は永遠に変わることなくつづくという意味で、水の尊さを教えたものです。
(現地説明板より一部抜粋)

記念館に入ると「シンボルモニュメント」千差万別に流れ落ちる水が出迎えてくれる


「岡山市の水道事業の歩み」ゾーン

緩速ろ過池


緩速ろ過池(かんそくろかち)
 創設時の緩速ろ過池が2基現存し、日本に現存する緩速ろ過池のうち最も古い施設。深さ2.4m。練り粘度にコンクリートブロック積み、縁石に花崗岩切石を配し、創設当時のままで現役で使われている。 手前が1号緩速ろ過池、その後方が3号緩速ろ過池。
 
 緩速ろ過は、100年前と同じ方法で薬品を使わずに水をきれいにする方法で、1日3〜5mのゆっくりとした速さで、池の底の細かい砂の層に通し、水中のゴミや臭いを取り除く。三野浄水場には6つの緩速ろ過池があり、そのうち2つ(1号、3号)は日本最古の緩速ろ過池である。

旧4号緩速ろ過池の断面  ■明治38年に岡山に水道ができた当時の旧4号緩速ろ過池の一部を移築したものです。中ほどに見える大きなブロックや粘土層は、100年前に作られた実物を用いています。 当時の文献「工学会誌」によると、このブロックは三野浄水場において手作業で作られたもので、しっくいやコンクリートの層でできています。作業員2人がかりで重さ7キロの鉄の棒で固めたり、水を撒きながら長時間かけて乾燥させたりするなど、約3か月間もかけて完成しました。また水漏れを防ぐためにブロックの下に敷いた粘土も、同様に三野浄水場内で練り上げたものです。100年が経過しているにもかかわらず、崩れることなく当時の原型をとどめています。当時の技術力の高さと、作業の労苦がしのばれます。  ■旧4号緩速ろ過池は、一辺約34メートルの正方形で2メートル以上もの深さがありました。1号・3号緩速ろ過池と同時に築造されたもので、同じ構造をしています。1号・3号緩速ろ過池は、100年が経った今でも現役の施設として稼働しており、このことからも構造の強固さがうかがえます。  ■なお、1号・3号緩速ろ過池は岡山市水道記念館など創設当時の水道施設とともに、国の登録有形文化財になっています。


断面図の左側「移築部分」が上の断面写真となる


第一水源取水口


水道記念館展示写真より
 この場所は立入禁止区域であり、「旭川」川中からでないと見ることはできない。

■交通機関のご案内 (バス)岡電バス・宇野バス{水源地}下車 徒歩2分 (JR)津山線「法界院」下車 徒歩10分

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