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2010年2月の業務日誌





2010年2月16日「見習い日誌3」
 今回は乗務中のお話しということで・・・まずは初乗務の時のお話からしましょう。
流星の初乗務はいきなり便乗からでしたw
注意個所なり計算方法なりを先生から教えてもらいながら折り返す駅まで乗ってました。
初めて運転したのは100系でした。まず1区間だけは先生が見本を見せるからってことで助士席にのって、
信号喚呼を一緒にしつつ、速度計算しながら乗務してました。
次の駅からは実際にハンドルを持ちつつ計算をしたんですが・・・もういっぱいいっぱいでw
6分前・3分前ってのはお話しした通り10倍・20倍で計算しやすいので、そこでは必ず「○キロで走ります」って
報告をするようにしてました。
ただ、運転していない時に10倍だとか20倍だとか計算するのはすごくたやすいんですが、運転しながらだと
計算はしなきゃいけないし、速度を調整しなきゃいけない(当然平坦な個所なんてほとんどないので合わせる
速度を保つことだったり、最高速度オーバーにならないようにしたり)ので、もう大変。
それに加えて時折ですが「今何キロで走る?」みたいな設問も受けました。
流星の先生はそれほどうるさく聞いてはこない人なのでまだよかったんですが、中にはしょっちゅう聞いて
きたり、計算するタイミングで世間話をして計算ばっかに集中できないようにしつつ、計算させるみたいな
方もいるみたいでした。流星もそういうのは何度かあったんですが・・・結構無視に近い形でwただ「はい」と
相槌を打つ程度だけになってましたねw
 実はこれ、安全的にどうなんだ?みたいに思われるかもしれませんが、新幹線には前方を注視する義務が
ありません。さすがに300キロで走ってて前方に障害を発見したとしても止まりきれませんしね^^;
そういう状況を必要としないよう、運転台に出してもいい速度を常に現示する「ATC(オートマチックトレイン
コントロール)」があったり、全線高架で踏み切りなし、線路には例え駅員や運転士、工事関係者であろう
とも勝手に入ることが許されない法律(当然車両故障だからと運転士が勝手に線路に降りて点検すること
も法律で罰せられます)があったりします。
こういうシステムだったり法律ってのは新幹線が開業した昭和39年から整えられていたうえ、大きな改変も
なく今日まで続いているので、その当時の開発者たちのすごさってのは本当にすごいですよね。
あと、計算に集中させないというのは運転士は車両故障が発生した場合、今はほとんど運転台で処置を
行います。その大半が列車を止めず、運転しながらの処置。
なので処置に気を取られ過ぎて計算ができなかったとかが無いよう、こういう計算ばっかに集中するような
運転ってのはしないように見習のうちから練習します。
ちなみに・・・今でも流星は結構計算に集中してしまいますが^^;
あと前方注視義務が無いとは言っても、勾配に合わせて適切なノッチ扱いを行うので、結構前は
見ています。中には速度計ばっか見てるって人もいるらしいんですが。
晴れの日なんかはいいんですが、雨の日なんか300キロで走ってるとまるで海の中を走ってるみたいな
状態ですwそういう時はもう感覚で「次は何‰の上り勾配だからこのノッチで」みたいな運転をしていく
しかないですよね・・・夜だったりトンネルの中なんてのも同じです。
 雨といえば、在来線時代は雨だと停車ブレーキを扱うのが少ない新快速の方が普通より好きでした。
列車は停止してるときから起動するときに「空転」が起きやすく、ブレーキをかけた時に「滑走」が
起きやすいので(空転とは摩擦力が少なくなりすぎて起動する際に車輪が空回りしてしまうこと。当然
長くひどくなれば速度が上がらず列車遅れにつながります。滑走は同じく摩擦力が無くなり車輪がレール
の上を滑ってしまうことで、制動距離が延びます。)。
なので駅間距離の長い新幹線なら、たとえ「こだま」でも楽なんだろうなぁって思ってたらなんてことない、
実は新幹線の方がそういうことにシビアで・・・雨の日の運転ってのは本当にいつも気を使います。
 滑走すると車輪の一部分だけがレールと接することになり、その部分ばかりが摩耗します。
こうなると純粋な「丸」の車輪じゃなくなり、一部に平衡部分ができてしまうため「ゴロゴロ」という不快な
乗り心地と音が発生します。貨物列車なんか結構ほったらかしにするので、一部の車両や車輪だけ
異常に「ゴトゴト」というか、そういう音を聞いたことはあるんじゃないのかと思いますが、それがこれで、
「フラットができる」といいます。
新幹線は高速で走るのでこのフラットができるとレールや車両に結構大きな問題を起こすらしいので速攻で
車両交換になります。そうしないために異常を知らせるランプが運転台にあるんですが、これが点灯すると
その場で停車させて車両点検をしないといけません。
最近の車両は結構この滑走防止に重点を置いてて、昔だとブレーキ力は全車均等だったんですが、
最近は必要分を編成全体で補うという方法がとられ、700系以降は1・2両目は少しブレーキ力を落とす
分、3〜16両でその足らない分を補おうとしたり、N700系だと1号車はノーブレーキで滑走防止に貢献
したりしてます。すごいですよね、技術の進歩って。なんかそういうのは新幹線分野に来てよく思ったり
しますw






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