このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

 

 

続・善光寺平かけあし一日周遊記

 

夕夜編  落ち花ひろい

 

 

■善光寺平に入り陽うすれ

 時刻は 17:00を少々回った。まだ残り陽があるうちに少しでも観光をしようと、近場の花の名所に足を運んでみる。

 まず牟礼村の丹霞郷、ここは桃園の大展望が美しいところだが、花の盛りは過ぎていた。しかも風が強いうえに冷たく、長女も眠りこんでいるし、筆者が写真を撮っただけで引き返す。おりしも太陽が、飯綱山の頂に隠れていった。

丹霞郷の桃(平成15(2003)年撮影)

 ならばと次は、同じく牟礼村の飯綱高原スキー場脇にある水芭蕉の群生地に行ってみる。日没後とあって駐車場は閉鎖されていたが、その入口に一台を停める空間くらいはある。外に出てみると、風がめっぽう涼しい。寝ている長女と寒がりの妻を車中に残し、長男には厚着させ、薄暗い谷あいにわけいった。

 水芭蕉は、まだ咲いていた。盛りはやや過ぎたようだが、白い花弁があざやかに薄暮の谷を彩っている。小さな立金花の黄もまた美しい。

 夜の闇がかけあしで迫っているから、いい写真は撮れるまいとカメラを持たずにきたが、敢えて寒中を冒しただけのことはあった。それは、ためいきが出るほどの美しさだった。

 長男がよろこんで叫んでいる。

「水芭蕉さぁ〜ん、こんにちわ〜、今日も綺麗ですね」
「水芭蕉さぁ〜ん、ぼくたちのことを忘れないでね」

 呼びかけて人格を認めたくなるほど、水芭蕉たちの輝きは尊貴だった。

 名残は惜しいが、すっかり暗くなってきた。道を失っては危ないし、長男に羽織らせた上着も冷たくなっている。小走りで引き上げ、暖房を効かせて、飯綱を後にする。

長野市内某所の水芭蕉と立金花(平成15(2003)年撮影)

 

■帰路

 須坂長野東IC手前のセブンイレブンで夕食を補充する。同じ敷地内に保存されている「赤ガエル」は化粧直しされたようだ。駐車場の照明に赤が映えている。

 20:30 を過ぎたところで帰路に就く。時間も遅いし、5連休初日ということもあるし、心配していた渋滞はなさそうだ。上り線の新しい五里ヶ峯トンネルは、照明が明るく走りやすかった。白色灯を用いるなど、新工夫が見られる。既供用区間でも同様の工夫はできないものだろうか。

 眠気が強くなってきたので、東部湯の丸で妻と運転を交代する。高速道路の夜間運転は初めてなので、緊張している様子。しかもかなりデジタルな運転で、進路を「点」で認識しているから、ハンドルさばきは蛇行するし、アクセルのふかし戻しも極端だ。助手席に座っていると、生きた心地がしない。それでも靴を脱いで足を楽にし、凝りをほぐせたのは助かった。

 甘楽で再び交代。眠くならないよう、飛ばし気味に進む。新座でも渋滞はなく、難なく通過。自宅到着は 23:30過ぎで、これはかなり速かったほうだ。おかげで、オープニングこそ見損なったものの、「冬のソナタ」に間に合ってしまった。

 かくして、善光寺平かけあし一日周遊を終えたのであった。近々のうちにまた行きたい、特に水芭蕉を楽しみたいものだと、今から構想しはじめている。

 

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