このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |
元弘3年、鎌倉幕府の大軍が千早城に攻め寄せ、1000人ほどの籠城した楠木軍が様々な奇策を用いて戦った様子が「太平記」に記されています。 籠城のための水は、山伏が使う金剛山中の秘水や雨水を蓄え、万全の策を取ったようです。兵糧は、金剛山を超え間道伝いに奈良や和歌山から、農民・兵士・山の民により運び込まれたようです。 軍資金は、所領7千貫を主なものとし、摂津・河内から大和に至る交通の要所を支配下におき、分業・交通のルートを掌握して富を蓄積しました。その他にも水銀の採掘等により得た様です。 正成亡き後、南朝軍の拠点として正行・正儀・正勝がこの城に籠もりましたが、元中9年(1392)5月、足利義満が兵を遣して金剛山を攻め、正成がこの城を築いてからおよそ60年後、正勝の時代に攻め落とされました。 <追記> 鎌倉幕府滅亡後、後醍醐天皇の建武の新政が始まるが2年で終わる。後醍醐天皇の政治に反発した武士達は、足利尊氏のもとに集結。武家政権の再興を目指して動き出した。そのころ、朝廷でも後醍醐天皇と光厳上皇の間で対立が続いていた。 尊氏は、光厳上皇と手を組み、後醍醐天皇に反旗をひるがえす。京都を占領した尊氏は光明天皇を即位させ(北朝)、建武式目を制定、室町幕府が実質的なスタートを切る。 対する後醍醐天皇は吉野に逃れて朝廷を開く(南朝)。後醍醐天皇は楠木正成を重用して対抗、南北朝時代が始まる。 |
【2008年2月訪問】
千早城は、楠木正成の智謀を尽くした籠城の地として広く知られた山城。
元弘3年(1333年)、再び鎌倉幕府に反旗を翻した正成は、千早城を幕府軍に包囲されたが、5月まで百日間、藁人形等の奇策をもって鎌倉幕府軍の攻撃に堪えて建武中興の原動力となった難攻不落の名城である。
籠城100日余日にして鎌倉幕府は滅亡する。千早城に鎌倉幕府軍が足止めされている間に、新田義貞が東国で挙兵して鎌倉幕府を滅亡へと導いた。
上赤坂城を楠木氏の本城とすれば、千早城は詰の城にあたり、下赤坂城は出城となる。
赤坂城塞群と一体的にとらえて千早・赤坂城塞群の奥の拠点として位置付けることもできますが、平野部に対する眺望がきかず、山間に隠れた存在で、上赤坂城のような地域支配機能はありません。
城は、金剛山の一支脈が西に流れて、その末端が一つの半独立峯を成している標高673.9m(登城口との比高150m)のところにあります。
城の南(妙見谷)、北(風呂谷)、西(大手口〜府道沿いの石段登り口)の三方は急斜面で、東方だけが尾根伝いに金剛山に通じる天然の要害である。
▼下赤坂城跡
所在地 | 大阪府南河内郡千早赤阪村千早 |
地形種類 | 山城(金剛山一帯に築城した山城の一つで、千早城は上赤坂城の詰城にあたる) |
築城者 | 鎌倉末期の武将・楠木正成(1294〜1336) |
築城年 | 元弘2年(1332) |
文化財指定区分 | 国史跡(昭和9年3月13日 史跡指定) |
遺構 | 曲輪跡・空堀などの遺構については未確認 |
現況 | 二の丸跡に千早神社が建つ。建造物はなし。日本百名城の一つ |
千早赤阪村 郷土資料館
郷土資料館の側には、楠公誕生地、楠公産湯の井戸などがあり、楠木正成、千早城にまつわるものが展示されているのでぜひ立ち寄ってみたい場所です。道の駅「ちはやあかさか」を目標に行けばすぐわかります。周辺には、下赤坂城、上赤坂城も位置しています。
●開館時間 午前9時〜午後5時
●休館日 月曜日、年末年始
●入館料 大人200円 小人100円
●交通機関 近鉄長野線「富田林駅」下車、金剛バス「森屋」下車、東南へ徒歩10分、または「役場前」下車、東へ徒歩5分
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●千早城跡出土品の一部(千早赤阪村郷土資料館)
千早城跡からは多数の鉄製武器工具が発掘された。650年前の合戦の様子が伺われます。
●千早城遠望
●城跡からの眺め
●千早赤阪村郷土資料館にて
●二の丸跡に建つ城址記念碑
●四の丸跡。この先に三の丸、二の丸、本丸が続く。四の丸と本丸との比高は約30m
●500段程の石段を登ったところの四の丸跡
●現地案内看板より〜鎌倉幕府の大軍を迎え撃った千早城跡
▼上赤坂城跡
●上の城跡案内看板、現在地の写真
府道沿いにあり、この登城口(大手口)から500段程の石段を登ると四の丸に達する。
<参考>
金剛山山頂への登山ルートが、本丸、二の丸、三の丸など千早城を訪ねるコースになっている。
すぐ前には駐車場(有料)、バス停「金剛登山口」がある。
●写真左・下
四の丸までの途中の石段。
「参考資料」
郷土資料館冊子。学研「日本百名城ガイドブック」。小学館「名城をゆく」。ナツメ社「日本史講義」
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