このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |
飯山線花だより
■信越国境
森宮野原に、単行気動車がとことことやってきた。
この駅は、日本の鉄道史上、最も深い積雪に見舞われた。駅構内にはその事実を顕わす標柱が立っている。このてっぺんの赤線まで積もったというから、豪雪の猛威が知れる。
駅からちょっと山奥に入ると、片栗の群生地があったりする。
■朧月夜
千曲川ぞいの狭い峡谷を抜けると、戸狩野沢温泉に着く。直通列車は数が少なく、ここで長野行に乗換となる場合が多い。
飯山線沿線には、花が多い。ちっぽけな北飯山でも、桜が咲いている。
飯山の花といえば、なんといっても菜の花。名曲「朧月夜」は飯山の風景が意識されているという。「菜の花公園」に入り陽うすれる写真を、ねらってみた。
■去ったもの残ったもの
飯山での朝ラッシュ。列車を待つ列はそれなり長く、やってきた列車も4連と日中の倍だ。
しかし、対岸を走っていた長電木島線に、列車はもう来ない。旧赤岩駅に桜が美しく咲き誇る一方、既に架線の銅線部分は撤去され、鉄道時代の面影は日一日と失われていく。
赤岩駅の上流には江戸彼岸桜が咲き、その根元からは泉が湧いている。木島線が廃止になろうと、そんな自然の営みは変わらない。
そして、今も走っている飯山線の近くにも、花は咲く。これは蓮(はちす)での写真。自然の営みは、相手を選ばない。
■都市の中では
飯山線は豊野で信越線と合流する。北長野までくると、どうにも風景が無味乾燥だ。
そんな都市のなかでは、人工的に華を演出する必要があったりする。
善光寺門前でのフィオレンティーナ。確かに美しい眺めではある。だが、むしられて貼り付けられたチューリップの花弁がかわいそうな気もする。もっとも、それこそ人間の勝手な感傷というものかもしれない。
■備忘録
本稿執筆 平成17(2005)年夏
写真撮影 平成15(2003)年春
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